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3.個別施策・事業に関する提言

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2004年11月8日

コンテンツ番号28308

 個別施策・事業について(1)条例事業 (2)施設の運営に関わる事業(育ち・学ぶ施設、子どもが利用する施設)(3)こども文化センター及び主に子どもが利用することが想定されている施設 (4)共通事業に分け、実態、成果、課題を先述したが、それらの課題についてどのような方向性で方策をとっていく必要があるかを提言する。
 子どもの権利保障を推進するうえで、(1)現状で最も戦略的に重点的に取り組む必要のある意識変革、(2)子ども夢パークやこども文化センターなどの子どもの居場所・活動場所における参加、(3)育ち・学ぶ施設における参加、そして(4)子ども会議などの社会参加という4つの項目にわけて提言を行うこととする。

(1)子どもの権利・参加の権利に関する意識変革

 子どもの権利について、子ども、おとな、職員が的確に理解し、行動していくことは、子どもを含むすべての人が豊かな関係のなかで暮らしていくことにつながる。今回の検証の結果、子どもの権利、とくに参加の権利についての認識度が低く、意識改善に向け更なる取組が必要であることがわかった。
 現在進めている広報、権利学習、権利学習資料作成、権利学習のための講師派遣、かわさき子どもの権利の日事業などの、条例が求めるさまざまな事業を各担当部署でそれぞれに行っていくだけではなく、広報、教育・学習支援、研修等を市として総合的に計画的に推進していかなければならない。子どもの権利に関する意識変革のための市としての総合的な戦略が必要である。

ア 子ども主体の取組のための条件整備

 教育活動の一つとして職員、おとなが子どもに子どもの権利について教えるとともに、子ども自身が子どもの権利について広報活動を行ったり、学習資料を作成したり、あるいは権利学習のリーダー的存在に育つことを支援する視点を持って取組むことが必要である。
 例えば広報についていえば、子どもの活動拠点において子ども自身が編集主体として、新聞、活動誌、行事のパンフレットなどを作成するように、(1)編集作業に必要な物品を使用できるように整える、(2)子どもが編集主体として力をつけることができるよう研修や助言を行う、(3)子どもの権利に関する学習を支援することなどが当面必要となる。子どもが主体的に担っていくための条件整備として何が課題となるのか検討していくことが重要である。

イ 広報計画

 さまざまな事業、取組を単発で広報するのではなく、市として条例の広報戦略を持つことが必要である。その成果指標として、子ども、おとなの条例の認知度、理解度があげられるが、子どもの権利の普及について、獲得目標、対象(小・中・高校生年代別の子ども、おとな、職員)、手段(媒体を含む)、内容などを総合的に勘案した広報計画が求められる。有効性、効率性という視点からも、広報の時期、手法などについて検討する必要がある。

ウ 子どもの権利教育・学習の研究

 21世紀は「人権の世紀」といわれ、「人権教育のための国連10年」などが取り組まれている今日、子ども期の人権教育は「子どもの権利教育」を基本にすることが、子どもの権利認識の形成や子どもの成長にとって最も重要である。市においては権利条約・条例の理念、趣旨を踏まえ、市民社会の構成員である子どもが権利主体として育つことができるよう系統的に「子どもの権利教育・学習」、「市民」としての力をつけていくような教育・学習を実施していくためのカリキュラム、教材等について研究開発することが必要である。
 現在、学校では「心(こころ)のノート」の配付などにより心に関する教育も取り組まれているが、子どもの権利の視点と保障が不可欠であることに留意すべきである。学校や保育園等で、子どもの権利教育・学習について、子どもの成長段階に応じた指導内容、指導方法はまだ模索の段階であるが、教育委員会は少なくとも年間の授業カリキュラムのなかに位置づけることができるようなプランを提示すること、民間団体の手法や他の学習方法の効果的な組み合わせを提示することなど、学校現場が取り組みやすいように支援を進めることが必要である。
 また、一方において国語、社会、家庭、道徳、総合的な学習の時間等の既存の枠のなかで子どもの権利について学習することも重要であるので、教育委員会はこれまでの人権教育等の成果をふまえ、各教科等のなかでの指導の視点、手法、教材資料の提供に一層努める必要がある。また、人権オンブズパーソンの実践成果をはじめ身近な事例や具体的な事例を踏まえた資料作成にも考慮することが必要である。
 権利学習の指導方法や学習資料の効果的使用方法について、(1)権利学習を進めようとする教師の自主的な取組の後押しができるような実践報告会や交流会の開催をより一層進めること、(2)教師対象の研修を充実させ、意見交換の場を設けるなどして、学校で取り入れやすいように支援をすることが必要である。
 なお、児童養護施設に入所している子どもたちに対しては神奈川県、横浜市との3団体で「子どもの権利・責任ノート」を作成・配付している。川崎市では、条例の精神を生かした「子どもの権利ノート」として改編することが求められており、神奈川県や横浜市にその趣旨を十分に理解し新たな取組に着手できるよう働きかけることが重要である。

