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川崎市基本構想(HTML版)

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川崎市基本構想(平成27年12月15日議決)

目次

 1 趣旨・目的
 2 めざす都市像とまちづくりの基本目標
 3 基本政策
  (1) 生命を守り生き生きと暮らすことができるまちづくり
  (2) 子どもを安心して育てることのできるふるさとづくり
  (3) 市民生活を豊かにする環境づくり
  (4) 活力と魅力あふれる力強い都市づくり
  (5) 誰もが生きがいを持てる市民自治の地域づくり

1 趣旨・目的

 川崎市は、多摩川や多摩丘陵などの自然、地域に根付いた文化やスポーツ、京浜臨海部の一翼を担ってきた産業の集積、交通・物流の利便性などの特色を持つ、首都圏の大都市として存在感を増しています。

 歴史を振り返ると、先人たちは、さまざまな苦難を乗り越えてきました。戦災や、急激な経済成長の過程で直面した深刻な公害問題、右肩上がりの経済成長の終焉など、これまで直面してきたさまざまな困難な局面において、知恵と工夫をもって挑み、乗り越え、ピンチをチャンスに転換して発展を成し遂げてきました。

 この挑み続ける精神こそが川崎の強みであり、この強固な基盤のもとに、音楽や文化、スポーツなどに彩られた、利便性の高い生活都市として、また、脈々と受け継がれてきたものづくり産業の伝統や、人口減少及び超高齢化という状況下においても成長が見込まれる、生命科学・医療技術、環境、福祉などの新たな産業が息づく都市として、生き生きと発展を続けています。

 その結果、市民が抱く川崎のイメージは、かつての「公害のまち」といったマイナスのイメージから、「住みやすく、活力にあふれたまち」といったプラスのイメージへと大きく変わってきています。

 一方で、我が国は、長く続く低成長や超高齢社会の到来により、国・地方を通じた財政状況の悪化と生産年齢人口の減少というかつてない困難に直面しており、これは、政令指定都市の中では比較的市民の平均年齢が若い都市である川崎市においても、今後の30年程度を展望したときに避けて通れない課題となっています。

 こうした局面において、これまで幾多の困難を乗り越えてきた川崎市の役割と責任は、ますます重要性を増しており、その伝統と精神を継承しながら、世界に冠たる技術や人材など、これまで蓄えた市民や企業・研究機関・行政等が持つかけがえのない財産を活かして、更なる持続的な発展に向けて、社会全体で挑戦し続けなければなりません。

 このような思いのもと、ここに、川崎市がめざす都市像及びまちづくりの基本目標を掲げるとともに、地域の力を結集し、将来に向けてまちづくりに取り組みます。

2 めざす都市像とまちづくりの基本目標

 めざす都市像

 「成長と成熟の調和による持続可能な最幸のまち かわさき」

 まちづくりの基本目標

 「安心のふるさとづくり」「力強い産業都市づくり」

 市民が幸せに暮らし続けるためには、心のよりどころとなる「安心のふるさとづくり」を進めていく必要があります。安心のふるさととは、子どもたちの笑顔があふれ、高齢者をはじめとした誰もが多様な生き方や考え方を寛容に認め合いながら、寄り添い、支え合い、社会に貢献することで生きがいを持ち、日常生活の質的な充足や郷土への愛着と誇りを強く感じることができる成熟したまちです。

 こうしたまちづくりを進めるには、市民が主体となったさまざまな取組に加えて、必要な市民サービスを将来にわたって安定的に提供していく必要があります。そのためには、自助・互助・共助・公助のバランスのとれた地域運営を進めるとともに、川崎市が持続的に成長していくことが不可欠です。

 これまで築いてきた産業の集積や、首都圏の中心に位置する恵まれた立地条件などのポテンシャルを活かして、今後成長が見込まれる分野の産業振興をさらに進めます。また、暮らしの質を向上させるような新たな価値を、企業・団体などの多様な主体と共に創造するなど、地域経済の活性化を図りながら、環境問題をはじめとする国際的な課題解決へ貢献し、我が国の持続的な成長を牽引する「力強い産業都市づくり」を進めます。

 このように、成長と成熟が調和した持続的な発展を通じて、我が国、アジア、世界の平和と繁栄に貢献し、誰もが幸せを感じられる川崎をめざしたまちづくりを進めるとともに、この素晴らしいまちを、未来を担う子どもたちに引き継いでいきます。

3 基本政策

(1) 生命を守り生き生きと暮らすことができるまちづくり

 市民が安心して暮らすためには、市民の生命や財産などが確実に守られることが必要です。しかし、従来の防災の取組だけでは対応が困難な大規模な災害や、世界的規模で見られる気候変動による影響など、安全が脅かされるような出来事が増加していることから、誰もが安心して暮らせるよう、市民の身近な安全や生活基盤の確保に取り組むとともに、都市全体の安全性の向上を図り、大規模災害にも耐えられるまちづくりを進めます。

