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サンキューコールかわさき

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4 計画の要件 (2) 現状と主要課題の認識

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 本計画の計画期間である今後概ね10年間の川崎市を展望するにあたって、我が国や川崎市を取り巻く社会経済情勢の動向や、こうした中で生じる、解決すべき課題を整理します。

ア 社会経済環境の変化に対する認識

 本格的な少子高齢社会への突入と、今後予想される長期的な人口減少過程への移行に伴って、今まで進めてきた市民生活を支える社会資本の整備・充実や行政サービス提供のあり方について、根本的な見直しが求められています。こうした環境変化の中では、今までの発想の転換なくしては社会資本の整備・充実や行政サービスの提供を続けていくことができなくなります。
 また、これまでのしくみは、その時代の社会情勢の中における価値観によってつくられ、受け入れられたものであるため、人口の総数や年齢構成が大きく変化し、いわゆる「支える人」と「支えられる人」とのバランスが変わる中では、こうしたしくみについて、新しい時代において受け入れられる、新たな公平感や社会通念に基づくものかどうかを見直し、少子高齢社会に対応した地域社会の備えをつくり上げていく必要があります。
 さらに、発想や手法を根本的に転換しながら、市民の安心や快適を実感できるようなまちづくりを着実に進めるためには、今まで行政が主体的な役割を担ってきた部分について、民間部門や地域の団体などとのパートナーシップを築きながらその機能を委ねていくことや、IT活用を進めることなどによって、多様なサービスニーズに適切に応えていくことなども必要になっています。
 このようなことから、これからの10年間は、これまでとは大きく社会経済のシステムが変わる時代を迎えるための、「踊り場の10年」であると言えます。この10年間における課題に適切に対応しつつ、それ以降に迎える極めて大きな変化にも的確に備えていくことが大切になります。
 一方で、経済情勢の面では、かつてのような成長経済が終焉し、これに引き続く低成長経済への移行が進んでいます。こうした中で、人々は物質的な豊かさから、質的な充足感を求めるようになり、また、今後は従来のような右肩上がりの成長が望めないことから、行財政運営の面では、財源投入の効果や成果をしっかりと見極めるなど、経営的視点や持続可能性を重視した取組が求められています。
 また、企業活動の国際化や生産拠点の海外移転などをはじめとして、経済活動のグローバル化が進み、地球規模でのネットワークが広がる中、私たちの生活は、世界全体の共同体としての営みによって支えられている一方で、こういった環境の中で発生する問題は、広範な影響を及ぼすということをしっかりと自覚する必要があります。

市内総生産対前年度伸び率の推移

イ 地球環境配慮、循環型社会への転換

 地球温暖化やオゾン層の破壊など、さまざまな環境問題が世界中で顕在化する中、地球環境を守るためには、特に都市部において環境に負荷をかけない市民の生活様式や産業活動を選択し、実践することが重要になっています。
 また、地球温暖化を抑制するために、先進国などに対する温室効果ガスの削減や排出量取引などを定めた京都議定書が発効し、自治体レベルでも責任のある対応が求められています。
 環境配慮と都市の活動が共存する社会を実現していくためには、市民生活の分野では持続可能な社会の構築に向けて、一人ひとりが生活習慣や価値観及び社会的な枠組みを循環型社会にふさわしいものに変えていくことや、産業分野では、その活動における環境負荷低減の取組が求められます。

ウ 地方分権の進展

 2000(平成12)年に地方分権一括法が施行され、地方への権限移譲を進める地方分権改革が進んでいます。これからのまちづくりを考える時には、地方分権を現実のものとして受け止め、国・県・市のそれぞれが果たす役割をしっかりと整理した上で、必要な領域については適切な協調・連携を志向しながら、効率的・効果的な施策を展開することが必要になります。
 一方、都市型の生活様式が広がる中、従来の地縁を中心とする相互扶助や助け合いの機能が弱まる一方で、身近な課題に対応するために、NPOなどによる活動が広がりを見せています。こうした、よりよいまちづくりや暮らしの安心につながる活動が活発に行われる中、身近な課題を地域で解決し、地域が主体性を発揮できるようなしくみをつくり上げていくために、市民・地域・行政の関係や役割について、しっかりと整理・再構築しておくとともに、それぞれの部門による協働の取組が今後重要性を増すことを認識しておく必要があります。

