魚による食中毒 ~有毒魚~
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魚の中には、有毒な物質を持っており食べると食中毒を起こすものがあります。これらを総称して有毒魚と呼びますが、この有毒魚には食品衛生法で販売を禁止されているものと、中毒事例があることなどから販売しないように指導がなされているものがあります。
食品衛生検査所ではこれらの有毒魚が市場の外に出回ることがないよう、毎日監視をおこなっています。
食品衛生法で販売が禁止されているのは以下の4種です。
オニカマス
学名
Sphyraena barracuda
分類
スズキ目-カマス科-カマス属
体長
最大1.5m
分布
南日本、東部太平洋をのぞく全世界の熱帯海域
毒性
シガテラ毒。大型魚ほど毒性が高い。
地方名
ドクカマス、バラクーダ
取扱い
1953年(昭和28年)に厚生省通知(衛環発第20号)により販売禁止となったため、発見時は全廃棄。
オオクチイシナギ
学名
Stereolepis doederleini
分類
スズキ目-イシナギ科-イシナギ属
体長
最大2m
分布
北海道から高知及び石川県までの沿岸
毒性
肝臓にビタミンAを過剰含有
地方名
イシナギ
取扱い
1960年(昭和35年)に厚生省通知(公環発第25号)により販売禁止となった。ただし、肝臓を除去したものは販売可能。
バラムツ
学名
Ruvettus pretiosus
分類
スズキ目-クロタチカマス科-バラムツ属
体長
最大2~3m
分布
南日本太平洋側、温帯・熱帯海域
毒性
ワックスエステルによる下痢
取扱い
1970年(昭和45年)に厚生省通知(環乳発第83号)により販売禁止となったため、発見時は全廃棄。
アブラソコムツ
学名
Lepidocybium flavobrunneum
分類
スズキ目-クロタチカマス科-アブラソコムツ属
体長
最大1.5m
分布
南日本太平洋側、温帯・熱帯海域
毒性
ワックスエステルによる下痢
取扱い
1981年(昭和56年)に厚生省通知(環乳発第2号)により販売禁止となったため、発見時は全廃棄。
また、有毒成分を含有する疑いがあるため、販売を自粛するよう厚生省より通知があるものは以下の2種です。
ゴマシズ・ホシゴマシズ
学名
Stromateus brasiliensis(左 ゴマシズ)
分類
スズキ目-マナガツオ科
体長
約40cm
分布
南米の大西洋沿岸
毒性
油脂による下痢
地方名
シズ
取扱い
1999年(平成11年)に厚生省通知(衛乳第240号)にて、当面の間販売等を差し控えるよう指導あり
学名
Stromateus stellatus(右 ホシゴマシズ)
分類
スズキ目-マナガツオ科
体長約
25cm
分布
南米の太平洋沿岸
毒性
油脂による下痢
地方名
シズ
取扱い
1999年(平成11年)に厚生省通知(衛乳第240号)にて、当面の間販売等を差し控えるよう指導あり
また、これらの販売禁止となっている魚の他にも、食中毒を起こす可能性のある毒成分を含有している魚がいるので注意が必要です。
有毒魚の持つ有毒成分には、以下のようなものがあります。
シガテラ毒
症状等
シガテラ毒素をつくるプランクトンを食べた魚の内臓や筋肉にシガテラ毒が蓄積され、その魚を食べることでシガテラ中毒を起こす。
症状は下痢、嘔吐、関節痛、倦怠感、温度間隔異常、麻痺、昏睡など。
→オニカマス、バラハタ、バラフエダイ、カスミアジ等多種
過剰ビタミンA
症状等
ビタミンAを大量に摂取すると30分~12時間で発病し、激しい頭痛、嘔吐、発熱、顔の皮膚の脱落などを起こし、約1ヶ月にわたって全身の皮膚が剥けるなど特異な症状を起こす。
→イシナギ(肝臓)
ワックスエステル
症状等
筋肉中にワックス(ロウ)を含む魚を大量に食べると、このワックスを消化することができないため、食後18~56時間で腹痛、下痢などを起こす。
→アブラソコムツ、バラムツ
脂質成分
症状等
脂質成分であるジアシルグリセリルエーテルによる下痢や吐気。
→ゴマシズ、ホシゴマシズ
パリトキシン
症状等
イワスナギンチャクの持つパリトキシンという猛毒を蓄積した魚が原因。
腰や四肢のしびれ感、筋力低下、重症例では呼吸困難、ショックや腎障害など。
→アオブダイ、ソウシハギ
リン脂質
症状等
ディノグネリンと呼ばれるリン脂質を過剰摂取すると、食後約2時間程度で頭痛、嘔吐、下痢、蕁麻疹、倦怠、脱力、めまいなどの症状を起こす。
→ナガヅガ、タウエガジ(卵巣)
お問い合わせ先
川崎市健康福祉局保健医療政策部中央卸売市場食品衛生検査所
住所: 〒216-0012 川崎市宮前区水沢1-1-1
電話: 044-975-2245
ファクス: 044-975-2116
メールアドレス: 40kensa@city.kawasaki.jp
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