中東呼吸器症候群(MERS)について 1/3(テキスト情報)
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今話題のMERSについて、今日は川崎市健康安全研究所所長で、厚生労働省のMERS対策会議委員長の岡部信彦先生にお話しを伺います。
(1) MERSってなあに?
MERSとは中東呼吸器症候群、Middle East Respiratory Syndromeの頭文字をとったもので、中東で発生した肺炎症状を中心とした呼吸器の病気です。肺炎はどこにでもある病気ですが、この病気は新しいコロナウイルスが原因となり、起こります。
コロナウイルスの親戚としては2003年に流行し世界を驚かせたSARSがあります。MERSはSARSとは違うウイルスですが、引き起こす病気がよく似ています。2012年以降主に中東で流行していますが、中東からの渡航者が発病し、ヨーロッパやアメリカ、マレーシア、フィリピンなど各地で患者さんが見られています。
(2) MERSに感染したらどうなるの?
呼吸器症候群と言われているように肺炎が一番わかりやすい症状です。
せきだったり、熱だったり、息苦しいというような呼吸器の症状が出てきます。SARSとよく似て、非常に肺炎を起こしやすいのが特徴です。
MERSは最初の症状がせきや、熱だったりするので他の疾患との区別がつきにくく、非常にわかりにくいです。エボラ出血熱は、最初に非常に強く発熱し、ガクッと疲労感、全身症状が出てくるのでかわかりやすいのです。一方、呼吸器症状を起こす病気は原因がたくさんあり、マイコプラズマ肺炎だとか、結核だとか他の疾患も原因として考えられるため、わかりにくいのです。しかし、これらの病気に比べると、非常に他者への感染が起こりにくいというのが、MERSの特徴でもあります。
(3) MERSにはどうしたら感染するの?
インフルエンザのように唾等とともにウイルスが飛んでうつる飛まつ感染だと考えられています。1-2m程度の距離でうつると考えられていますが、飛沫の中に含まれるウイルスの量や感染させる力、受け取りやすさなどはインフルエンザなどに比べると格段に弱いです。
そのため、かなり近くで接触したり、長時間接触したり、病院でお世話をしたりとか、そういった行動を無防備で行えば感染しますが、通りを歩いていてすれ違ったり、地下鉄で接触してうつったという事例はいままでありません。また、症状がない人からはうつりません。
症状のある人と近くで長時間接するような時は注意しなければいけません。
(4) MERSの潜伏期間はどのくらい?
感染症は、原因となるウイルス等が身体の中で増えて発病につながるが、その時間が病気によって違います。たとえばインフルエンザは1~2日ですが、結核であればもっと期間がかかります。
MERSは短い場合2~3日で、最大14日くらいと言われています。しかし例外はあるので15~16日もないわけではありません。基本的には幅をとって2~14日、平均的には5日前後というデータが出ています。
うつったかもしれない人と接触したときにどのくらい注意したらよいのかというのは大体2週間です。この間に、せきが出る、熱が出るという症状が出たときには、しかるべき医療機関に行く必要があります。
(5) MERSにかからないためにはどうしたらいい?
一般の方はMERSの病気の人に近寄らないのが一番です。患者さんは病院で入院をしているので病院へのお見舞いに行くような時は注意が必要です。基本的な注意は、新型インフルエンザが発生した時の対策を思い出していただければ良いと思います。接触をする時はマスクをしましょう。また、患者さんの手から感染するという病気ではありませんが、咳を手でおさえていれば手にはウイルスが付いていますので、そういった手に触れたような時は手を洗う必要があります。
このように、マスクや手洗いなど普段から行っている対策をとるのが一番大切です。
繰り返しになりますが、症状のない人がうつすことはほとんどありません。そのため症状がない人がいるところでマスクをするというのは過度な反応で、意味がありません。
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