平成22年度川崎市化学物質環境実態調査の結果について
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市では、化学物質による環境汚染の未然防止のために、環境基準値や指針値等の定めのない未規制化学物質について環境調査を実施しています。平成22年度は25物質について、市内の大気、水質及び底質を対象に調査を実施しましたので、その結果をお知らせします。
分類 | 物質名 | 調査媒体 大気 | 調査媒体 水質(河川) | 調査媒体 水質(海域) | 調査媒体 底質 | 排出量*1(kg/年) (平成 20年度 実績) 大気 | 排出量*1 (kg/年) (平成 20年度 実績) 公共用 水域 | 主な用途 |
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化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 1 酢酸ビニル | ○ | 25,300 | 0 | 合成樹脂の原料 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 2 ベンズアルデヒド | ○ | 3,620 | 0 | 医薬品等の原料 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 3 アクロレイン | ○ | 3,140 | 0 | 医薬品等の原料 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 4 トルエン | ○ | 637,000 | 160 | 化学物質の合成原料、溶剤 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 5 キシレン | ○ | 681,000 | 898 | 化学物質の合成原料、溶剤 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 6 塩化メチル | ○ | 127,000 | 2,500 | シリコーン樹脂の原料 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 7 エチルベンゼン | ○ | 176,000 | 0 | スチレンの原料、溶剤 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 8 酸化プロピレン | ○ | 10,100 | 0 | 合成樹脂の原料(ポリウレタン樹脂) | |||
残留性有機汚染物質(POPs)の追加物質 | 9 テトラブロモジフェニルエーテル | ○ | ○ | ○ | ― | ― | 有機系難燃剤 | |
残留性有機汚染物質(POPs)の追加物質 | 10 ペンタブロモジフェニルエーテル | ○ | ○ | ○ | ― | ― | 有機系難燃剤 | |
残留性有機汚染物質(POPs)の追加物質 | 11 ヘキサブロモジフェニルエーテル | ○ | ○ | ○ | ― | ― | 有機系難燃剤 | |
残留性有機汚染物質(POPs)の追加物質 | 12 ヘプタブロモジフェニルエーテル | ○ | ○ | ○ | ― | ― | 有機系難燃剤 | |
残留性有機汚染物質(POPs)の追加物質 | 13 ヘキサブロモビフェニル | ○ | ○ | ○ | ― | ― | 有機系難燃剤 | |
界面活性剤として使用される物質 | 14 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(アルキル基の炭素数が10から14までのもの及びその混合物に限る。) | ○ | 182 | 48,500 | 合成洗剤用界面活性剤 | |||
農薬として使用される物質 | 15 ジクロルボス | ○ | 18 | 100 | 殺虫剤(有機リン系化合物) | |||
農薬として使用される物質 | 16 ダイアジノン | ○ | 0 | 0 | 殺虫剤(有機リン系化合物) | |||
農薬として使用される物質 | 17 フェニトロチオン | ○ | 0 | 0 | 殺虫剤(有機リン・有機硫黄系化合物) | |||
農薬として使用される物質 | 18 フェノブカルブ | ○ | 0 | 0 | 殺虫剤 | |||
魚類に対して内分泌かく乱作用があると推察されている物質 | 19 ノニルフェノール | ○ | 26.7 | 0.27 | 工業用界面活性剤の原料 | |||
魚類に対して内分泌かく乱作用があると推察されている物質 | 20 4-t-オクチルフェノール | ○ | 0 | 0 | 工業用界面活性剤の原料 | |||
魚類に対して内分泌かく乱作用があると推察されている物質 | 21 ビスフェノールA | ○ | 7.6 | 19.2 | 合成樹脂の原料 | |||
生体ホルモン物質 | 22 17β‐エストラジオール | ○ | ― | ― | 女性ホルモンの一種 | |||
生体ホルモン物質 | 23 エストロン | ○ | ― | ― | 女性ホルモンの一種 | |||
生体ホルモン物質 | 24 エストリオール | ○ | ― | ― | 女性ホルモンの一種 | |||
合成ホルモン物質 | 25 エチニルエストラジオール | ○ | ― | ― | 合成女性ホルモン剤 |
*1:化管法に基づく届出排出量及び届出外排出量の合計値です。(PRTRに関するページはこちら)

