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いまこそ経営計画を作りましょう!(2023年9月号)

  • 公開日:
  • 更新日:

かながわ補助金研究会 中小企業診断士 片岡 英明

このページは、広報誌「かわさき労働情報」のインターネット版です。

経営計画

新型コロナウイルス感染症の影響は足かけ4年に及びましたが、やっと収束が見え始めています。この間、事業者の皆様は経験したことのない状況に対応し、苦労の絶えない時だったと思います。社会が落ち着きを見せ始めたいま、アフターコロナの経済環境を踏まえて、あらためて自社の事業の方向を見定めて「計画」を作りませんか?

1.事業者の作成する計画には「経営計画」と 「事業計画」があります

同じような意味に使われることが多い二つの計画がありますが、この二つは対象が異なります。「経営計画」は全事業の経営全般を対象として、その改革を進めるために作成します。「事業計画」は経営計画に基づいて個別の事業を成功させるために作成します。多くの小規模事業者では一つの事業の事業者であることが多く、この場合には経営計画と事業計画はほとんど同じものになります。

本稿では単一事業の経営計画(事業計画)を対象として、その効果と作成について解説します。

2. まだまだ不透明な状況でなぜ計画を立てるのでしょうか?

下の図(図1)は、中小企業庁が小規模事業者を対象に「経営計画の作成有無」と「その理由」を調査した結果です。コロナ前の調査ですが、この頃も「不透明の時代」とか「VUCAの時代」、と言われていました。

(注) VUCA(ブーカ)とはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた頭字語。予測困難な状況を意味する。

この調査では、全体の53%と、約半数の事業者に経営計画の作成経験がありました。作成した理由のうち1位の回答として多いのは「補助金申請に必要」38.3%です。「業績の向上」「融資に必要」も合わせると1位の回答の70.5%にもなり、作成理由は事業の拡大や展開のためと考えられます。このように、経営計画は事業拡大や展開を志向している事業者が作成しているのです。

経営計画図1

3. 経営計画の作成有無と業績は相関するのでしょうか?

次ページの図(図2)は事業者の「経営計画の作成経験」と「売上高推移(業績)」の相関を調査したものです。売上高が増加した事業者の割合は「作成したことがない」では20.2%なのに対し、「作成したことがある」では34.0%であり、1.7倍になっています。つまり、事業の拡大や展開のために経営計画を作成し、実行したことで実際に業績が向上しています。

不透明な状況であっても、目標を決めてしっかり経営計画を立て、実行することが業績につながり、成功しています。経営計画の作成と実行は、事業の成功ための有効な手段になっているのです。

経営計画の作成有無

4.では経営計画はどうやって作り、実行すればよいのでしょうか?

経営計画は次のような順序で考えると整理しやすくなります。

経営計画
順序  項目内容例
 13 年後の達成目標  たとえば、「新事業の売上高を既存事業の10%以上に
する」等、具体的な数値で目標を決めます。
 2 自社の状況 達成目標に対する自社の状況、自社の強みや弱み等、
自社の現在のポジションを明確にします。
 3 自社を取り巻く状況 達成目標を踏まえて、市場の状況や競合の状況等、自
社ではコントロールできない環境条件を明確にします。
 4 目標の達成方法 1 で決めた目標に対し、2、3 で現状が見える化できま
した。目標と現状の間には違いがあるはずです。この違
いを埋めるべく、目標達成のために自社の採るべき実現
可能な方法を具体化します。

大変そうだなぁと思われた方、大丈夫です。

(独)中小企業基盤整備機構が無料で公開している経営計画が作成できるアプリがあります。上の内容をアンケート形式で順次答えていくと、経営計画書が出来上がります。何回でも修正できますし、途中で保存しながら少しずつ進めることができますので、始めやすいと思います。このアプリで作成した経営計画書を基に「小規模持続化補助金」の申請書を作成し、採択された事業者も多くいらっしゃいます。

詳しくは、独立行政法人 中小企業基盤整備機構「経営計画つくるくん公文外部リンク」をご確認ください。

不透明な状況の下で事業を成功させるには、従業員をはじめ金融機関等、自社にとって重要な方々と計画の内容を共有し、協力体制を作ることが絶対に必要です。経営計画書は経営者自身が事業の全体像を明確にしたものですから、経営者の考えを周りの方々と共有するためにとても有効なツールになります。特に従業員とは成功の道筋(目標達成の方法の進め方)まで含めて共有することが、成功確率を大きくするポイントになります。

経営計画・事業計画作成と実行について

経営計画や事業計画の作成と実行について詳しく知りたい、あるいは支援を依頼したい方は、川崎市産業振興財団や川崎商工会議所、神奈川県よろず支援拠点川崎サテライト等の公的機関や当研究会等にご相談ください。