エ 川崎市の地域特性と抱える課題

(ア) 首都圏の好位置にある優位性

 川崎市は、首都圏の中心部に位置するとともに、東京と横浜という巨大消費地に接し、交通アクセスにもたいへん優れています。さらに、羽田空港の再拡張・国際化に伴って、空港に隣接することの地理的優位性や利便性が一層高まることが予想されます。

(イ) 産業構造の転換と研究開発型産業の集積

 川崎臨海部は、京浜工業地帯の中核として日本の産業を支えてきましたが、産業構造の転換や経済活動のグローバル化による生産機能の海外移転などによって、既存産業の空洞化が進んでいます。また、川崎市のものづくり機能を支えてきた中小企業も、同様に厳しい環境に置かれています。その一方で、川崎市には、情報通信分野などを中心に、我が国を代表する先端技術産業が集積しており、さらに研究開発機関が数多く立地し、学術研究機関に働く人の割合は大都市の中で1位となっています。また最近では、川崎臨海部を中心に、過去に経験した公害への対応の中で培った高い環境技術を活かした環境分野における新産業や、先端科学技術の研究開発拠点形成の動きも活発になってきています。

川崎市における製造業の状況
学術研究機関従業者数比較

(ウ) 細長い地形と多様な地域の個性

 川崎市は、多摩川に沿って南北に細長く立地し、南部は海に接し、北部は多摩丘陵や生田緑地などの豊かな緑に囲まれています。また、東京のベッドタウンとしての住宅地や、南武線沿線のものづくり機能や研究開発機能の集積、臨海部における工業や物流拠点機能など、地域それぞれが多様な個性を持っています。

(エ) 多摩川や多摩丘陵の豊かな自然

 川崎市の北部には緑豊かな多摩丘陵が広がり、その一角の生田緑地には、教育・文化施設が点在し、市民の憩いの場となっています。また、市域に沿って流れる多摩川には豊かな自然が残されています。こうした環境は、都市部における貴重な自然資源となっており、その保全と活用が課題になっています。

(オ) 商業・集客資源の課題

 川崎市は、隣接都市に巨大な商業・集客施設が豊富に存在するため、購買力の市外流出が続いています。また、商店数・従業者数も減少傾向にありましたが、近年、川崎駅周辺には、民間の商業・集客施設やミューザ川崎シンフォニーホールなどがオープンし、賑わいを見せています。こうした資源を核とした商業・集客機能の強化が課題となっています。

商業の年間販売額政令指令都市比較

(カ) 市域縦軸の交通網の課題

 川崎市は、東京から放射状に伸びる鉄道や幹線道路が多数整備され、鉄道系・道路系ともに市を横断する交通機能が発達しています。これに比べて、市を縦に連絡する交通機能が弱く、臨海部地域、川崎駅周辺地区、北部住居地域等の縦方向の結びつきが十分ではありません。

(キ) まちづくりに対する市民の意識

 市民がこれからのまちづくりにあたって重要と考えている点としては、少子高齢社会にふさわしい福祉施策の展開や、暮らしやすい、きめこまやかな地域環境の整備、都市の安全性の確保など、日常生活における身近な安心や快適さの向上に対する関心が高いことがわかります。
 またこのことは、社会の成熟化に伴い市民の価値観も、物質的な豊かさから、質的な充足感へと変化していることもあわせて示しているといえます。

まちづくりについての重点事項

(ク) 川崎市を取り巻く厳しい財政状況

 バブル経済が崩壊し、それ以降景気低迷が続く中、川崎市の財政状況は厳しさを増しています。
 歳入面での長期にわたる税収の伸び悩みに加えて、歳出面では、高齢化の進行や景気低迷の影響を受けて、生活保護費等の扶助費が増大を続けています。さらに、景気低迷の状態を打開するために実施してきた景気対策が十分にはその効果を発揮せず、その結果、市債残高を増嵩させ、一層の財政の逼迫を招く要因となっています。
 こうした厳しい財政状況の原因は、景気変動に伴う単なる一時的な税収減によるものではなく、構造的な経済問題とともに、長年継続してきた行政運営のしくみの制度疲労や、少子高齢化の進行という根本的なところにあると考えられます。

市債発行額、市債残高の推移(一般会計)
市税収入の推移

お問い合わせ先

川崎市総務企画局都市政策部企画調整課

住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地

電話: 044-200-2550

ファクス: 044-200-0401

メールアドレス: 17kityo@city.kawasaki.jp

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