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住民投票制度の創設に向けた検討報告書・概要版

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2010年4月21日

コンテンツ番号15107

 川崎市住民投票制度検討委員会では、2005(平成17)年12月から2006(平成18)年9月までの約10か月間、川崎市にふさわしい住民投票制度のあり方について示すことを目的として、具体的な制度創設に向けた検討を行いました。そして、これまでの検討内容をまとめたものが『住民投票制度の創設に向けた検討報告書』であり、これは、その概要を示したものです。

住民投票制度は・・・・・・・・・・

 「川崎市自治基本条例」に定められた参加の自治運営の原則に基づく重要な制度です

  • 「川崎市自治基本条例(2005年4月施行)」は、公募市民と学識者によって検討された『自治基本条例検討委員会報告書』の内容を最大限尊重して条文化したものであり、住民投票制度は、その中で参加の自治運営の原則に基づく重要な制度のひとつとして位置付けられています。
自治基本条例に定められた自治運営のための3つの基本原則
  • 住民投票制度検討委員会では、自治基本条例における住民投票制度の規定と解釈を踏まえて、議論を行いました。
川崎市自治基本条例パンフレット、表紙画像

自治基本条例における住民投票制度の規定

(住民投票制度)
第31条 市は、住民(川崎市の区域内に住所を有する人(法人を除きます。)をいいます。以下同じ。)、議会又は市長の発議に基づき、市政に係る重要事項について、直接、住民の意思を確認するため、住民投票を実施することができます。
 2 議会及び市長は、住民投票の結果を尊重します。

自治基本条例における住民投票制度の解釈

  • 住民投票結果に対する尊重義務が課せられるのは、議会と市長であること
  • 拘束型ではなく、諮問型の住民投票制度であること
  • 市民(自治基本条例検討委員会委員)の思いとしては、常設型の住民投票制度構築がふさわしいということ
  • 投票の対象事項は、具体・個別の事項を想定しているものではないが、市政に係る重要事項である必要があること
  • 投票発議ができる者は自然人(権利義務等の主体となる個人)たる住民、議会、市長であること
  • 住民の範囲から未成年者を排除する理由はなく、少なくとも18歳以上の未成年者は住民の範囲に含まれるべきこと
  • 住民の範囲には外国人は当然に含まれること
  • 情報提供の主体や方法は検討が必要なものの、住民への情報提供は制度運用において重要であること

制度創設にあたっての基本的な考え方

1 制度創設の意義

  • これまで、全国で紛争解決の一手段として住民投票が実施され、今後もこのような場面で住民投票が実施される意義は、決して否定されるものではありません。しかも、住民ニーズが多様化、複雑化していく中で、今後、住民の生活に重大な影響を及ぼすことが想定されるような事案について議会や市長が政策決定を行う場合には、これまで以上に住民の意思を反映していくことが求められることになり、その際、住民の意思を確認する手段としても、住民投票制度は効果的な役割を果たすものと考えられます。
  • 住民投票制度は、議会や市長の意思決定に住民の総意を反映させるための手段であり、投票結果に対する尊重義務を生じさせるものであることから、議会や市長の持つ固有の権限を侵すものではなく、むしろ間接民主制を補完し、活性化する制度として機能するものということができます。
  • 住民投票の実施にあたって、議会や市長も加わった活発な議論に住民自らが参加することにより、住民は市政に係る重要事項に関心を持つことになり、それにより、地域の課題は自分たちの知恵や行動を通して解決を図っていくとする自治の風土が、醸成されていくものと考えます。

2 参加制度における住民投票制度の位置付け

  • 住民投票制度は、住民の意思を直接確認することに加え、その社会的、政治的影響の大きさからも、とりわけ重要な参加の制度ということができます。しかし、住民投票は、これが実施されることにより課題がすべて解決される性質のものではなく、住民投票も多様な参加の制度の一つであるということを踏まえ、目的、意義、効果、費用などを考慮した上で実施される必要があります。このことから、市政に係る重要事項であっても、他の参加の制度で代替できる場合であれば、必ずしも住民投票が選択される必要はないと考えます。

