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目や耳の不自由なかたへ 【講演会】 令和2年度幸区地域福祉計画・幸区ご近所支え愛事業講演会(第1部講演会部分)のテキスト情報

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講演会部分のテキスト版になります。

東京都大田区、JR京浜東北線大森駅から歩いて5分ぐらいの急性期の病院である牧田総合病院の地域支えあいセンターの責任者をさせていただいている澤登と申します。病院が地域包括ケアシステムの具現化を図る中核の部署を病院として、3年前に作った部署になります。それより以前は、病院が大田区から委託を受けて運営している地域包括支援センターのセンター長として13年業務をしていました。その時に、この地域ネットワーク、「みまーも」を作って現在に至ります。地域包括ケアシステムの言葉もなかった13年前に、なぜ、みまーもの活動に取り組み始めたのか、みまーもがコロナ禍でどんな取組をしていて、どんなことを大切に取り組んでいるのか、お話したいと思います。

そもそもみまーもを取り組み始めたきっかけ、動機から話をしていきたいと思います。地域包括支援センターを簡単に説明すると、65歳以上の公的な総合相談窓口になります。住民の目線で説明しますと、医療や介護が必要になった時に初めて訪れる場所、初めて専門職と出会う場所、それが地域包括支援センターといって良いかもしれません。今、全国で5000を超える地域包括支援センターがあります。私が働く大田区にも22ヶ所あります。22ヶ所の地域包括支援センターで1ヶ月に1万件の相談に対応しています。平均すると1包括1ヶ月に500件ほどの相談に対応していることになりかなり忙しいです。相談の中では、介護保険関係の相談が一番多く、各自治体独自の65歳以上の介護保険外のサービスの相談も多いです。その他に、自宅で介護するのも難しくなったので施設入所の相談や、入院治療を終えたら自宅に戻るか施設に入るか考えてくださいとお医者さんに言われての入院転院の相談などが多くあります。ただ、今の社会状況を反映してか、例えば、経済的な問題、家族間の問題、住まいの問題、高齢者の虐待や消費者被害の相談など、全体の中では割合が少ないですが、ここ数年急増しているのが特徴であります。

相談件数で言うと1ヶ月1万件ですが、各種相談内容の件数を合計すると1万5千件になります。つまり、一人の相談が一つの内容で終わらないということです。地域包括支援センターに来る方々の相談が多問題化してきていることが言えると思います。ただ、1万件の相談に来た人たちは、公的な総合相談窓口である地域包括支援センターにたどり着くことができてサービスや専門職に出会えた人なので良いんです。地域の中には、本当は私たち専門職や各サービスを必要としているけれども、自分ではSOSの声を上げることのできない人たちがいるということを、私たちは現場で働きながら痛感していました。

都会ですので、包括支援センターなんて歩いて行ける距離、行けば良いじゃないと思うかもしれないのですが、そこが行けないんです。例えば、一人暮らしで90歳、かつ認知症。こういった方がみなさんが暮らすそばにいるかもしれません。そういった方が、最近、認知症が進んだから地域包括支援センターにまずは行って、介護保険の申請をして、申請をしたら認定調査を受けて、要介護度が決まったらケアマネジャーを見つけて介護保険サービスを利用しなきゃとなるでしょうか。ならないですよね。ですので、こういった方々も自分からSOSを出せないという人と言えるかもしれません。

都市部では、こういった一人暮らし世帯、認知症の方がどんどん急増しています。私たちの地域包括支援センターは7名の職員がいるのですが、管轄しているエリアには65歳以上の方が9千人います。ともすれば、相談に来ることができた高齢者への対応に終始しがちです。本人でも家族でも親族でもない近隣の方からも通報という形で包括に連絡が入ります。隣から異臭がするとか、新聞が溜まっているとか、そういった連絡を受け、私たちが問題解決のために現場に急行します。ただ、問題解決にあたっている時に、すでに違う場所で新たな問題が勃発していて、今向き合っている問題を解決して、次の現場に急行する時には、また別の場所で問題が起こっている。都市部だろうが地方だろうが高齢化は進んでいて、どこのセンターも私たちと同じような日々を送っていると思います。

