シッシー君の文化財探訪日記 2025年2月
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川崎市内の豊かな歴史や魅力を物語る文化財や博物館等の情報を、川崎市文化財キャラクターのシッシーくんがご紹介します。
【シッシーくん】
市域3か所に伝わる獅子舞から生まれた文化財の精。川崎市の文化財保護推進キャラクター。
性格はおっちょこワイルド。好物はかわさき育ちの野菜・果物。口癖は「シッシッシー」。
皆さんこんにちは、シッシーです!
暦の上では春だけど、まだまだ毎日寒いですね。
手洗いうがいをして風邪をひかないように気をつけるっシー!

川崎市重要歴史記念物「細山坂東谷古墓出土火葬骨蔵器」の修復が完了しました!
令和元年の台風被災により壊れてしまった細山坂東谷古墓(ほそやま ばんどうやと こぼ)出土の火葬骨蔵器の修復がようやく完了しました。
今回は、修復が終わるまでの道のりと修復が完了した骨蔵器の最新の姿をご紹介するっシー!!

細山坂東谷古墓ってどんな遺跡?
細山坂東谷古墓は麻生区千代ヶ丘にある遺跡です。
平安時代の4つのお墓から、火葬した骨を納めるための土師器製骨蔵器が合計9点発見されました。
通常、骨蔵器は畑の耕作中などに偶然発見されることが多いのですが、細山坂東谷古墓の火葬骨蔵器は発掘調査によって得られたため、出土状況が分かる貴重な資料です。
当時の葬儀の様子を研究する上でとても重要であることから、川崎市重要歴史記念物に指定されているっシー!

細山坂東谷古墓出土火葬骨蔵器(被災前)

台風による被災
細山坂東谷の火葬骨蔵器は9世紀後半頃の日常で使用されていた土器を骨蔵器に転用したものです。
この時期の土器はとても薄いのが特徴で、厚さは薄いところで2~3mmほどしかありません。
とっても薄くてビックリ!!
薄く壊れやすい土器なので、令和元年10月に川崎市市民ミュージアムが台風による大雨で浸水した際、9点のうち8点が壊れてしまいました。その一部は粉々に割れてしまい、いくつかの土器が箱の中で混ざってしまったりもしたそうです。

被災直後の骨蔵器の様子




修復が終わるまでの道のり
このままでは元の形に戻すことはできないので、文化財課の学芸員が破片をよく見比べ、混ざってしまった破片を土器ごとに分け、どの破片とどの破片がくっつくか、接合関係を調べました。
9点の土器は模様もなく、どれもソックリだから、とても大変な作業!
ボクにはどの破片もみんな同じに見えてしまうっシー!

修復作業の様子

最初はバラバラの状態です。破片の色や形をたよりに、部位ごとに分類し、接合していきます。

作業が進んでくるといくつかのかたまりができてきます。

だいたいの接合関係・位置関係がわかりました!

接合関係がわかった土器は専門業者の方にお渡しし、組立ててもらいます。
バラバラだった破片同士を接合し、不足している部分はエポキシ樹脂という合成樹脂で埋めてもらいます。
最後に樹脂の部分を本物の破片に近い色に塗ってもらったら完成っシー!!

修復後の9点
修復作業を終え、生まれ変わった骨蔵器がこちら!
地道な作業の甲斐あって、とっても素敵な仕上がりになったっシー!
修復後の火葬骨蔵器(7号墓出土)
修復後の火葬骨蔵器(9号墓出土)
修復後の火葬骨蔵器(10号墓出土)
修復後の火葬骨蔵器(11号墓出土)
火葬墓は仏教の浸透とともに8世紀以降全国に広がり10世紀頃までつくられました。
川崎市域は、全国的にみても火葬骨蔵器が集中して見つかっている地域の一つです。
これは、川崎の人々が仏教という当時最新の文化を積極的に取り入れたことの表れであり、細山坂東谷古墓の火葬骨蔵器は、川崎の古代文化を特徴づけるとても重要な資料のひとつです。
修復が終わった細山坂東谷古墓の骨蔵器を展示で皆さんにお見せできる日が今から楽しみだっシー!!
お問い合わせ先
川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課
住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
電話: 044-200-3305
ファクス: 044-200-3756
メールアドレス: 88bunka@city.kawasaki.jp
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