3 投票結果の尊重義務

  • 条例に基づく住民投票の結果に拘束力を持たせることは、地方自治法に規定された議会や市長の権限を制限することになるなどの理由から、「拘束型」は法律に基づかなければ不可能とするのが通説とされています。このことから、他の自治体の常設型条例はすべて「諮問型」であり、投票結果に対する尊重義務の規定が設けられています。
  • 尊重義務とは、単に投票結果を参考とすることにとどまらず、住民投票の結果を慎重に検討し、これに十分な考慮を払いながら、議会と市長が意思決定を行っていくことと考えられます。このため、議会と市長は、それぞれの意思決定について、住民に対する十分かつ明確な説明責任を果たす必要があるということになります。

個別論点の検討と考え方

1 制度の位置付け

  • 常設型条例での制度設計が望ましい。

住民の意思を確認する必要が生じたつど制定される「個別設置型」に対して、あらかじめ住民投票の対象となる事項や発議の方法などを定めておく「常設型」の住民投票制度は、一定の要件を満たせば確実に住民投票が実施されることになり、住民にとって大きなメリットがあると考えられます。また、自治基本条例検討委員会報告書でも、常設型がふさわしいとする考えが示されていることなどを踏まえ、常設型の住民投票条例を前提とした制度設計が望ましいと考えます。

【参考】主な常設型住民投票条例の事例
自治体名
条例名称
提案者等
施行日
高浜市(愛知県)高浜市住民投票条例市長2002(平成14)年9月1日
富士見市(埼玉県)富士見市民投票条例市長2002(平成14)年12月20日
広島市(広島県)広島市住民投票条例市長2003(平成15)年9月1日
我孫子市(千葉県)我孫子市市民投票条例市長2004(平成16)年4月1日
岸和田市(大阪府)岸和田市住民投票条例市長2005(平成17)年8月1日
逗子市(神奈川県)逗子市住民投票条例市長2006(平成18)年4月1日
大和市(神奈川県)大和市住民投票条例市長2006(平成18)年10月1日

※2006(平成18)年8月31日現在で把握しているものとしては、このほか合わせて17あります。

2 住民投票の執行等

  • 住民投票は、市長が執行することとした上で、投票や開票に関する事務については、市長から市選挙管理委員会及び各区の選挙管理委員会へそれぞれ委任することとする。
  • 市長は、住民や議会から発議があった場合、もしくは自ら発議する場合には、実施の告示を行い、この日から起算して、概ね60日以上、90日以内の範囲で投票日が設定されるものとする。

選挙管理委員会は、市長から独立した行政委員会であるということに加え、投票や開票に関する事務についてのノウハウを有しているため、中立性や効率性の点からも、住民投票の実務については、市長から市及び区の選挙管理委員会にそれぞれ委任することが望ましいと考えます。

確実に住民投票が実施されるためには、告示後、一定の期間内で投票日が決められる必要があります。そのため、投票や開票に関する事務的な準備作業に要する期間や、投票運動が行われるために必要な期間を考慮し、告示日から起算して、概ね60日以上、90日以内の範囲で投票日が設定されることが望ましいと考えます。

3 実施区域

  • 本市の全域を住民投票の実施区域とする。

特定の地域を対象に住民投票を実施するとした場合、その地域の特定方法、全市への影響、特定の地域で示された意思に対する尊重義務の考え方など、多くの課題があることから、現段階では、全市域を対象として実施すべきものと考えます。

区民投票の導入を求める多くの意見がありますが、区民投票の制度化については、区の課題解決を進めるためにはどのような手法が望ましいかなど、区行政改革の進捗状況や、全市域を対象とした住民投票の実施状況を踏まえながら、今後、検討が進められる必要があると考えます。

4 対象事項

  • 対象事項は「市政に係る重要事項」であるが、「市政に係る重要事項」とは、その事案が生じた時点におけるさまざまな状況の中で、総合的に判断されるべきものと考える。

自治基本条例第31条では、対象事項を「市政に係る重要事項」としています。

対象事項の範囲については、住民の意思確認の機会を確保するという点からも、可能な限り広く捉えられることが望ましいですが、対象とされる事案が「市政に係る重要事項」であるかは、住民間における重大関心事としてどれだけの議論の盛り上がりがあるかなど、その事案が生じた時点におけるさまざまな状況の中で、総合的に判断されるべきものと考えます。このことから、対象事項を具体的な事案として確定的に表すことは適当ではないといえます。

 