エ 職員研修、実践交流、評価の充実

 市職員・教職員、とりわけ子どもに関わる担当部署の職員・教員は、子どもの権利を基本に事業執行を図っていくことが求められる。市民との対話で指摘があったように、教職員の子どもの権利についての認識、理解が十分ではなく、とくに子どもの参加の権利に関する認識は低いのが現状である。条例がうたう子ども像と現実の子ども像のずれから、「本音」の部分で「権利だけを教え、義務や規範が伝えられないことを杞憂する」教職員が意外に多いのも現実である。子どもが権利の基本概念を学び、行使し、経験を通して身につけていくことで、子どもがどう変わったか、また、おとな・教職員が研修や学習を積み重ねていくことで、子どもとの関係性をどうとらえ直したかなどの効果を評価し、確認していくシステムを確立することが必要である。特に、子どもの意見表明・参加の権利を尊重し、支援するための具体的方法(例えば実践例を紹介する、実践交流の場を設定するなど)の蓄積を図ることも重要である。

オ 市民グループのネットワーク化

 市民意識の改革において、行政だけが「旗振り」をしてもその限界は明らかであり、行政が地域において子どもの権利保障を推進しようとするNPO、市民活動団体、市民グループなどと有機的な連携を図り、それぞれの活動の主体性、独自性を尊重しながら緩やかなネットワークを構築していく必要がある。
 かわさき子どもの権利の日事業においては、より地域に根ざした普及啓発活動ができるように、区役所や市民館にも働きかけて行政区レベルでの取組を模索したり、また、市民企画事業の充実を図ることにより新たなグループの参加を図ったりするなど、幅広い取組が期待される。かわさき子どもの権利の日のつどいを、そのような市民のさまざまな取組をさらに発展させる場として位置づけ、緩やかなネットワーク化の場として活用するなど連携・協働の視点から広がりがもてるように検討していくことも重要である。

(2)子どもの居場所、活動場所における子どもの参加

ア 運営への子どもの参加

 子どもの居場所や能動的な活動拠点として子ども夢パークが開設され、また、この4月からこども文化センターが小学生中心の活動の場から中高校生の居場所としての役割を重点的に担うこととなったが、各施設は、“子どもの子どもによる子どものための場づくり”の推進を明確に打ち出す必要がある。
 その大きな柱として各施設の「運営協議会(委員会)」に子どもの意見を反映させることができるように、運営協議会(委員会)に子どもが少なくとも一定の割合参加することを保障するよう進めていくことが大切である。その際、子どもの参加を支援するおとなの役割という視点からおとな委員の選考についても配慮すること、子ども委員の選考については子どもの継続性及び代表性についても配慮することが必要である。

