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シッシー君の文化財探訪日記 「川崎市市民ミュージアム収蔵資料紹介(有効鍔付縄文土器(ゆうこうつばつきどき)」

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シッシー君 自画像

 川崎市内の豊かな歴史や魅力を物語る文化財や博物館等の情報を、川崎市文化財キャラクターのシッシーくんがご紹介します。

 【シッシーくん】
 市域3か所に伝わる獅子舞から生まれた文化財の精。川崎市の文化財保護推進キャラクター。
 性格はおっちょこワイルド。好物はかわさき育ちの野菜・果物。口癖は「シッシッシー」。

2024年2月29日川崎市市民ミュージアムの収蔵品を紹介します(10)

 こんにちは。シッシーです。今日は閏(うるう)年のうるう日です。およそ4年に1回しかやってこない2月29日の由来については、調べてみてね。

 今回も川崎市市民ミュージアムの考古資料の再整理作業を見てきました。

 作業の中で学芸員の目にとまった資料を皆さんに紹介するっシー。シッシッシー~。

有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)

 皆さん、こんにちは。

 教育委員会事務局文化財課学芸員の竹尾です。

 前回は、ヒビ割れた土器を補修するためにあけられた穴「補修孔(ほしゅうこう)」についてご紹介しました。補修孔は土器の使用中にあけられた穴でしたが、今回は、縄文土器を焼成する前に製作した穴をもつ土器について、紹介したいと思います。

写真1 しないしゅつど ゆうこうつばつきどき ふくげん

 

 土器の縁の下に粘土紐を一周させ、帯状に突き出た「鍔(つば)」を持ち、その鍔に直径5ミリメートル程度の穴を貫通させ、等間隔に一周させた土器のことを「有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)」と呼びます。

 

 この穴は、土器の製作時にあけられました。

 

 川崎市内でも麻生区黒川地区や中原区井田地区などの遺跡から発見されています。

  

土器の縁に小穴が並ぶ土器は、縄文時代前期の終わりころ(今からおよそ5000年前)につくられ始めました。

写真2 しないしゅつど じょうもんじだいぜんき ゆうこうどき

 土器の形は最初浅鉢形が多かったのですが、次第にいろいろな形が増えてきました。

 縄文時代中期の初めころは長野県や山梨県に多くありましたが、中期の後半になると東日本各地で作られるようになり、穴の位置も鍔を上下に貫通するようにあけられるようになります。

 中期後半は長野・山梨県では流行が衰えて関東地方での出土量が増えます。川崎市内で出土した有孔鍔付土器もこの時期のものが多いです。

写真3 しないしゅつど ゆうこうつばつきどき どきへん

土器の用途を考えてみましょう

   

 さて、この有孔鍔付土器は何に使われていたのでしょうか。

 

 諸説ありますが、これまでに多くの縄文時代を研究する方々によって、酒造具説・太鼓説・保存容器説(でんぷんを有する根菜類や種子などを保存)・煮沸用具説などがあげられております。

 現在では酒造具説・太鼓説が有力視されています。

 

 酒造具説は山ブドウの実が土器の中から発見されたことから、山ブドウを発酵(はっこう)させて、お酒を造っていたと想定しており、小穴はガス抜きのための穴と考えています。

 

 一方、太鼓説は土器の口におそらく動物などの皮などをかぶせて、小穴に別の被膜を用いて、栓にしてとめたとする考え方です。


 しかしなかなか根拠となる決定打が見つかりません。


 

 数年前に伊勢原市西富岡遺跡で鍔の上部に蔓(つる)が巻き付けられている土器が発見されています。

 

 有孔鍔付土器の用途を考えるための大きな手掛かりになりそうですね。

 

 みなさんはどちらの説を推しますか。それとも新たな説を唱えてみるというのもいかがでしょうか。


 

 考古学の世界はまだまだ判らないことが多く、それを解明していく楽しみがありますね。

 

お問い合わせ先

川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課

〒210-0004 川崎市川崎区宮本町6番地

電話: 044-200-3306

ファクス: 044-200-3756

メールアドレス: 88bunka@city.kawasaki.jp

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