  • 「市政に係る重要事項」であっても、次の事項については、住民投票の対象事項から除外するものとする。

ア 法令の規定に基づいて住民投票を行える事項 
 憲法及び地方自治法に規定される地方自治特別法の制定に関するもの、地方自治法に規定される直接請求による議会の解散請求、議員及び長の解職請求に関するものなど、すでに法律上の制度が用意されている事項については、法律上の疑義が生じるため、対象事項から除くことが望ましいと考えます。

イ 個人や団体、特定地域の住民等、少数者の権利に関して、多数の意見が少数の意見を封じ込めるおそれのある事項
 特定の個人や集団に対する公的援助をすべきでないとすることや、職員個人の異動に関することなどについては、多数の意見が少数の意見を封じ込めるおそれがあるため、対象事項から除外することが望ましいと考えます。

ウ 専ら地方税、負担金、使用料及び手数料の負担増減を対象とした事項
 地方自治法に規定されている直接請求制度で除外されている事項を、一律に住民投票の除外事項とすることは避け、現行の行政サービス水準などとの対比を考慮せず、専ら地方税、負担金、使用料及び手数料の負担増減を対象とするようなケースに限って、対象事項から除外することが望ましいと考えます。

エ その他住民投票に付することが適当でないと認められる事項
 住民投票に付すことが適さないとされる事項をすべて列挙することは困難であり、また、不測の事態も考慮する必要があることから、このような規定を設ける必要があると考えます。しかし、執行者(市長)の全くの自由裁量が認められると考えるのではなく、上記アからウに示された「除外すべき事項」と同等の合理的理由が認められる必要があるものと考えます。

 

  • 住民発議の事案が対象事項に該当するかについては、署名収集が開始される前の時点で、市長が判断することとする。

執行者である市長の判断は、市長の自由裁量で行われるものではなく、条例で定められた規定の解釈の範囲内で行われる必要があります。また、その判断が署名収集要件をクリアしたのちに行われたとすれば、住民の制度に対する期待感、信頼感を喪失することになりかねず、そのため、署名収集が開始される前に行われることが望ましいと考えます。

5 住民投票の発議

  • 発議資格者は、住民、議会、市長とされている。

自治基本条例第31条では、発議資格者を住民、議会、市長としています。また、発議資格を有する住民と投票資格者は同一と規定されています。

  • 住民が実施の請求を行うには、投票資格者名簿に登録されている者の総数のうち、10万人以上の署名収集を要件とする。

署名要件は、実際に署名収集が可能であり、かつ、乱発防止という点に加え、他の自治体の事例や本市における過去の署名収集事例なども参考として決定されることが必要です。これらを踏まえると、投票資格者総数の1/10以上とすることが望ましいと考えます。

署名要件を絶対数で規定した場合、住民にとってわかりやすく、かつ、署名収集の獲得目標が明確であるとの利点があることから、投票資格者総数の1/10以上という数字をよりどころとして、署名要件を絶対数で「10万人以上」とすることが望ましいと考えます。

【参考】川崎市における直接請求の署名収集事例
件名
署名者総数
有権者に対する割合
「川崎市を樹木の緑で覆い、環境をよみがえらせる都市づくりをすすめるための条例」の制定請求(1972年)124,748筆15.1%
「合成洗剤追放対策委員会の設置及び運営に関する条例」の制定請求(1980年)37,411筆4.6%
「川崎市地域経済振興に係る市条例」の制定請求(2000年)93,073筆8.1%
他の自治体における常設型住民投票条例の署名要件
署名要件自治体名【参考】人口
1/3以上高浜市4万人
1/3以上大和市22万人
1/4以上岸和田市20万人
1/5以上逗子市6万人
1/5以上富士見市10万人
1/8以上我孫子市13万人
1/10以上広島市116万人

※人口については、2006(平成18)年8月31日現在のおおよその数です。

  • 市長が発議する場合には、議会への事前の報告を要件とする。

市長が発議する場合には、十分な議論が行われずに発議がされる懸念があるため、事前に議会へ報告することを要件として定め、十分に議会からの意見を聴くことが必要と考えます。

6 投票資格者

6-1 日本国籍を有する者

  • 満18歳以上で、引き続き3か月以上本市に住所を有する者とする。

自治基本条例第31条では、発議資格を有する住民と投票資格者を同一としています。また、投票資格を有する住民の範囲から未成年者を排除する理由はなく、少なくとも18歳以上の未成年者は住民に含まれるべきものと解釈できます。