高齢化はますます進んでいますし、多問題を抱える高齢者も増えています。いつまでも忙しいと言いながら、一つずつ対応していくだけのような業務を進めているようであれば、私は本来の地域包括支援センターの役割を果たしていることにはならないと考えています。私は、地域包括支援センターには、コーディネート機能、つなぐ役割が必要と思っています。人と人とをつなぐ、人と組織をつなぐ、組織と組織をつなぐ、組織と機関をつなぐ、そういったつなぐ役割が包括支援センターの役割でなければならないと考えています。

今から13年前に大田区にある地域包括支援センターの職員が考えていた限界、それを言葉にすると、支援が必要な人を専門職による点で支える限界。個別支援の限界です。それを感じていた私たちにはもうできないと考え、毎日地域包括支援センターに来る方々のさまざまな問題を、地域に住む人、地域に働く人、地域にある企業の人たちはどれだけ知っているんだろうかと思うようになりました。そこで、地域に暮らす全ての人、地域で働く全ての人たちとともに、点ではなく面で支える仕組みづくりを進めていこうと思ったんです。気がつけば、みまーもというネットワークづくりに奔走している自分たちがそこにいました。これが私たちをみまーも発足に向けて動き出させたそもそものきっかけ、動機になります。

次に、みまーもがどんな取組なのか説明していきたいと思います。おおた高齢者見守りネットワーク。愛称みまーもと言います。平成20年4月に発足しているので今13年目を歩んでいます。平成28年度に厚生労働省のモデル事例にもなっています。この会の目的は、いくつになっても安心して暮らせるまちづくり。これを目的に、地域の医療・保健・福祉の専門職、そして公的機関、それだけでなく、地域にあるさまざまな得意分野を持った民間企業が協賛金を出し合い活動する新しい地域づくりです。
地域包括ケアシステムを国が政策として掲げた中、全国さまざまな形でまちづくりに取り組んでいる団体が増えてきました。そのさまざまな団体にまず壁として立ちはだかるのはお金です。何かをする、例えば、普及啓発のためのチラシやパンフレットが必要ですが、当然、紙代や印刷代がかかります。さらに、何かをするためには場所が必要です。ですが、都市部は家賃も高い。何をするにもお金がかかる。良いことをするにもお金がかかる。そうすると、補助金や助成金に頼ります。でも、永久に続く補助金や助成金なんてありません。通常は1年、長くて3年。補助金を受け取っている期間は良いですが、その期間が終わると活動がしりすぼみになっていくという団体を私は多く見ていました。

そういった中、私たちはまずは補助金や助成金に頼らず、母体法人である病院にも金銭的な迷惑を一切かけず、なおかつ持続継続的な活動を開始したいと考えました。その中で考えたのが協賛という仕組みでした。まちづくりを目的としたみまーもの趣旨に賛同した企業・介護事業所、施設、病院、クリニックなどにまずは協賛になっていただき、みまーものためにお金を出してもらいます。さらに、この取組のために人も出してもらって汗もかいてもらう。お客さんで終わらせません。

はじめのころは、協賛する企業はほとんどありませんでしたが、0ではなく5つの企業・事業所が協賛になってくれました。13年経って、協賛企業事業所数は90を超えています。病院や薬局、介護施設、医療や介護事業所もあるのですが、みまーもの特徴としては、医療介護以外のさまざまな得意分野を持った民間企業が34参画しているところです。地域包括ケアシステム、さらに進んだ地域共生社会の実現、国の政策の中で全国にモデル事例がいろいろありますけれども、みまーもの特徴と言えるのは、企業を巻き込んでいることかと思います。