イ 意見表明していない子どもへの配慮

 施設の運営については、能動的な子どもの活動を支える視点とともに、意見表明や能動的な活動をしない子ども(サイレントマジョリティ)にとっても居場所であることを念頭におくべきである。能動的に活動する子どものグループに参加しづらいと感じる子ども、ぶらりと訪れたときにも安心してほっとできる、どこかで「自分の居場所」と感じることができる雰囲気づくりや困難な問題にぶつかったときに気軽に相談にのってもらえるような機能づくりなどについても積極的に検討する必要がある。例えば人権オンブズパーソンが子ども夢パーク、こども文化センター、児童福祉施設などへ出向き相談を行ったり、苦しんでいる子どもより少し上の年代の子どもが話し相手(ピアサポート)となり、ともに悩んだり、苦しんだりする場を設定するなど検討することが必要である。

ウ 子どもの参加の支援方法に関する研修等

 参加のためのシステムづくりだけを優先しても運営を担う子どもが育っていなければ、内実のない形だけのもので終わってしまう恐れがある。子どもの主体形成を意識した「仕掛け」を用意するとともに、子どもの意見表明・参加を支えるおとな・職員側の支援の方法をあらかじめ学習しておくことが必要となる。
 子ども施設の職員やサポーター、運営協議会など子どもを支えるおとなを対象に、(1)子どもの権利、意見表明・参加、支援の方法等について研修を体系的に計画、実施していく、(2)実践交流の場を開催するなど、支え手をサポートしていくことが必要である。

(3)育ち・学ぶ施設における子どもの参加

ア 学校教育推進会議

 学校教育推進会議は現状では学校における子どもの参加のしくみ、「ともに学び、支えあう」学校づくりを推進していく鍵をにぎっているものの一つである。会議の意義や必要な情報の提供などの会議の事前準備、運営のしかた(構成人数、委員の選出方法、議題等)、子どもが意見を言いやすい雰囲気づくりなどの支援のしかた、会議の内容の報告やその共有、各団体へのフィードバックのしかたや関係調整などについての事例の紹介や交流会を行い、この会議のあり方を実践的に深めていく必要がある。
 この会議が子どもにとってはその意見表明・参加の場であることを基本にしつつ、教育活動の基盤となる人間関係を構築する場でもあることを踏まえ、子どもが意見表明・参加をする「力」を形成していくことを支援することも重要である。
 また、教育委員会が学校のさまざまな場面に子どもの参加が推進されるように学校(園)に働きかけをしていくことが必要である。
 学校教育推進会議における話合いがメンバー各層の基礎組織(教職員、PTA、地域団体、生徒会等)に還元され、それぞれの話合い、取組がまた、この会議にフィードバックされるという循環を通して「ともに学び、支えあう」学校づくりが行われるよう意識的に取組んでいくことが必要であり、教育委員会はその視点をこれまで以上に校長会などを通して伝えていくことが大切である。

イ 「ともに学び、支えあう」学校づくり

 学校が地域に開かれ、地域に支えられる学校づくりが提唱されて久しい。教職員、保護者のなかに地域住民が加わり、さらに子どもが参加することで「ともに学び、支えあう」学校づくりを推進することができるよう教育委員会として具体的支援をしていくことが必要である。
 また、実際に教育委員会や学校(園)が理念、方針や計画を立案する段階に、市民(保護者、住民)や子どもの意見を聴く機会を設けることが重要である。
 現在、学校によっては幾つかの教科に「習熟度別学習指導」が採り入れられている。この「習熟度別学習指導」を採用するのかどうか、また習熟度別クラス編成する際にも、子どもの意見を十分に聴き、また、その結果についても十分に説明をすることが必要である。
 代表委員会や生徒会が子どもの意見を集約し、深める場として機能し活性化するためにどのようにするのか、子どもの参加という視点から生徒指導をどのように捉えなおすかなど、学校内での日常的な子どもの参加について教職員が意見交換したり、研修・交流したりする機会を積極的に設けることが必要である。

