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2024年4月からの労働条件明示のルール改正に向けたご準備をされていますか?(2024年2月号)

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  • 更新日:

このページは、広報誌「かわさき労働情報」のインターネット版です。

社会保険労務士 磯部 香

はじめに

労働基準法(第15条)では、使用者が、労働者と労働契約を結んだ時点で、賃金・労働時間その他一定の労働条件を労働者に対して明示するように定めており、明示事項は下記となっています。

明示事項
必ず
明示しなければならない事項
定めをした場合に
明示しなければならない事項
(1) 労働契約の期間
(2) 期間の定めがある労働契約を更新する場合の基準
(3) 就業場所及び従事すべき業務の内容
(4) 始業・終業時刻、休憩時間、休日等
(5) 賃金
(6) 退職(解雇事由を含む)
(7) 昇給に関する事項
注) (1)~(6)は労働条件通知書等の書面交付により明示が必要。労働者が希望した場合、電子メール等でも可。
(8) 退職手当
(9) 臨時に支払われる賃金、賞与等
(10) 労働者に負担させるべき食事、作業用品その他
(11) 安全及び衛生
(12) 職業訓練
(13) 災害補償及び業務外の傷病扶助
(14) 表彰及び制裁
(15) 休職


使用者が労働条件の明示をしなかった場合は、罰則(30万円以下の罰金)があり、労働者に明示した労働条件に相違がある場合、労働者には即退職する権利が認められています。労働条件の明示は、互いの認識違いや説明不足等の労使間トラブルを未然に防ぐためにも、とても重要です。

2024 年4 月から労働条件明示のルールが改正されます

2024年4月1 日以降に契約締結・契約更新をする労働者に対し、労働条件の明示事項が変更されます。2024年4月以降に追加する必要がある労働条件の明示事項4項目について、確認していきましょう。

  1. 就業場所・業務の変更の範囲
    明示の対象者:すべての労働者(正社員・契約社員・パート社員・派遣労働者等)
    明示のタイミング:労働契約の締結時、有期労働契約の契約更新時
    明示の内容:雇入れ直後の就労場所・業務内容だけでなく、将来の配置転換等によって変わる可能性がある就業場所及び業務内容を明示します。(就業場所・業務内容が限定されない場合、「会社の定める事業所」「会社が指示する業務」のような記載も可。)
    記載例
    (就業の場所)
      ・雇い入れ直後:川崎支店
      ・変更の範囲:川崎支店及び神奈川県内の事業所
    (業務内容)
      ・雇い入れ直後:経理業務
      ・変更の範囲:経理業務、総務業務、人事業務
  2. 更新上限の有無と内容
    明示の対象者:有期契約労働者(契約社員・パート社員・アルバイト・派遣労働者等)
    明示のタイミング:有期労働契約の締結時、契約更新時
    明示の内容:更新上限がある場合、通算契約期間または更新回数の上限を明示します。
    記載例
    (更新上限あり)
    「契約期間は通算2年を上限とする」「契約の更新回数は2回まで」
    (当初は更新上限なく、途中から定める場合)「通算契約期間の上限は4年間とする。」
    注1)更新上限の新設・短縮する場合、事前に労働者に文書を交付し、説明しましょう。
  3. 換申込機会 及び 4.無期転換後の労働条件
    明示の対象者:有期契約労働者(契約社員・パート社員・アルバイト・派遣労働者等)
    明示のタイミング:無期転換申込権が発生(=5年を超える)する労働契約の更新ごと
    注2)初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約満了後、無期転換の申込がなく、有期労働契約を更新する場合は、更新の都度、明示が必要です。
    明示の内容:無期転換申込の機会、無期転換申込後の労働条件を明示します。
    記載例:本契約期間中に、会社に対して期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の締結を申し込みしたときは、本契約期間の末日の翌日から、無期労働契約での雇用に転換することができる。この場合の本契約からの労働条件の変更の有無(無・有(別紙の通り/ 別紙に記載))
  • 無期転換ルールとは…
    同一企業で有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者からの申込により無期労働契約に転換されるルールのことです(2013年4月以降の契約が対象)。
    例) 1年更新の場合→ 5 回目(=5年超)更新後の1年間に無期転換申込権が発生し、労働者が無期転換申込権を行使すると、その次の契約から無期契約となります。
無期転換ルール

労働条件明示のルール改正の背景の1つは、職務や勤務地等を限定した多様な正社員制度など働き方の多様化に応するため、2つ目は有期契約労働者の無期契約転換への対応です。特に、有期契約労働者を雇用する事業所は、2024年4月以降に無期転換申込権が発生する労働者の有無を確認し、無期転換後の労働条件についても検討しておきましょう。
全労働者に将来の変更範囲を含む労働条件を明示すること、有期契約労働者が無期転換ルールを理解して申し込みを判断できるようにすることは、使用者にとって労使間の認識の相違や有期契約労働者の無期転換をめぐるトラブルを未然に防ぐことになります。加えて、労働者にとっては、キャリア形成がしやすくなり、安心して働けるようになるのではないでしょうか。
なお、2024年4月以降に求人を募集する際も明示すべき労働条件が追加され、就業場所・業務の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準、通算契約期間・更新回数の上限の明示が必要となります。

おわりに

労働条件明示のルール改正については、下に記載した厚生労働省のホームページ(モデル労働条件通知書等)を参照の上、準備しましょう。個別のお困りごとについては、都道府県労働局/ 監督課、雇用環境・均等部(室)、全国の労働基準監督署、お近くの社会保険労務士などにご相談ください。

厚生労働省ホームページ

労働条件明示のルール改正について https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html外部リンク

有期契約労働者の無期転換ポータルサイト
https://muki.mhlw.go.jp/外部リンク

労働条件明示のルール変更(パンフレット) https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156048.pdf外部リンク

モデル労働条件通知書 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156118.pdf外部リンク