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シッシー君の文化財探訪日記 2025年6月

  • 公開日:
  • 更新日:
シッシー君 自画像

 川崎市内の豊かな歴史や魅力を物語る文化財や博物館等の情報を、川崎市文化財キャラクターのシッシーくんがご紹介します。
 【シッシーくん】
 市域3か所に伝わる獅子舞から生まれた文化財の精。川崎市の文化財保護推進キャラクター。
 性格はおっちょこワイルド。好物はかわさき育ちの野菜・果物。口癖は「シッシッシー」。

 皆さんこんにちは、シッシーです!

 今年の6月20日は庚申の日。ボクは庚申塔めぐりで庚申待の予定ッシー☆

市内の庚申塔調査を行いました。

 川崎市では、文化財ボランティアとともに石造物の調査をしています。令和5年度から6年度の2年間は、市内の庚申塔を調査しました。

 庚申塔は、60日に1度めぐってくる「庚申(かのえさる)」の夜を眠らずに過ごす「庚申待(こうしんまち)」を3年間18回続けた記念に建てられました。

 庚申の日の夜は、人間の体の中にいる「三尸(さんし)」が天に上り、天帝にその人の罪過を報告すると信じられていたため、三尸が体から抜け出さないように、一晩中寝ずに過ごすことを「庚申待」というんだって。

 調査した庚申塔のうち、ボクが注目したものについて、みなさんにお知らせするッシー。

文政10年建立庚申塔(道標) 川崎区渡田 さつき橋バス停付近 

川崎区渡田 元禄10年銘庚申塔道標

 川崎駅前からつづく新川通のさつき橋バス停(川崎駅方面)ちかくの歩道には、文政10(1827)年に建てられた道標を兼ねた庚申塔があります。
 正面に刻まれた青面金剛像(しょうめんこんごうぞう)は坐像で、その下には三猿像と銘文が刻まれています。青面金剛像とは、仏教の守り神で、とくに病気や悪霊を追い払ってくれると信じられていたそう。 
 文字通り青い怒ったお顔で、6本の腕に武器や法具をもち、頭に蛇を絡ませている姿であらわされることが多いんだ。
 この庚申塔の正面の銘文には、南此方/渡田村道、小田村道」と刻まれています。
 向かって右側面には「東此方/大嶋 /大し」、左側面に「西此方 川さ記」、背面に「文政十丁亥四月庚申日/北此方 川さき」とそれぞれの方向が示されています。
         

享保15年銘手水石(ちょうずいし)  幸区矢上 観音寺

幸区矢上 観音寺の享保15年手洗石

 北加瀬村の庚申講中によって、享保15(1730)年に奉納された手水石です。
 川崎市域の庚申塔のうち手水石の形態をしているのは、ボクが知っている範囲では、この手水石だけです!
 さらに注目されるのは、手水石の縁の部分には多数の盃状穴があることッシー。
盃状穴については、長くなるので、また今度☆

寛文3年銘庚申塔 中原区新城 又玄寺 

又玄寺 寛文3年銘地蔵庚申塔

 丸彫りの地蔵菩薩像で、背中の銘文「武州立花之郡稲毛庄新上村/庚申之供養/寛文三癸卯年九月吉日」から、寛文3(1663)年に庚申塔として建てられたことがわかります。
 川崎市内で見つかっているうちでも古い庚申塔の一つです。これらの古い庚申塔の本尊は、地蔵菩薩や阿弥陀如来などほとけの姿が表されていることが多く、やがて青面金剛像へと変化していくんだって。

慶応4年銘馬頭観音庚申塔 高津区久本 薬医門公園 

  武蔵溝ノ口駅南口ロータリー近くの薬医門公園は、もともとこの地域の医家・岡家の屋敷跡に門と土蔵をのこして整備した公園です。

 敷地東側の薬医門の前に、いくつかの石造物があり、そのうちの1つが馬頭観音を表した庚申塔です。
久本 慶応4年銘馬頭観音庚申塔

 青面金剛と馬頭観音は、怒ったお顔や、腕が複数あるなど共通していることが多いです。
 この庚申塔については、頭上の標識や正面に両手で結んだ印の形はよくわからないのですが、右ひざを立て、足の裏を合わせた座り方をしていること、持物に数珠が含まれることから馬頭観音と判断したんだって。
 じゃあ、なぜ庚申塔と判断したかって?
 それは左側面に「□□口□□道/庚申塔/願主/三富氏/□小杉川崎道」と銘文があり、庚申塔として建てられたこと、道を示す道標であること、三富さんが建てたことが分かるからだッシー。

元禄10年銘庚申塔 宮前区菅生 秋月院入口

秋月院いぼとり地蔵の祠内の庚申塔

 秋月院の参道入口の左には、「いぼとり地蔵」の祠があり、この祠には主尊を一猿とする庚申塔が一緒に祀られています。
 よく見ると、「聞かざる」のポーズです。猿の頭上には太陽と月が彫られ、銘文には「奉修庚申供養」「元禄十丑年十二月十四日」とともに、「武州橘之郡/下菅生村」と奉納した人たちの氏名が刻まれています。
 猿、しかも一猿だけを表す庚申塔もあるんだッシー!

榎戸の庚申塔 多摩区登戸 小泉橋 

榎戸の庚申塔

 二ケ領用水にかかる小泉橋のたもとに、江戸時代の富士講の一派「丸山講」の人々が明治3年に建立した庚申塔です。塔の正面には、富士山の姿や「庚申神」の文字が刻まれています。また、基礎も含め高さは約2.5mにも及び、市内でも随一の大きさです。 
 地元では「庚申さま」と呼ばれているそうで、元旦祭が現在まで地元町会に受けつがれているそうです。
 富士山信仰や庚申信仰など、いろいろなものがまじりあっているのも面白いッシー!

宝暦4年銘庚申塔 麻生区高石3丁目 二枚橋付近 

岡上神社の安政2年銘庚申塔

 津久井道から高石の交差点をよみうりランド方面へ曲がると、五反田川にかかる二枚橋があります。二枚橋を通りすぎると、右手に石造物が並ぶ一角があり、そのうちひときわ立派なのが庚申塔です。
 宝暦4(1754)年に建立された駒形の青面金剛像庚申塔で、体をまるめた邪鬼の上に、青面金剛像が立ち、六本の腕は正面で合掌するほか、弓矢や宝輪を持っています。 
 塔の下のほうには、向かって左から「見ざる・言わざる・聞かざる」と三猿が並び、側面には地元高石村の人々の名前や造立された年代が刻まれています。

 今回調査した庚申塔のうち、ボクが面白いなと思ったものを各区1基ずつご紹介しました。庚申塔めぐりをしながら、昔の人々がどんなことを考えていたのか、思いを巡らせてみるのも楽しいッシー!

 市内にはまだまだ興味深い石造物がたくさんあるので、また調査が進んだら皆さんにお知らせしたいと思っています。お楽しみに☆

 


お問い合わせ先

川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課

住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地

電話: 044-200-3305

ファクス: 044-200-3756

メールアドレス: 88bunka@city.kawasaki.jp

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