検討委員会では、若い時期に住民投票に参加することが市政への関心を高める効果をもたらすとも考えられることから、16歳程度まで対象年齢を引き下げることが望ましいとの考えが示される一方、住民投票の投票結果がもたらす社会的影響を考慮すると、18歳以上とすることが妥当とする考えも示されました。しかし、投票資格者となるということは、投票運動の主体として認められる一方で、働きかけられる対象となることも考えられることから、投票運動により受ける精神的、身体的影響も考慮し、「18歳以上」を投票資格者とすることが望ましいと考えるに至りました。

公職選挙法では、地方選挙に関する選挙権の要件として、「地縁的関係などからみて、少なくとも引き続き一定期間その地域に住んでいる者に、その地域の住民としての権利を与えることが、住民自治の趣旨にかなう」(*)との理由から、市内在住要件を3か月以上としていますが、住民投票の市内在住要件についても同様と考えます。
 (*)選挙制度研究会編『実務と研修のためのわかりやすい公職選挙法[第13次改訂版]』(ぎょうせい、平成15年)

 

6-2 定住外国人

  • 満18歳以上の、永住者、特別永住者及び日本に在留資格をもって3年を超えて在留している者で、引き続き3か月以上本市に住所を有する者とする。

自治基本条例第31条では、住民投票の投票資格者は「住民」と規定されており、永住資格の有無に関係なく、すべての外国人市民がこれに含まれるものと考えられます。しかし、投票資格者となるためには、一定期間以上日本に在留し、日本での生活の基盤が確立されていることが必要と考えます。

住民投票において対象とされるさまざまな事案について自らの意思を表明するには、日本の社会生活や文化、政治制度などの知識を身に付ける必要があると考えられます。この場合、どの程度の期間を必要とするのかが問題となりますが、諸外国の事例なども参考にし、少なくとも3年以上の期間は要するものと考えます。

【参考】18歳以上の住民基本台帳及び外国人登録原票の登録者数

1,119,936人

《内訳》

  • 住民基本台帳登録者数 1,094,738人
    (うち18歳及び19歳 24,379人)
  • 外国人登録原票登録者数 25,198人
    (うち18歳及び19歳416人)
    (うち永住者及び特別永住者11,319人)

 

※平成18年6月30日現在。ただし,永住者及び特別永住者を合算した人数については、平成18年6月15日現在。

7 投票資格者名簿

  • 選挙管理委員会は、投票資格者名簿を調製することとする。
  • 日本国籍を有する者は、住民基本台帳、また、外国人については、外国人登録原票を利用して、自動的に投票資格者名簿へ登録することとする。
  • 投票資格者は、投票資格者名簿に登録されている自分自身の内容について確認することができることとする。

日本国籍を有する者については、選挙に準ずる方法により、住民基本台帳を利用して、投票資格者名簿を調製するものとします。

外国人については、本人の意思に基づく事前登録制とした場合、制度を知らなかったなどの理由で登録の機会を逸し、住民投票に参加できないような事態が生じる懸念もあることから、可能な限り外国人登録原票を利用し、日本人と同様、職権により自動的に投票資格者名簿へ登録する方法が望ましいと考えます。

外国人の投票資格者名簿について、外国人登録原票を利用して調製した場合、外国人登録法の趣旨から、選挙人名簿の縦覧制度のように、投票資格者であれば誰もが名簿全体を目にすることができるとする仕組みを条例で規定することは困難です。

8 投票形式

  • 対象事案の設問については、基本的に発議者の意思に基づき設定されることとする。
  • 選択肢は、二者択一で賛否を問う形式とする。

対象事案に関する設問については、投票者が同一の判断材料で投票が行えるように、内容を容易に理解することができ、かつ、一方に意見を誘導するようなものではない必要があります。

選択肢を二者択一で賛否を問う方法以外とした場合、その設定方法によっては投票結果に対する各人の多様な解釈が可能となるおそれがあり、また、発議者が意図する投票結果に誘導するために、恣意的な選択肢を設定するとの懸念も生じることから、二者択一で賛否を問う方法が望ましいと考えます。

9 投票や開票に関する事務等

  • 投票や開票に関する事務等については、選挙の手続きを基本として行われるものとする。

投票や開票に関する事務は、選挙制度の中ですでに確立されており、その仕組みについては住民にも十分に浸透していると考えられます。そのため、住民投票でも、住民の利便性や事務効率の観点から、選挙制度で確立された方法を基本として、投票や開票に関する事務が行われることが望ましいと考えます。

