平成20年度川崎市化学物質環境実態調査の結果について
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市では、化学物質による環境汚染の未然防止のために、環境基準値や指針値等の定めのない未規制化学物質について環境調査を実施しています。平成20年度は14物質について、市内の大気、水質及び底質を対象に調査を実施しましたので、その結果をお知らせします。
分類 | 物質名 | 調査 媒体 (大気) | 調査 媒体 (水質 ・河川) | 調査 媒体 (水質 ・海域) | 底質 | 排出量*1 (kg/年) (平成 18年度 実績) 大気 | 排出量*1 (kg/年) (平成 18年度 実績) 公共用 水域 | 主な用途 |
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魚類に対して内分泌かく乱作用があると推察されている物質 | 1 ノニルフェノール | ○ | ○ | ○ | 0 | 0 | 工業用界面活性剤の原料 | |
魚類に対して内分泌かく乱作用があると推察されている物質 | 2 4-t-オクチルフェノール | ○ | ○ | ○ | 35 | 0 | 工業用界面活性剤の原料 | |
魚類に対して内分泌かく乱作用があると推察されている物質 | 3 ビスフェノールA | ○ | ○ | ○ | 1 | 0 | 合成樹脂の原料 | |
魚類に対して内分泌かく乱作用があると推察されている物質 | 4 o,p'-DDT | ○ | ○ | ○ | ― | ― | 過去に農薬等として使用 | |
生体ホルモン物質 | 1 17β-エストラジオール | ○ | ○ | ○ | ― | ― | 女性ホルモンの一種 | |
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 1 N,N-ジメチルホルムアミド | ○ | ○ | ○ | 201 | 909 | 合成皮革や合成繊維等の製造時に使われる溶剤 | |
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 2 ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル | ○ | ○ | ○ | 302 | 6,512 | 台所用洗剤に含まれている界面活性剤 | |
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 3 ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル | ○ | ○ | ○ | 47 | 248 | 農薬に含まれている展着剤 | |
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 4 1,3-ブタジエン | *2 | ○ | 68,358 | 532 | 合成ゴムの原料 | ||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 5 フェノール | ○ | 1,868 | 40 | 合成樹脂の原料 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 6 クレゾール | ○ | 91 | 0 | 合成樹脂の原料 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 7 アクリル酸 | ○ | 330 | 0 | 合成樹脂の原料 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 8 メタクリル酸 | ○ | 59 | 0 | 塗料の合成原料 | |||
化学物質排出把握管理促進法(化管法)第一種指定化学物質 | 9 PCB | ○ | 0 | 0 | 過去にトランス等の絶縁油や感圧紙複写紙等に使用 |
*1:化管法に基づく届出排出量及び届出外排出量の合計値です。(PRTRに関するページはこちら)
*2:1,3-ブタジエンの大気濃度については有害大気汚染物質モニタリング調査で毎年度調査しています。
(有害大気汚染物質に関するページはこちら)

図1 川崎市化学物質環境実態調査地点図

大気調査結果
5物質について調査を実施し、5物質全てが検出されました。
物質名 | 大師 測定局 (夏季) | 大師 測定局 (冬季) | 中原 測定局 (夏季) | 中原 測定局 (冬季) | 多摩 測定局 (夏季) | 多摩 測定局 (冬季) | 生田 浄水場 (夏季) |
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1 フェノール | 0.048 | 0.065 | 0.072 | 0.080 | 0.045 | 0.097 | ― |
2 クレゾール | 0.059 | 0.066 | 0.106 | 0.071 | 0.091 | 0.085 | ― |
3 アクリル酸 | 0.014 | 0.031 | 0.017 | 0.031 | 0.015 | 0.028 | ― |
4 メタクリル酸 | 0.0044 | 0.0057 | 0.0057 | 0.0047 | 0.0058 | 0.0053 | ― |
5 PCB | 0.00036 | 0.00018 | 0.00072 | 0.00017 | ― | ― | 0.00023 |
―:未調査
試料採取日:夏季(8月26~27日)、冬季(12月16日~17日)