みまーもの特徴は協賛の仕組みだけではありません。地域のため、人のため、仲間のため、誰かのためにあなたもできることがあります、みんなで楽しく活動しましょうという呼びかけのもと、住民の方々からなるみまーもサポーターが100名いらっしゃいます。このことを客観的に見ると、みまーもという団体が住民の人たちに協力を求めている図式になるのですが、しっかりと年間2000円のお金もいただいています。ただ、私たちはお金が欲しくてこういう仕組みにしているわけではありません。住民の人たちが、行政や専門職からトップダウンで協力を求められて、やらされ感で何かをしてもらうのではなく、まずは自分がやりたいと手を上げてもらう、申し込む、会費を払って参加する、主体的に関わるという過程をあえて踏みたくてこういう仕組みにしています。

年会費2000円分以上のサポーター特典というものもしっかりつけさせていただいています。みまーものイベントやお祭りへの協力、講座で講師をしてもらうと1回2時間以上で500円分の商店街の商品券を差し上げています。みまーもの拠点は商店街にあるコミュニティスペースなんですが、例えば、そこでみまーものイベントに協力すると商店街の商品券を差し上げ、その人は、帰りに商店街で夕飯のおかずを買ったり、商店街のカフェでお茶をして帰ったりする。少しでも地域で循環が生まれると良いなと思ってこういう仕組みにしています。

みまーもは、暖簾分けが進んでいまして、全国で10か所のみまーもが誕生しています。暖簾分けをする際に、みまーものキャラクターとノウハウを提供するので、同じことを同じようにやってくださいとはしていません。そうしてしまうと、それぞれの地域によって課題が違うので、都会でやっている取組を同じようにやってと言ってもうまくいきません。暖簾分けする時に一つだけ同じにしてくださいと話しているのは、協賛の仕組みでまちづくりをしてくださいということです。みまーもの活動の肝は協賛の仕組みです。医療介護の専門職や行政だけでなく住民の人や地域にあるさまざまな企業が参画してまちづくりを一緒に行う、一緒に汗をかくという仕組みでまちづくりをしたいならみまーものノウハウを提供しています。

支援が必要な人を見守り、支え合う仕組みってなんだろうかということは、私たちがみまーもを立ち上げる時からずっと考えていました。行き着いた答えが、一つのネットワークをいくら強固に作ったとしても、それだけでは機能しないということでした。2つのネットワークが有機的に循環して、初めて支援が必要な人を見守り支え合う仕組みができるという考えです。

この2つのネットワークがどういうものか説明していきたいと思います。

一つ目は支援のネットワークです。構成組織は、行政の方々、医療機関、介護関係の方々、警察や消防も支援のネットワークに含まれると思います。相談にたどり着けた人に対して、より良い支援をする、機能するためのネットワークです。ただ、SOSの声をあげられない人が増えている中で、いくらこの支援のネットワークを強固にしてもたどり着けないのですから、このネットワークだけでは、機能しないということになります。支援のネットワーク、つまり、医療介護連携、専門職連携、医療と介護の顔の見える関係づくりなどに一生懸命になっている専門職の方が多いですが、ここだけを一生懸命作っても、支援が必要な人を見守り支え合うようには十分機能しないということに気づいていただければと思っています。

そこで、もう一つのネットワークが必要になります。それは気づきのネットワークです。気づきとは、今いるその人の変化です。その人の前の状態を知らなければ、異変に気付くことなんてできません。今いるこの人のこの状態に手を差し伸べるのが専門職です。ですから、専門職は気づきのネットワークの構成組織には基本的には入れません。では、どういう方かというと、郵便、新聞、配食の配達員の方々は、声をあげられない方々と配達や接客という形でつながっています。日常的につながっているので異変に気付くことができます。あとは、百貨店、コンビニ、金融機関、薬局などは、声をあげられない人自身が日常的に参加したり利用したりする中でつながっているので、気付くことができます。あとは、マンション管理組合、民生委員、町会・自治会、老人クラブなどは、日頃の交流を通してこの人たちとつながっているので気付くことができます。

