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シッシー君の文化財探訪日記 鉄製品の修復方法について

  • 公開日:
  • 更新日:
シッシー君 自画像

 川崎市内の豊かな歴史や魅力を物語る文化財や博物館等の情報を、川崎市文化財キャラクターのシッシーくんがご紹介します。
 【シッシーくん】
 市域3か所に伝わる獅子舞から生まれた文化財の精。川崎市の文化財保護推進キャラクター。
 性格はおっちょこワイルド。好物はかわさき育ちの野菜・果物。口癖は「シッシッシー」。

 

こんにちは、シッシーです!

紅葉の時期も終わり、すっかり真冬。

体は寒いけど、いつも楽しく、心は温かく過ごしたいっシー!


鉄製品の水没被災資料の修復方法を教えてもらったよ!

 今回は、市民ミュージアムが被災した際に考古資料に起こった現象とその修復の様子を紹介するよ。


 令和元年東日本台風で、市民ミュージアムに保管されていた多くの土器や石器が水没してしまったんだ。

もともと土中にある考古資料だけど、空気に触れたり、土中の水分とは違う種類の水に触れたりしたことで、

想定していない現象が資料に出現したよ。

被災によるいろんな現象

有機物を含んだ水が栄養源となり、菌類が発生した。

根っこのような微生物が土器に付着してしまったよ

土器表面に光沢のある膜のような汚れがついた
赤褐色の粉状の汚れが広がった

有機物を多く含んだ水に長く浸かっていたために、微生物が繁殖し、膜状(写真左)や粉状(写真右)の赤茶色の汚れが広がってしまったよ


次に紹介する鉄製品の白化現象も初めて見る事象で、いろんな方にご協力いただいて、原因を探り当て、

修復したので、その過程を紹介します!!



鉄製品がナゾの白化!?

鉄製品が白く変色してしまった

鉄製品なのに、角や骨みたいだね

原因を探れ!

 この鉄製品は発掘された後に、それ以上腐食が進まないよう、保存処理されました。

それなのに、なんで白くなってしまったんだろう?

 保存科学の専門家の方に分析を行ってもらった結果、

白く見える物質はアクリル樹脂であることがわかったんだ。


 保存処理の最後の工程でコーティングをしてあったのだけど、

被災して水に長時間浸かっていたことで、保存処理で使用したアクリル樹脂が溶け出し、

表面がデコボコになってしまっていたんだ。

それで、そこに光が乱反射して、白く見えていたんだって。

修復方法を探れ!

 ではどうすれば元通りの色に戻るのか。

「表面のデコボコをなくせばいいのではないか!」とのことで、

専門家のご協力のもと、いくつかの薬剤(溶剤)を試したところ・・・


薬剤を塗布したところ

効果のありそうな薬剤を試しているよ



いろいろな薬剤を試してみる

塗布して乾かした結果

 テトラヒドロフラン(THF)という薬剤が効果的であることがわかりました!

テトラヒドロフランという薬剤を塗布した結果





右側が塗布した部分だよ。この通り、本来の色が戻ったよ。


そして昨年度、この方法を用いて、修復専門業者に委託し、白化を修復してもらいました。

こんなにキレイに戻りました!


小刀の部品の一部。処理前。

小刀の部品の一つである鍔(ツバ)
処理前

小刀の部品の一部。処理後。

    処理後

鉄鏃。処理前。

変形雁股(かりまた)式鉄鏃 
処理前

鉄鏃。処理後。

  処理後




みなさまにご協力いただき、新しい技術や研究のおかげで、大切な文化財を救うことが

できました。ありがとうございました!


この浸水被害の被害状況、それらに起こった現象の調査、その後の処置等を

詳しく知りたい方は、『川崎市文化財調査集録』第57集(2023年)に掲載されていますので、

ご覧ください。


もうすぐ年の瀬ですね。

皆様、よいお年を!

来年もどうぞよろしくお願いいたします。


お問い合わせ先

川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課

住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地

電話: 044-200-3305

ファクス: 044-200-3756

メールアドレス: 88bunka@city.kawasaki.jp

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