10 情報提供

  • 市長は、対象事案に関する計画案その他行政上の資料で公開することができるものについては、一般の縦覧に供するものとする。
  • 住民投票の執行者としての市長は、必要に応じて、公開討論会、シンポジウム等を開催することができるものとする。
  • 選挙管理委員会は、投票の実施に関する必要な情報の提供を行うものとする。

自治基本条例第31条の解釈としては、情報提供の主体や方法については検討が必要であるものの、住民への情報提供は制度運用において重要であるとされています。

市長は、市の情報を管理する立場において、住民投票を実施するにあたって、住民に対する情報提供という点で大きな役割を果たすものと考えます。このため、市長には、公平性、中立性に十分留意し、事業計画や予算関係資料など対象事案に関する判断を行うために必要な情報に関して、積極的に公開する責務があるものと考えます。

公開討論会やシンポジウムの開催については、さまざまな主張を持つ人たちが一堂に会し、活発な議論が繰り広げられることにより、対象事案に対する理解の深まりを期待できることから、住民への重要な情報提供手段であると考えられます。そのため、住民投票の執行者である市長が、必要に応じて、これらを開催することができるようにすることも考えられます。

11 投票運動

11-1 投票運動に関する基本的事項

  • 買収・脅迫など、住民の自由な意思が拘束され、又は不当に干渉されるおそれのある投票運動は禁止することとする。
  • 投票運動の禁止行為に関して、罰則規定は設けないこととする。

住民投票には公職選挙法の制限がないことから、基本的に投票運動は自由とする制度設計が可能です。しかし、公正かつ活発な投票運動が行われるためには、刑法で禁止行為とされている脅迫や強要以外にも、買収など、最低限の禁止行為を設ける必要があると考えます。

署名収集の際にも戸別訪問が行われる必要性は高いこと、また、住民投票では住民間の活発な話し合いが不可欠とされる中で、戸別訪問はその有効な手段になり得ることなどを考慮すると、公職選挙法で禁止行為となっている戸別訪問を容認することが望ましいと考えます。

住民の自由な投票運動を萎縮させてしまう懸念もあるため、罰則は設けず、禁止行為の抑止については、住民の節度ある行動にゆだねることが必要と考えます。

 

11-2 選挙との同日実施の場合の投票運動

  • 選挙と同日実施される場合には、住民団体、議員、市長など、各主体が公平で平等な立場で投票運動を行える制度になるよう十分留意する必要がある。

住民投票が選挙と同日に実施される場合、選挙と住民投票の投票を併せて行うことによる住民の負担軽減、また、選挙と住民投票の事務を共用することにより費用軽減が見込まれることなどのメリットが考えられます。しかし、住民投票の投票運動を行う主体が「政治活動を行う団体」と認められるときは、当該選挙の選挙運動期間中及び投票日において、公職選挙法の規定により、原則として一定の政治活動が禁止されることになるため、住民団体等はどのような投票運動ならば行うことが可能かなどを整理した上で、住民団体、議員、市長など、各主体が平等・公平な立場で投票運動を行える制度になるよう十分留意する必要があります。

12 不服申立て・異議の申出等

  • 投票資格者名簿の登録に関する異議について、市長、又は選挙管理委員会に対して、「異議の申出」が行えるものとする。

投票資格者や署名収集代表者など、住民投票にかかわりのある者に対する権利侵害に関する異議については、裁判に比べて、簡易迅速な仕組みで権利救済が図られる必要があります。市長や選挙管理委員会の行為が行政処分に該当すれば、行政不服審査法に基づき「不服申立て」を行うことが可能ですが、行政処分に該当しない場合には、条例の規定として、「異議の申出」の仕組みを設けることが必要になります。

【参考】「不服申立て」と「異議の申出」

《不服申立て》 

  • 違法又は不当な行政処分その他の公権力の行使に当たる行為について、行政庁に対しその取消又は変更を求めるとする行政不服審査法に基づく申立てです。申立ての対象となる行為が行政処分であることを求められ、また、個人の具体的な権利利益の救済を目的とするものに限られます。
  • 「不服申立て」には、「異議申立て」、「審査請求」、「再審査請求」の3種類があります。