気づきのネットワークの構成組織の人たちはその人の異変に気づいています。ですが、家族でも親族でもない自分の気づきを、この敷居の高い支援のネットワークにつなげても良いかという躊躇も蔓延しています。大事なことは、声をあげられない人たちは、自分自身で直接は支援のネットワークにたどり着けないということです。ですので、気づきのネットワークを構成する人たちの気づきを、生死に関わるギリギリでなく支援のネットワークにつなげていただく仕組みが必要だということになります。みまーもというのは、2つのネットワークを有機的に循環させるプラットフォームの役割を担っているのかなと思っています。

もう一つ考えてみたいと思います。見守り支援が必要な人を、点ではなく面で支える仕組みづくり。これを深掘りしてみたいと思います。例えば、うちの病院が何かまちづくりに取り組む。これは点ですよね。でも、うちの病院ともう一つの企業が何かを取り組む。これでも線です。では、面というのはどういう時になるかというと、3つ以上がつながることで初めて面になるのです。ですから、私たちはいろいろな活動をしている中で常に意識しているのは、3つ以上の組織と何かを取り組む意識を持っていること、これが大事だと思います。こういった意識を持って、さまざまな組織とつながることができると良いのかと思います。ただし、同じような役割を持つところが3つ以上集まって何かをしてもあまり広がりません。大事なことは、目的を共有した異なる役割を持った3つ以上の組織・機関・人とつながる意識を持つことです。

90を超えるさまざまな得意分野を持つ民間企業、やらされ感ではなく主体的に関わる住民の人たち、こういったネットワークが地域に生まれた時に、どういう風景が生まれるか説明したいと思います。

みまーもの活動拠点は、アキナイ山王亭と言って商店街が作ったコミュニティスペースにあります。大田区が空き店舗を利用して、休憩どころやトイレなど買い物に来る人たちのためのスペースを作ると、大田区が商店街に補助金を落とす商店街コミュニティ活性化事業というものがあります。この商店街はその補助金を活用して閉店した履物屋さんをコミュニティスペースにしました。商店街はなぜこのようなコミュニティスペースをわざわざ作ったのだと思いますか。お客さんにたくさん来て欲しいからです。ただ、場所だけ作って、お客さん増えるかというと増えない。この場所でイベントやソフト事業をしていかないとお客さんは増えない。商店街はお金を使って場所は作っても、商店街自身がイベントやソフト事業をやる余力がもうありません。なぜかというと、どこのお店も店主は80代、90代でソフト事業をやる余力はありません。一方で、みまーもは自由に使える場所が欲しかったのでお借りすることにしました。商店街とみまーもがウィンウィンの関係で、今ではこの場所でみまーもとして年間430の講座を開催しています。1日1講座以上です。これを、包括の職員だけでやっていたら、おそらく3ヶ月後職員は辛くて半分辞めていたと思います。でも、この事業7年続けていますが、辛くて辞めた職員がいません。なぜなら、うちの職員だけでこの事業を切り盛りするのではなく、90を超える企業・事業所が自分の得意分野を活かした講座をここでやってくれているからなんです。企業にとっては、地域住民に根ざした場所で、住民に自社の取り組みを紹介できるというメリットを感じてさまざまな講座を展開しているということになります。

アキナイ山王亭のお蕎麦やさんがあるのですが、みまーもが隣でいろいろなイベントをやるようになってから、売上が50%アップしたそうです。笑いが止まりませんよね。この商店街、みまーも効果で空き店舗が0まで回復しています。私たちは、もともと高齢者を見守り支える仕組みを作りたくてみまーもを発足しました。ですが、始めてみてわかったことは、地域に暮らす高齢の人たちって、何も65歳以上の人たちだけでまちを構成しているわけではなく、時には若い世代とつながっていたり、こういうお店とつながっていて地域を構成しているということでした。ですから、こういった取組をする時に、65歳以上とか世代を縦割りで切ってそこだけ何かをするのは広がりが生まれないということなんです。みまーもは、高齢者を見守り支え合う仕組みを作ろうと始めたのですが、いまでは地域活性にも寄与しているということになるのかもしれません。

