シッシー君の文化財探訪日記 「川崎市市民ミュージアム収蔵資料紹介(小さなあなのある縄文土器))」
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川崎市内の豊かな歴史や魅力を物語る文化財や博物館等の情報を、川崎市文化財キャラクターのシッシーくんがご紹介します。
【シッシーくん】
市域3か所に伝わる獅子舞から生まれた文化財の精。川崎市の文化財保護推進キャラクター。
性格はおっちょこワイルド。好物はかわさき育ちの野菜・果物。口癖は「シッシッシー」。
2024年1月26日川崎市市民ミュージアムの収蔵品を紹介します(9)
こんにちは。シッシーです。
すっかり寒くなりましたね。今日1月26日は「文化財防火デー」です。
乾燥しやすいこの時期は、文化財の火災にも注意して欲しいっシー!
今回も川崎市市民ミュージアムの考古資料の再整理作業を見てきました。
作業の中で学芸員の目にとまった資料を皆さんに紹介するっシー!シッシッシー~。
小さなあなのある縄文土器
皆さん、こんにちは。
教育委員会事務局文化財課学芸員の竹尾です。
皆さんは、ご自身が大切にしていたモノ(容器や道具など)が、なにげなくちょっとしたことで壊れたりしたときに、すぐに捨てようとはせずに、その部分を直してみたり、壊れた部分にアレンジ(手を加えたり)をこころみて、また使いたいと思ったりしたことはありませんか。
今回は、縄文時代の人々がモノ(土器など)を取扱う際におこなった加工について、ご案内したいと思います。
縄文土器をよく見てみると、まれに土器の口縁部(こうえんぶ:土器の口の部分)の近くに「穴」が開いている土器があります。
この縄文土器についた穴を「補修孔(ほしゅうこう)」と呼んでいます。
縄文土器についた穴
なぜこのような穴(孔:あな)が開いているのでしょうか?
縄文時代の人々は土器を作る時はこのような穴を開けていません。おそらく土器の上部(口縁部付近など)にヒビ割れが入ったことで、そのヒビ割れた個所の両側に石器や竹・木の管などで円形に穴を開けたと考えられます。
また、穴の大きさは大小ありますが数ミリメートルがほとんどです。この穴の大きさに合わせて縄を通し、結んで補強し土器を使用したものと考えられます。
拓本図にあらわれた補修孔のあと
この穴は、別の遺跡の出土品にもあり、拓本図で確認できます。
補修孔は縄文時代早期の土器(今から8000年以上前)から見られます。土器の文様(もんよう)に縄目の文様が、一般的に見られるようになるころと一致するかもしれませんね。
では、なぜ補修孔を開けてまで土器を使ったのでしょうか。現代でも縄文土器作り教室などで、縄文土器の技術などの再現を行うと、1個の土器が出来上がるのに、数日から2週間程度の期間がかかります。
ですから、縄文時代の人々も時間をかけて作製した土器にできたちょっとしたヒビ割れ程度でしたら、補修する方法を選択したこともあったのではないでしょうか。
すでに縄文人は「モッタイナイ」の考えをもっていたのでしょう。
お問い合わせ先
川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課
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