第4話 「犬蔵(いぬくら)」
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犬蔵1丁目と2・3丁目の境を走る尻手黒川道路は、昔は清水谷戸(しみずやと)と呼ばれる谷間でした。矢上川の最上流域にあたるこの一帯は、豊かな湧き水に恵まれていたことが想像されます。

第4話 「犬蔵(いぬくら)」
江戸時代に下菅生村犬倉と呼ばれていた地域が、現在の犬蔵1~3丁目です。地名の由来は定かでないものの、2つの説が有力です。
一つは、昔は付近の谷間に狼(おおかみ)が生息していたから、という説。犬蔵の「犬」は山犬すなわち狼のこと、「クラ」は断崖や岩場を表し、谷を意味する古語です。昔は犬蔵交差点から南西に深く入り込んだ谷戸の奥を、「狼谷戸」と呼んでいました。
もう一つは、犬蔵地区の鎮守であった御嶽社(みたけしゃ)のお使い神「オイヌさま」にちなんで付けられた、という説。昔、御嶽社の入り口には大きな「オイヌさま」の石像が立っていたそうです。今でもまちを歩くと、黒い山犬が印刷された護符を見掛けることがあります。御嶽講(みたけこう)の講中に配られるお札です。江戸時代に盛んになり、長く人々の心のよりどころだった御嶽講の風習は、今でも区内に残っていますが、犬蔵にあった御嶽社は昭和43年に菅生神社に合祀されました。
区内の蔵に貼られたオイヌさまの御札
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