図1 川崎市化学物質環境実態調査地点図

大気調査結果
8物質について調査を実施し、7物質が検出されました。
物質名 | 大師 測定局 (夏季) | 大師 測定局 (冬季) | 中原 測定局 (冬季) | 中原 測定局 (冬季) | 多摩 測定局 (夏季) | 多摩 測定局 (冬季) |
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1 酢酸ビニル | ND | ND | ND | ND | ND | ND |
2 ベンズアルデヒド | 0.22 | 0.27 | 0.17 | 0.20 | 0.22 | 0.15 |
3 アクロレイン | 0.075 | 0.31 | 0.037 | 0.30 | 0.082 | 0.022 |
ND:検出下限値未満
試料採取日
1 酢酸ビニル:夏季(7月21~22日)、冬季(1月5日~6日)
2 ベンズアルデヒド及び3アクロレイン:夏季(8月11日~12日)、冬季(1月5日~6日)
物質名 | 池上測定局 (最小~最大値) | 池上測定局 (年平均値) | 大師測定局 (最小~最大値) | 大師測定局 (年平均値) |
---|---|---|---|---|
4 トルエン | 3.8~55 | 12 | 3.7~10 | 6.8 |
5 キシレン | 2.3~20 | 5.3 | 1.5~3.9 | 2.5 |
6 塩化メチル | 1.2~1.9 | 1.4 | 1.2~1.8 | 1.4 |
7 エチルベンゼン | 1.5~27 | 5.2 | 1.1~3.5 | 2.1 |
8 酸化プロピレン | 0.012~0.33 | 0.11 | 0.0085~0.27 | 0.070 |
試料採取:4測定局とも毎月実施。
物質名 | 中原測定局 (最小~最大値) | 中原測定局 (年平均値) | 多摩測定局 (最小~最大値) | 多摩測定局 (年平均値) |
---|---|---|---|---|
4 トルエン | 2.1~10 | 6.1 | 6.7~23 | 12 |
5 キシレン | 1.2~3.3 | 2.2 | 2.8~14 | 6.1 |
6 塩化メチル | 1.0~1.7 | 1.4 | 1.1~2.0 | 1.4 |
7 エチルベンゼン | 0.96~2.6 | 1.7 | 1.6~6.1 | 3.1 |
8 酸化プロピレン | 0.0077~0.078 | 0.039 | 0.0064~0.062 | 0.030 |
試料採取:4測定局とも毎月実施。

水質調査結果
(1) 河川
17物質について調査を実施し、15物質が検出されました。
ノニルフェノール及び4-t-オクチルフェノールについては、すべての地点で予測無影響濃度*を下回っていました。
*予測無影響濃度:
魚類に対して内分泌かく乱作用がないとされる水中濃度
ノニルフェノール:0.608μg/L、4-t-オクチルフェノール:0.992μg/L
物質名 | 平瀬川 (平瀬橋) 夏季 | 平瀬川 (平瀬橋) 冬季 | 三沢川 (一の橋) 夏季 | 三沢川 (一の橋) 冬季 |
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9 テトラブロモジフェニルエーテル | 0.00012 | ― | 0.00017 | ― |
10 ペンタブロモジフェニルエーテル | 0.000055 | ― | 0.000093 | ― |
11 ヘキサブロモジフェニルエーテル | 0.0000082 | ― | 0.000020 | ― |
12 ヘプタブロモジフェニルエーテル | 0.000014 | ― | 0.000017 | ― |
13 ヘキサブロモビフェニル | ND | ― | ND | ― |
14 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及び その塩(アルキル基の炭素数が10から 14までのもの及びその混合物に限る) | 0.24 | ― | 0.11 | ― |
15 ジクロルボス | 0.052 | 0.0044 | 0.036 | 0.0020 |
16 ダイアジノン | 0.0057 | 0.00039 | 0.53 | 0.00020 |
17 フェニトロチオン | 0.0018 | 0.0023 | 0.080 | ND |
18 フェノブカルブ | 0.0059 | 0.00073 | 0.0024 | 0.0028 |
19 ノニルフェノール | ND | ― | 0.3 | ― |
20 4-t-オクチルフェノール | 0.01 | ― | 0.01 | ― |
21 ビスフェノールA | 0.46 | ― | 0.01 | ― |
22 17β-エストラジオール | 0.00042 | ― | 0.00024 | ― |
23 エストロン | 0.0005 | ― | 0.0008 | ― |
24 エストリオール | 0.0001 | ― | 0.0002 | ― |
25 エチニルエストラジオール | ND | ― | ND | ― |
ND:検出下限値未満
―:未調査
試料採取日:
夏季(7月9日)
冬季(12月1日)
物質名 | 麻生川 (耕地橋) 夏季 | 麻生川 (耕地橋) 冬季 | 矢上川 (日吉橋) 夏季 | 矢上川 (日吉橋) 冬季 |
---|---|---|---|---|
9 テトラブロモジフェニルエーテル | 0.00016 | ― | 0.00046 | ― |
10 ペンタブロモジフェニルエーテル | 0.000091 | ― | 0.00011 | ― |
11 ヘキサブロモジフェニルエーテル | 0.0000088 | ― | 0.0000082 | ― |
12 ヘプタブロモジフェニルエーテル | 0.000005 | ― | 0.000013 | ― |
13 ヘキサブロモビフェニル | ND | ― | ND | ― |
14 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及び その塩(アルキル基の炭素数が10から 14までのもの及びその混合物に限る) | 1.8 | ― | 16 | ― |
15 ジクロルボス | 0.012 | ND | 0.023 | 0.099 |
16 ダイアジノン | 0.0010 | 0.00039 | 0.024 | 0.00013 |
17 フェニトロチオン | 0.0015 | 0.0016 | 0.010 | ND |
18 フェノブカルブ | 0.0092 | 0.0015 | 0.018 | 0.00049 |
19 ノニルフェノール | ND | ― | ND | ― |
20 4-t-オクチルフェノール | 0.01 | ― | 0.01 | ― |
21 ビスフェノールA | 0.02 | ― | 0.11 | ― |
22 17β-エストラジオール | 0.0044 | ― | 0.00049 | ― |
23 エストロン | 0.0049 | ― | 0.0007 | ― |
24 エストリオール | 0.0008 | ― | 0.0004 | ― |
25 エチニルエストラジオール | ND | ― | ND | ― |
ND:検出下限値未満
―:未調査
試料採取日:
夏季(7月9日)
冬季(12月1日)
(2) 海域
5物質について調査を実施し、3物質が検出されました。
物質名 | 京浜運河 千鳥町 | 京浜運河 扇町 | 扇島沖 |
---|---|---|---|
9 テトラブロモジフェニルエーテル | 0.000059 | 0.000071 | 0.000066 |
10 ペンタブロモジフェニルエーテル | 0.000024 | 0.000032 | 0.000029 |
11 ヘキサブロモジフェニルエーテル | 0.0000004 | 0.0000005 | ND |
12 ヘプタブロモジフェニルエーテル | ND | ND | ND |
13 ヘキサブロモビフェニル | ND | ND | ND |
ND:検出下限値未満
試料採取日:8月31日