水質調査結果
9物質について調査を実施し、河川からは6物質、海域からは6物質が検出されました。
ノニルフェノール及び4-t-オクチルフェノールについては、すべての地点で予測無影響濃度*を下回っていました。
*予測無影響濃度:
魚類に対して内分泌かく乱作用がないとされる水中濃度
ノニルフェノール:0.608μg/L、4-t-オクチルフェノール:0.992μg/L
物質名 | 平瀬川 (平瀬橋) | 三沢川 (一の橋) | 麻生川 (耕地橋) | 矢上川 (日吉橋) | 検出 下限値 |
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1 ノニルフェノール | ND | ND | ND | ND | 0.1 |
2 4-t-オクチルフェノール | 0.01 | ND | ND | ND | 0.01 |
3 ビスフェノールA | 0.28 | ND | 0.08 | 0.18 | 0.01 |
4 o,p’-DDT | 0.000013 | 0.0000054 | 0.0000020 | 0.0000090 | 0.0000008 |
5 17β-エストラジオール | 0.00021 | 0.00009 | 0.00086 | 0.00027 | 0.00002 |
6 N,N-ジメチルホルムアミド | ND | ― | ― | ND | 0.026 |
7 ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル※ | 17 | ― | ― | 6.7 | 0.32 |
8 ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル※ | 17 | ― | ― | 6.7 | 0.32 |
9 1,3-ブタジエン | ― | ― | ― | ― | 0.01 |
物質名 | 京浜運河 千鳥町 | 京浜運河 扇町 | 扇島沖 | 末広 運河先 | 大師 運河先 | 夜光 運河先 | 検出 下限値 |
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1 ノニルフェノール | ND | ND | 0.2 | ― | ― | ― | 0.1 |
2 4-t-オクチルフェノール | ND | ND | ND | ― | ― | ― | 0.01 |
3 ビスフェノールA | 0.12 | 0.01 | 0.01 | ― | ― | ― | 0.01 |
4 o,p’-DDT | 0.0000078 | 0.0000065 | 0.0000028 | ― | ― | ― | 0.0000008 |
5 17β-エストラジオール | 0.00032 | 0.00028 | ND | ― | ― | ― | 0.00002 |
6 N,N-ジメチルホルムアミド | 0.92 | ND | ND | ― | ― | ― | 0.026 |
7 ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル※ | ND | ND | ND | ― | ― | ― | 0.32 |
8 ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル※ | ND | ND | ND | ― | ― | ― | 0.32 |
9 1,3-ブタジエン | 0.07 | ― | ― | 0.21 | 0.07 | 0.19 | 0.01 |
ND:検出下限値未満
―:未調査
試料採取日:河川(10月21日)、海域(9月9日(1,3-ブタジエンのみ12月8日))
※:7.ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル及び8.ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテルの結果は、ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤としての測定結果です。

底質(海域)調査結果
8物質について調査を実施し、6物質が検出されました。
物質名 | 京浜運河 千鳥町 | 京浜運河 扇町 | 扇島沖 | 検出 下限値 |
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1 ノニルフェノール | 430 | 320 | 220 | 50 |
2 4-t-オクチルフェノール | 20 | 16 | 11 | 5 |
3 ビスフェノールA | 36 | 16 | 12 | 5 |
4 o,p’-DDT | 0.10 | 0.16 | 0.11 | 0.0006 |
5 17β-エストラジオール | ND | ND | ND | 0.009 |
6 N,N-ジメチルホルムアミド | ND | ND | ND | 3 |
7 ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル※ | 1100 | 650 | 700 | 35 |
8 ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル※ | 1100 | 650 | 700 | 35 |
ND:検出下限値未満
試料採取日:9月9日
※:7 ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル及び8 ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテルの結果は、ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤としての測定結果です。

ノニルフェノール詳細環境調査結果
環境省(当時、環境庁)は平成10年度に環境ホルモン緊急全国一斉調査を実施し、その結果、川崎市の排水路から予測無影響濃度を上回るノニルフェノールが検出されました。(ノニルフェノールの予測無影響濃度は、平成13年に環境省の試験により0.608μg/Lと示されました。)このため、川崎市では、予測無影響濃度を上回っていた排水路について、継続的に水質調査を実施しています。平成20年度は平成19年度に引き続き、宮内排水路多摩川合流前地点及び合流上流700m地点の2地点について調査を実施しました。その結果、合流上流700m地点では予測無影響濃度を上回っていましたが、多摩川合流前地点では予測無影響濃度を下回っていました。
平成 16 年度 12 月 2 日 | 平成 17 年度 3 月 22 日 | 平成 18 年度 12 月 19 日 | 平成 19 年度 12 月 6 日 | 平成 20 年度 10 月 21 日 | |
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多摩川合流前 | 0.5 | 0.2 | 0.2 | 0.5 | 0.3 |
合流前上流700m(開渠部) | 14 | 5.4 | 6.4 | 13 | 3.4 |

図2 ノニルフェノール詳細環境調査地点図
お問い合わせ先
川崎市環境局環境対策部地域環境共創課
住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
電話: 044-200-2532
ファクス: 044-200-3921
メールアドレス: 30kyoso@city.kawasaki.jp
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