政策課題15年度海外A
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地域コミュニティの行方を探る~コミュニティビジネスによる地域自立型の経済再生にむけて~

コミュニティビジネスとは
コミュニティビジネスの定義は多様であるが、本研究では地域性、継続性、事業性のある活動を行う団体とする。地域性とは、地域の中で(in the community)、地域住民により(by the community)、地域の問題解決を目的として(for the community)行う活動であることを示す。
継続性とは、その活動を一過性のものに終わらせず、長期的・計画的に運営していくことであり、事業性とは、その活動の継続性・自立性を保つために独自収入を得て、ビジネス手法を用いた経営を展開することをいう。コミュティビジネスに期待される効果として、公共サービスの新しい担い手としての役割や、活動を通じた地域のつながりの再生、地域の雇用創出が挙げられる。
つまり、コミュニティビジネスは地域の新しい産業であると同時に、地域貢献型事業を行う市民活動の自立性・継続性を維持するための新しい手法でもある。

海外事例研究(イギリスの先進事例を通して)
イギリスでは経済衰退地域の雇用創出を目的としたコミュニティビジネスが1970年代~80年代にかけて栄え、近年では社会貢献をビジネス手法を使って達成する社会的企業(Social Enterprise)や社会的起業家への支援が国家レベルで行われている。中央省庁であるDTI(日本の経済産業省に該当)では、社会的企業支援として、中小企業支援策の対象に社会的企業を加えている。
さらに、非営利ではないが社会貢献事業を目的とした事業体のための新しい法人格であるCICs(Community Interest Companies)の法制化の検討も行っている。
具体的事業者の事例として、精神障害者などの雇用を目的としているソーシャルファーム(Social Firm)であるNewco Products、Daily Bread Cambridgeでは、障害者にあった雇用環境を維持しつつ、質の高い品物を提供することで事業も成功させている。ソーシャルファームの中間支援組織Social Firms UKでは、経営や法務などの実務に関する講座を開催するとともに、経営相談を含めた相談窓口を開設している。同じくスコットランドのコミュニティビジネス中間支援組織CBS Networkでは、コミュニティビジネスの社会貢献効果をアピールすることにより資金集めをしやすくしたり、過去の実績を振り返り将来の活動の改善を図るために、社会的監査を提唱している。
また、ロンドンの経済衰退地域のコミュニティセンターであるBromley By Bow Centreでは、環境・芸術・起業・健康・教育をキーワードとして、診療所や託児所、障害者のデイケア、地域での起業支援や芸術活動などさまざまな地域振興の試みが行われている。
コミュニティビジネスや社会的企業への共通した支援策として、コミュニティビジネス事業者同士のネットワーク形成や情報収集・情報発信、経営相談が行われている。また、登録チャリティと呼ばれる資格を取ると、税金の免除や寄付金控除が受けられ、寄付金控除の特典を活かした資金集めが可能となる。

政策提言
- 人材育成
- 場所の提供
- 活動資金
- 情報発信とコーディネート機能
- アイデアコンペの開催
- 事後評価(社会的監査)の導入
また、これらの施策は市民活動の継続性の維持という点から、コミュニティビジネスに限定せず、市民活動にも適用していくことも検討すべきである。
お問い合わせ先
川崎市 総務企画局都市政策部広域行政・地方分権担当
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