 また、超高齢社会にあっても、高齢者や障害者など、誰もが個人としての自立と尊厳を保ちながら、住み慣れた地域や自らが望む場で、安心してすこやかに生き生きと暮らせるまちづくりを進めます。

(2) 子どもを安心して育てることのできるふるさとづくり

 子どもや若者が、夢や希望を抱いて、安心して生きていける社会の実現のために、出産・子育てから、子どもの成長・発達の段階に応じた「切れ目のない」支援を進めるとともに、子どもや、子育て家庭に寄り添い、共に、幸せに暮らすことができる地域づくりを進めます。

 また、未来を担う子どもたちが、乳幼児期には、情緒の安定とともに、他者への愛着や信頼感を醸成し、学齢期には、社会の中で自立して主体的な人生を送る基礎を築くとともに、個人や社会の多様性を尊重し、共に支え、高め合いながら成長し、若者として社会に力強く羽ばたいていく姿を市民が実感できるような社会をめざします。

 さらに、生涯を通じた、市民の学びや活動を支援することで、それぞれの市民が持つ経験や能力が地域の中でつながり、さまざまな世代が交流しながら、社会的な役割として活かされるような環境づくりを進めます。

(3) 市民生活を豊かにする環境づくり

 大気、緑、水、土壌、資源など、さまざまな自然の恵みは循環や再生を繰り返しながら、私たちの生命を支え続けており、生き生きとすこやかに暮らしていくためには、環境を守ることが不可欠です。

 地球温暖化や資源・エネルギー問題など地球規模での環境問題がより深刻化する中で、環境変化に対して柔軟に適応するとともに、市民、事業者などと協働しながら、地球や地域の環境保全を進め、健康で快適に暮らし続けることができる持続可能なまちづくりを進めます。

 また、川崎がこれまで培ってきた優れた環境技術や、公害を克服する過程で得られた経験を活かして、新たな環境技術を創り出すとともに、多くの市民にとって母なる川とも言える多摩川や、多摩丘陵など、生活にうるおいとやすらぎをもたらす市民共有の貴重な財産である緑を次世代に継承するなど、人と自然が共生する社会を、さまざまな主体と力を合わせてつくりだしていきます。

(4) 活力と魅力あふれる力強い都市づくり

 我が国が直面している少子高齢化やエネルギー政策の転換、地球温暖化などの課題を新産業の創出に結びつけるとともに、成長を続けるアジアをはじめ、世界と競いながら、付加価値の高い、活力ある産業の集積等を促進することなどで、国際的な課題解決に貢献する、環境と調和した持続可能な産業都市づくりを進めます。加えて、意欲ある人が自らの能力や個性を活かして働くことができるよう、人材育成や多様な就業が可能な社会の実現をめざします。

 首都圏における、近隣都市の拠点との適切な連携のもとで、それぞれの地域特性を活かし、魅力にあふれ多くの人が市内外から集まる広域的な拠点整備を推進するとともに、まちの成熟化に的確に対応し、誰もが安全で安心して暮らせる身近なまちづくりを進めます。

 また、これらの拠点を結び・支える基幹的な道路や鉄道と、自転車や徒歩も含めて、少子高齢化の急速な進展などの社会状況の変化を見極めながら、誰もが快適に利用できる身近な交通環境の強化をバランスよく進めるまちづくりを基本として、民間活力を活かした、総合的な整備を進めます。

 さらに、それぞれの地域の歴史や文化に根ざした川崎らしさを大切にするとともに、スポーツや音楽などの地域資源を磨き上げ、それらが融合しながら変貌を遂げる国際都市川崎の多彩な魅力を発信します。こうしたことにより、都市ブランドを確立し、市民が愛着と誇りを持ち、一層多くの人々が集い賑わう好循環のまちづくりを進めます。

(5) 誰もが生きがいを持てる市民自治の地域づくり

 「まち」は、生まれ、育ち、学び、働き、楽しみ、支え合うといった先人たちの営みの上に形づくられてきたものであり、さらに将来にわたって発展させていくものです。

 地方への分権が進む中、まちづくりの主役は、そこで暮らし、活動するすべての市民、団体、企業などであることから、市民と行政の「情報共有」「参加」「協働」を基本としながら、市民が主体となって、地域の身近な課題解決を促進するとともに、多様な人々が生涯にわたって生きがいを感じ、共に認め合い、支え合いながら個性と能力を発揮することができる地域社会をめざします。