昨年、緊急事態宣言が出されて、みまーもの全ての事業の3ヶ月間中止を余儀なくされました。1回目の緊急事態宣言が解除されてから私たちはみまーもの活動を再開しようと思った時に、活動に参加されていた高齢の方達に今の状況、再開した時に今まで通りに取組に関わっていただけるかお伺いしました。そうすると、3つのタイプの特徴がありました。

タイプ1は、まだまだ自粛という方。コロナが0になったわけではないので自粛するという方です。タイプ2はとりあえず自粛様子見。基本的には家にいるけれどみまーもの活動が始まったら再開するという方々。タイプ3は自粛解禁。ビフォーコロナの生活に戻していく人たちです。残念ながらタイプ3は65歳以上の方の中では0に等しい状況でした。1と2のどちらが正解、どちらが間違いと言えるでしょうか。1も2も3も間違いではありません。解禁と自粛で高齢の方は揺れ動いていました。タイプ3の解禁の方は感染リスクが上がりますよね。タイプ1の自粛に重きをおく方は、感染リスクは下がりますけれど、体力筋力の低下、鬱、糖尿病などの持病の悪化のリスクが高くなっていきます。どちらもリスクはあるんです。考えてみると、コロナ以外にも生活していく中でリスクがあります。その時々の状況で、適切な情報をもとにリスクを自分自身で選択しながら生活していくことが求められているのだと思います。私たちみまーもの専門職の人たちは、地域にいる皆さんが適切な情報をもとにリスクを自分で選択していく。適切な情報を提供する役割を担っていきたいと思っています。

大事なことは、機会はなくしても、楽しみはなくさないということです。コロナ禍でみまーもに関わる私たち専門職はこの考え方で再開していくことに決めました。

新生活での人との距離感のキーワードも3つ考えました。必要な時に会える、会いたい時には会える機会を作る、会わなくてもつながり続けることを諦めない、この3つをキーワードにコロナ禍の事業を考えてきました。

今、みまーもでは公式youtubeチャンネルを開設しています。セミナーは人数を制限してソーシャルディスタンスを保って実施していますけれども、まだ怖くて来ることができない人たちに、セミナーの様子をスマホやパソコンでワンクリックしたら見ることができて、家にいても情報を届けることができるようにyoutubeチャンネルを作りました。

あとは、さまざまな講座も全てコロナ仕様にして取組を継続しています。今の緊急事態宣言下では、大田区の行政の取組は全て中止になっていますが、みまーもは自分たち専門職がきちんと対策をして、必要だと思う事業を継続しています。全てが申込制、人数の制限もあります。食堂も全てテイクアウトに変えています。お母さんたちが手料理を作って、そこの場所で食事を提供していたのですが、今はそれができないので、その場所でテイクアウトをしています。全て、中止にするのではなく、今の状況下でできることをやっています。

地域包括ケア、地域共生社会の実現に向けてここにいる人ができること。キーワードは社会参加です。いくつになっても行きたい場所がある。それは気軽に訪れることができる場所、行きたいと思える場所、そこには友人知人がいて自分を待ってくれている、必要としてくれている。いくつになっても、要介護状態になって一人で外出できなくなっても、その人なりの社会参加の場が地域にたくさんある。私は、一つの大きな箱物を作るよりも、地域にこういった場がたくさんあることが重要だと思っています。

専門職がまちづくりに関わるときにやりがちなネットワークがあって、お仕着せのネットワークというものがあります。こうあるべきとか、これが大切とか、自分たちでは無意識にトップダウンで地域におろしてくるんです。でも、この段階では専門職や行政、包括からの一方通行のまちづくりでしかありません。そこから広がるような取組にはなっていきません。

大事なことは、本人の気持ちが伴わない中では、何も生まれないということ。それを専門職がしっかり理解すること。私たち専門職や行政の職員たちが意識しなければいけないのは、支援よりも共感をつなぎ主体を広げていくことだと思っています。