ジカウイルス感染症(ジカ熱)について 1/3(テキスト情報)
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今話題のジカウイルス感染症について、今日は川崎市健康安全研究所所長で、厚生労働省やWHO等でも感染症関係の委員等を務められている岡部信彦先生にお話しを伺います。
1 ジカウイルス感染症ってなに?
「ジカ」という名前のついているウイルスが「蚊」によって運ばれ、その蚊に刺されることでウイルスに感染して病気になるという、その病気を総称して「ジカウイルス感染症」といいます。
2 ジカウイルスに感染したらどうなるの?
ジカウイルスを持った蚊に刺されると、ある一定の潜伏期間を経て症状が出てきます。その症状は、熱が出たり、そんな高い熱ではないのですけれども、体にぽつぽつとした発疹が出たり、関節が痛くなったり、筋肉が痛い、頭が痛い、それから結膜炎といって目が赤くなったりします。
でも、八割くらいの人は症状が出ないのでわからないまま終わってしまいます。
症状はデング熱に似ていますが、デング熱よりも軽いといわれています。
3 ジカウイルスにはどうしたら感染するの?
もともとは人が持っているのですが、その人を蚊が刺して、その蚊が人を刺してといった具合に、「人」→「蚊」→「人」というようにうつります。蚊が媒介するということですね。
4 感染を媒介する蚊は日本にもいますか?
熱帯地域、亜熱帯地域には、ネッタイシマカというヤブカが多いんですが、これが一番起こりやすい。でもヤブカというのはいろいろな種類があって、各地にあるのですけれども、日本にはヒトスジシマカって言う名前のヤブカがいます。
ネッタイシマカは日本にはいないのですけれども、ヒトスジシマカはデング熱ウイルスも運ぶように、例えばジカウイルスというのがもしいれば運ぶと言われています。これは、シンガポールでは証明されていますが日本はまだ入ってきていないので、まだ証明はされていないということになります。
5 日本国内でジカウイルスに感染する可能性はあるのでしょうか?
日本の中にジカウイルスが入りこんでいるということが証明されていません。もし、ウイルスが入り込んだ場合にはヒトスジシマカというヤブカはいるので、一昨年代々木公園を中心にデング熱が少し流行したように、ジカウイルスというウイルスを持った人が日本に入って、その人を刺した蚊が次の人を刺すということはあり得ると思います。
そこからどんどん患者さんが広がるということは、日本の蚊の生息状況とか、人と蚊がそんなに密接にいないとか、人の衛生状態とか、そういうのがきちんとやられていることを考えるとそんなに広がることはないと思います。
6 潜伏期間はどのくらい?
短いと2日間くらいで、長いと10日から12日くらい、平均的には数日くらいと言われているので、この辺はデング熱と類似しています。ただ、8割くらいの人は症状がなく終わってしまうので、まったく気がつかないということのほうが多いのではないかと思います。
7 ジカウイルス感染症にかからないためにはどうしたらいい?
ウイルスが体に入ってこなければいいので、蚊に刺されなければいい。できるだけ蚊を避ける、蚊に刺されない、ということが一番大切なことになります。
8 治療薬はありますか?
元々軽い病気なので、感染した人も自然に治ってしまう。ということは、薬を開発することが行われていないので、ジカウイルス感染症そのものをぴたっと直す薬はないです。
体の痛みや発熱といった症状が強い場合には、鎮痛解熱剤を使った方が良い場合もあります。ただ、鎮痛解熱薬のアスピリンという薬は、デング熱ではないとわかっていない限り使わないほうがいい。薬に頼らなくてもすぐに治ってしまうことのほうが多いです。
9 かかってしまったらどうしたらよいですか?
症状がたいしたことがないので、気づかないうちに、風邪かなと思っている間に治ってしまいます。ただ、症状が強く、発疹がたくさんでている、目が真っ赤である、体中が痛い、熱が高いなどの症状が出ているようであれば、医療機関で診てもらった方が良いと思いますが、ジカ熱だと思い込むよりも、もっと他にも同じような病気があるので、鑑別をする意味でも診てもらうことがいい。
ジカ熱ということだけを疑うのであれば、流行国から帰ってきて、熱が出て、発疹(ぶつぶつ)が出て、目が赤い、あるいは手足が痛いというような症状があれば、滞在国を医師に伝えてください。診察をする上で貴重な情報となります。
お問い合わせ先
川崎市健康福祉局保健医療政策部感染症対策課
住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
電話: 044-200-2441
ファクス: 044-200-3928
メールアドレス: 40kansen@city.kawasaki.jp
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