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シッシー君の文化財探訪日記 「川崎市市民ミュージアム収蔵資料紹介(久本横穴墓出土銀象嵌鉄刀)」

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シッシー君 自画像

 川崎市内の豊かな歴史や魅力を物語る文化財や博物館等の情報を、川崎市文化財キャラクターのシッシーくんがご紹介します。

 【シッシーくん】
 市域3か所に伝わる獅子舞から生まれた文化財の精。川崎市の文化財保護推進キャラクター。
 性格はおっちょこワイルド。好物はかわさき育ちの野菜・果物。口癖は「シッシッシー」。

2023年2月3日川崎市市民ミュージアムを訪問しました~収蔵品を紹介します(3)~

  こんにちは、シッシーです。今日は節分ですね。ボクは鬼に間違えられて豆をぶつけられることもあるっシー!節分も由来があるので、ぜひ調べてみてほしいっシー!

今回も川崎市市民ミュージアムを訪問してきました。休館中の市民ミュージアムでは、考古資料の再整理作業を行っています。

 作業の中で学芸員の目にとまった資料を皆さんに紹介するっシー!シッシッシー~。

 

「銀の飾りの大刀」

皆さん、こんにちは。

教育委員会事務局文化財課学芸員の櫻井です。今回取り上げるのは、市内の横穴墓(おうけつぼ)から出土した銀の飾りを施した鉄製の大刀(たち)です。

横穴墓というのは、盛り土(墳丘)をもつ古墳と異なり、丘陵の斜面などに横穴を掘って埋葬施設とするタイプのお墓です。川崎市では古墳時代後期、6世紀後半から7世紀代を中心にたくさんの横穴墓が造られます。その中から、今回は久本横穴墓群(ひさもとおうけつぼぐん)から出土した資料をご紹介します。

久本横穴墓群

現在の久本横穴墓群の画像

 久本横穴墓群はJR南武線の武蔵溝ノ口駅の近くにあります。久本神社裏の急傾斜地崩壊対策のために発掘調査が行われ、現在も防護壁の奥には横穴墓が存在しています。 

 横穴墓は全部で7基確認されており、そのうちの3号横穴墓からは土器や玉類・耳環などのアクセサリーの他、鉄製の鏃(やじり)や刀などの豊富な副葬品が出土しています。

 鉄製の大刀は4点出土しており、50cmほどの間隔で平行に並べられていたため、埋葬者1人につき1つの刀が供えられたのではないかと考えられています。

久本横穴墓群出土の銀象嵌(ぎんぞうがん)大刀

久本横穴墓群から出土した銀象嵌大刀の画像
  それら4点の大刀のうち、1点には「銀象嵌(ぎんぞうがん)」という手法の装飾が施されています。

「象嵌(ぞうがん)」とは、金属や木材などの素材に別の素材を埋め込んで文字や模様を描き出す工芸手法です。

 

 今回ご紹介する資料の場合、鉄製の刀に細い溝を彫り、そこに銀糸を埋め込み模様を描いていますが、

鉄の表面に細かい模様を描くのはとても難しい作業です。当時の最先端技術によって作られたものといえるでしょう。

川崎市内出土の銀象嵌(ぎんぞうがん)大刀

左 溝口西耕地横穴墓群の銀象嵌大刀 右 久地西前田横穴墓群の銀象嵌大刀の画像

 川崎市内にはたくさんの横穴墓があり、鉄製の大刀が副葬された墓も多くありますが、銀象嵌がある大刀は久本横穴墓群のもの以外に溝口西耕地横穴墓群と久地西前田横穴墓群から出土した2点しかありません。古墳や横穴墓に埋葬されるような人物であっても、銀象嵌大刀は誰でも手に入れることができるものではなかったようです。

 これらの横穴墓に埋葬された人物たちはどのような立場の人だったのでしょうか。象嵌がある大刀は畿内のヤマト政権を構成する有力豪族から地方の豪族に配布したものと考えられていますので、銀象嵌大刀の出土は、横穴墓の被葬者とヤマト政権との間に何らかの関係があったことを示していると言えるでしょう。

お問い合わせ先

川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課

〒210-0004 川崎市川崎区宮本町6番地

電話: 044-200-3306

ファクス: 044-200-3756

メールアドレス: 88bunka@city.kawasaki.jp

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