《異議の申出》

  •  行政不服審査法の適用がない特別の不服の申立ての方式であり、法律によるものとしては、地方自治法に基づく直接請求の署名簿の署名に関するもの、公職選挙法に基づく地方自治体の議会の議員及び長の選挙の効力に関するもの等があげられます。
  • 住民投票条例の中に「異議の申出」の仕組みを設けることも可能であり、行政処分でなくとも、また、個人の具体的な権利利益の救済に関係がなくとも、制度を設けることは可能です。

13 成立要件

  • 成立要件は設けないこととする。

議会と市長に対して尊重義務が生じるとの点を踏まえると、一定の成立要件を設ける必要性はあるとの少数意見もありましたが、制度が諮問型であること、また、ボイコット運動が行われることに対する懸念などを主な理由として、成立要件は不要と考えます。

14 再発議の制限期間

  • 再発議の制限期間は設けないこととする。

(1)事案の同一性を誰が判断するのかという問題があること、(2)署名収集、投票運動というハードルがある以上、同じものを連続して請求することは事実上困難であること、(3)議会や市長は、投票結果を尊重する義務を負うものの、それに拘束されるものではなく、結果を尊重した事項であっても、状況等の変化が生じた場合には、自らの判断で変更できること、などの理由から、再発議の制限期間を設けることは不要と考えます。

本委員会が想定する住民投票(常設型)の流れ

本委員会が想定する住民投票(常設型)の流れ図

具体的な制度設計に向けた方向性

市民意見を踏まえた制度設計

  • 今後、行政において制度創設に向けた検討が進められていく中でも、住民投票制度が重要な参加の制度であることを鑑み、適宜、広く市民から意見を聴く機会が確保され、それらの意見を踏まえて制度設計が行われることを期待します。

議会との意見交換を踏まえた制度設計

  • 市長と同様、議会に対する尊重義務が自治基本条例に規定されていることに加え、住民投票制度は、議会権限と密接にかかわる論点が多くあり、また、議会発議に関するルールづくりなど、議会での整備が必要な手続事項に関する論点もあります。そのため、今後、行政が具体的な制度設計を進めるにあたっては、議会と十分な意見交換が図られ、より議論が深まることを期待します。

コスト抑制を踏まえた制度設計

  • 住民投票は、住民一人ひとりの意思を確認する大がかりな仕組みであり、相応の経費が必要となりますが、今後、行政で制度設計を進めていくにあたっては、本報告書で整理した住民投票制度のあり方を損なうことなく、できる限り効率的に実施できる仕組みが構築されることを期待します。

これまでの川崎市における住民投票制度の検討経過

  • 川崎市では、市民の参加意識の高まりや地方分権の進展などを背景として、多様な市民意見を市政運営に反映できる仕組みのひとつとしての「住民投票制度」創設の可能性を検証するため、2002(平成14)年度から学識者による研究を進めてきました。
  • 2005(平成17)年12月には、それまでの学識者による検討経過を踏まえ、川崎市にふさわしい住民投票制度のあり方について示すことを目的として、公募市民と学識者からなる「川崎市住民投票制度検討委員会」が設置され、専門的な側面からの検討に加え、市民が実際に制度を活用できるようにするためには、どのような点に留意するべきかという側面からの検討も行われました。また、検討の過程においては、広く市民から意見を聴くことを目的として、市内3か所で「住民投票制度検討委員会・フォーラム」が開催(合計199名の市民が参加)されるとともに、主に投票資格要件について、外国人市民や高校生との意見交換会も行われました。
これまでの川崎市における住民投票制度の検討経過図

川崎市住民投票制度検討委員会

委員

委員長:寄本 勝美 (早稲田大学政治経済学部教授)
副委員長:金井 利之 (東京大学大学院法学政治学研究科教授・法学部教授)
副委員長:山下 浩 (公募委員・宮前区在住)

川﨑 泰之 (公募委員・高津区在住)
竹井 斎 (公募委員・中原区在住)
中村 紀美子 (公募委員・川崎区在住)
野口 暢子 (学習院大学大学院政治学研究科研究生)
橋本 勇 (弁護士)

※委員の任期は、2005(平成17)年12月から2006(平成18)年9月まで

 

事務局

総合企画局自治政策部

検討経過

検討経過

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お問い合わせ先

川崎市 市民文化局コミュニティ推進部協働・連携推進課

〒210-0007 川崎市川崎区駅前本町11-2 川崎フロンティアビル7階

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ファクス:044-200-3800

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