ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

サンキューコールかわさき

市政に関するお問い合わせ、ご意見、ご相談

(午前8時から午後9時 年中無休)

閉じる

インタビューのあらすじ(テキスト情報)(3) 

  • 公開日:
  • 更新日:

川崎市健康福祉局担当理事 川崎市健康安全研究所 所長 岡部 信彦

キング スカイフロント コンセプトビデオ ~インタビュー編(3)~

 

ここは「研究所」という名前が付いていますが、最先端の研究だけではなくて、例えば食中毒の原因や、飲料水がきれいなものか、衣類や玩具に毒性の物質が含まれていないかなどを解析しチェックするのが主な目的です。それら解析やチェックをきちんとやるためには進歩の工夫をしなければならないので、そこが研究に結びつくわけです。ですから、いわゆる「研究所」のイメージのように、ものすごく斬新な研究を行うわけではないが、市民の皆さんに健康なものが提供できているかどうかの見張り役のような機関なので、その役割を果たすにはきちんとした技術によって行うことが大切です。そこに我々の研究所がここ(キングスカイフロント)に移ってきた意味があると思うんですね。

 

研究ということになると、どうしても凝り固まって、ずっと狭い領域へと入り込んでいく印象を持たれるし、そのような一面は大切ではありますが、ここにはさまざまな分野の方が周囲にいるわけですね。学会のようなところだと専門の人たちだけの集まりですけれども、ここでは異分野の方々との交流が割に気楽にできるというのも大きいメリットじゃないかと思います。

 

隣に実験動物中央研究所が先に移転してきているわけですけれども、例えば僕らの研究所の設備では動物が飼えないようになっているんですね。動物を飼うにはものすごい手間も要るし。しかし、実験動物が必要な場合もあります。一方、実験動物中央研究所のほうでは、実験動物に関する研究、調査は世界一流のことをやっているわけですけれども、微生物の解析や、我々の設備による毒物の理化学検査などはやっていない部分があります。それについてお互いで話しあい、人の健康につながる研究を共同で実施できるかもしれない。近い将来、国立医薬品食品衛生研究所が移転してきますが、これは食品の安全性などに関する国の研究機関で、ここと我々が普段実施している食品の安全性に対する監視などについて意見交換でき、一緒に研究できる場があるということは大きいと思います。

 

川崎のおもしろさには魅かれたといいますかね。首都圏でありながら、北には郊外の住宅地、南の海側には昔から知られている京浜工業地帯があり、ここに新しいものができることに対する期待感がまずありました。

 

特にこのあたりでは以前から重工業が盛んで、日本経済を支えていたわけです。もとからの分野が発展していく一方で、別の要素である生命科学が新たにこの土地に加わってくるのです。生命科学というのは人の幸せに貢献するものですけれども、重工業的なテクニックがたくさん必要だと思うんですよ。そうすると、今は直接のやりとりはないかもしれないが、それが膨らんで大きく動いてくる可能性があるというのは、一つの行き着くところの夢みたいなものじゃないかと思います。

 

例えば直接の話をしたことのない研究所でも、ここのある研究室がこういう仕事をやりましたということを聞くと、「お隣がそういうことをやっているんですか」と、ただ論文を見るだけよりはずっと身近に感じるとと思います。そうすると、いち早く新しい動きをキャッチできる。もしその情報が自分たちに身近なものだとすれば、「すいません、ちょっと、ちょっと」と声をかけることも多分できるだろうと思うし、そこがフェイス・トゥ・フェイス、古い言葉の「お隣」のメリットだと思います。

 

エジソンのような人なら別ですけれども、通常はいろいろなアイデアをもらったり渡したり、連携することが新しいものを作っていく大きい要素になっていくと思うんですね。

 

もう一つは、僕はこどもが好きで、それで小児科を選んだんですけれども、こどもは身近なところで科学的なことに触れたり、ものづくりの工場を見たりして興味を持つわけで、身近なところでこういう研究をやっていることをこどもたちに見せなければいけない。こどもが科学に興味を持つと、日本全体のサイエンスのレベルが上がってくる。そういうことにもこの場所を結びつけていきたいですよね。

 

キーワードはこどもにおもしろさを分かってもらうこと。自分たちが作ればおしまいではなくて、次の世代に伝えて、次のステップを彼らが作ってもらえるようにしたいですよね。

 

おもしろいことはこどもたちに伝わっていくと思うんですね。だから、そういうメッセージは、こもってやっているだけじゃなくて、こういうオープンなところでいろいろな方法で発信していきたい。川崎市のこどもだけではなくて、関東へ、日本へ、世界に向けて、メッセージ発信の場にもしていきたいですね。