ウ 情報の提供、適正手続

 子どもが育ち・学ぶ施設のさまざまな場において、おとなと対等に意見を述べるにはあらかじめ子どもに十分な情報が理解できる形で提供されなければならない。また、学校での教育的指導としての家庭謹慎、卒業(進級)判定等子ども自身の処遇に関わる事項や進路決定等子どもの将来に大きな影響を及ぼす事柄について、子ども本人が意見表明・参加できるように十分な情報が提供されなければならない。
 また、同時に個々の子どもの生活を大きく変える可能性のある事項―例えば卒業(進級)判定、家庭謹慎、進路決定、施設入所、入所施設変更等―については、学校、福祉施設などの施設側の判断のみで決定されるという事態や不安が生じることがないように、その決定過程において、子どもが意見を表明できる環境を整え、意見を聴く機会を保障するなどの手続を明文化していくことが必要である。もちろん、保護者、関係者、場合によっては専門家の意見を聴く機会を設けること、また、子ども(代弁者としての保護者)からの異議申立ての手続も織り込むことも忘れてはならない点である。

エ 「保育推進会議」の設置

 学校(園)から保育園に拡大していくことが課題となっているが、学校教育推進会議の事例を参考に、「保育推進会議」を設置することが必要であると考えられる。その際、各保育園が園の実状に応じた取組を自主的に行うことが大切であるが、幼稚園における卒園生の参加などの手法が参考となる。

オ 児童福祉施設運営への子どもの参加

 また、児童養護施設などの児童福祉施設においても、施設の運営を協議する会議に構成員である子どもが意見を表明し、参加できるよう制度化を検討するように行政として施設に働きかけを行うことが必要である。そのためには、その前提として施設自体が地域に開かれていること、施設職員以外の第三者が運営に関与していることが望ましいと考えられる。
 児童養護施設等においては、子どもが自分の処遇について不安を抱いている点や子ども自身が参加意欲を十分にもてない状況にある点を考慮し、施設での生活の単位を小規模(グループ制にする)にしたり、子どもに対する適切な説明責任を果たしたりすることにより子どもの参加意欲を高めるなどの参加を支援する方策を実施するように、施設に働きかけを行うことが重要である。

(4)子どもの社会参加(子ども会議、まちづくりなどへの子どもの参加)

 市子ども会議は市政への子どもの意見表明・参加の場であり、社会参加への一つの「扉」でもある。
 市子ども会議等条例事業において試行錯誤を繰り返しながら積み重ねられる子どもの参加の支援方法を広く周知することにより、地域をはじめとする社会における子どもの参加の推進を図っていくことが重要である。

ア 市子ども会議に参加していない子どもの意見表明

 積極的な参加意欲を持つ子どもは少数で、固定化しつつある傾向を踏まえて、市子ども会議へ常に新しい子どもの参加を呼びかけたり、参加できない子どもや参加しにくい、参加していない子どもにも配慮し、その意向を十分に反映できるように、市子ども会議を支えていく具体的な手だてを検討する必要がある。

イ 子ども会議の連携強化

 市子ども会議と地域教育会議の子ども会議などとの連携強化をより一層図っていくことが望ましい。そのためには、まず支え手であるおとな側がつながっていくことが重要である。支える側の支え方についての情報交換や相互交流から子ども同士の継続的な関わりが生まれてくる可能性があり、子ども会議がつながっていくことで権利主体の形成づくりにおいて相乗効果を生むことも考えられる。
 また、市子ども会議や行政区・中学校区の地域教育会議の子ども会議等の子ども同士がつながり、その輪がひろがっていくように、子どもの発意による合同のイベントの開催、支え手同士の研修、相互交流などを行っていくことが望ましいと思われる。

ウ 子どもの参加のサポーター養成の検討

 市子ども会議のサポーター養成のための講座が開催されているが、その他の事業や地域で子どもの参加を支えるサポーターについても養成を検討していくことが大切である。
 子どもの能動的な活動を支えるサポーターとしての役割とともに悩みを抱え苦しんでいる子ども、積極的な参加意欲を持たない子どもを精神的に支え、参加意欲を高める役割をも担うサポーターの養成が求められている。

エ 継続的な参加支援の検討

 子ども夢パーク開設に伴い、活発化する子どもの日常的な活動を支えることは行政では難しい。子どもを支える支え手を支援していく方向で検討しなければならないが、その間接的な参加支援のありかた、システムを検討していくことが求められている。

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