底質(海域)調査結果
5物質について調査を実施し、5物質とも検出されました。
物質名 | 京浜運河 千鳥町 | 京浜運河 扇町 | 扇島沖 |
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9 テトラブロモジフェニルエーテル | 7.8 | 0.72 | 0.17 |
10 ペンタブロモジフェニルエーテル | 8.4 | 0.79 | 0.22 |
11 ヘキサブロモジフェニルエーテル | 3.5 | 0.36 | 0.11 |
12 ヘプタブロモジフェニルエーテル | 2.7 | 0.22 | 0.079 |
13 ヘキサブロモビフェニル | 0.0007 | 0.0006 | ND |
ND:検出下限値未満
試料採取日:8月31日

ノニルフェノール詳細環境調査結果
環境省(当時、環境庁)は平成10年度に環境ホルモン緊急全国一斉調査を実施し、その結果、川崎市の排水路から予測無影響濃度を上回るノニルフェノールが検出されました。(ノニルフェノールの予測無影響濃度は、平成13年に環境省の試験により0.608μg/Lと示されました。)このため、川崎市では、予測無影響濃度を上回っていた排水路について、継続的に水質調査を実施しています。平成22年度は平成21年度に引き続き、宮内排水路多摩川合流前地点及び合流上流700m地点の2地点について調査を実施しました。その結果、合流上流700m地点では予測無影響濃度を上回っていましたが、多摩川合流前地点では予測無影響濃度を下回っていました。
平成 16 年度 12 月 2 日 | 平成 17 年度 3 月 22 日 | 平成 18 年度 12 月 19 日 | 平成 19 年度 12 月 6 日 | 平成 20 年度 10 月 21 日 | 平成 21 年度 10 月 20 日 | 平成 22 年度 7 月 9 日 | |
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多摩川合流前 | 0.5 | 0.2 | 0.2 | 0.5 | 0.3 | 0.2 | 0.2 |
合流前上流700m (開渠部) | 14 | 5.4 | 6.4 | 13 | 3.4 | 5.4 | 2.5 |

図2 ノニルフェノール詳細環境調査地点図
お問い合わせ先
川崎市環境局環境対策部地域環境共創課
住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
電話: 044-200-2532
ファクス: 044-200-3921
メールアドレス: 30kyoso@city.kawasaki.jp
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