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新型コロナウイルス感染症への対応報告(令和6年3月)

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はじめに

これからも「チーム川崎」を大切に

 新型コロナウイルス感染症が確認されて以降、我が国では、令和2年2月3日に横浜港に入港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」がセンセーショナルなニュースとして取り上げられました。本市においても、同船の感染者をどう受け入れるか等の課題に直面し、未知なる感染症へ対応するための正しい情報が不足した中で、判断が求められる場面に直面しました。
 こうした状況においても、本市には、国の分科会委員でもある岡部信彦健康安全研究所所長や坂元昇市立看護短大学長が在籍しており、専門的な知見からのアドバイスを頂けたことにより、落ち着いた対処に繋がったことと考えております。
 その後、全国的にワクチン接種事業が展開されるにあたり、本市はテスト会場として国と協力した取り組みを進め、また、コロナ禍で災害が起きたらどうするのか、という複合災害も想定される中で、早急に避難所運営マニュアルを検討・作成できたことも、チーム川崎がもつ繋がりや知見によるものと思います。

 感染拡大防止のために市民利用施設の閉鎖やイベント等の中止などにより、市民活動や地域の繋がりを継続することが難しい状況もありましたが、感染防止対策を講じながら、市民の皆様には会議やイベント等に参加していただいたり、ICT技術の活用によるオンラインでの参加など、試行錯誤しながら、少しでも地域の繋がりを継続するために取り組んでまいりました。
 また、事業者の皆様には、感染防止対策として営業自粛や時短営業等、必要な対策を講じていただくなど、経済活動の維持と併せて、ご負担をおかけすることとなりました。
 こうした中でも冷静に対処していただいた市民及び事業者の皆様に、心から感謝を申し上げます。
 あわせて、多くの方々からご支援、ご寄付等もいただき、こうしたご厚意は感染防止や医療・福祉に従事する皆様に大きな力となりました。

 今回、この未曽有の感染症危機により、市民・事業者・行政に一体感が生まれ、協力関係を構築することができたことで、 今後、新たな危機事象が発生した際にも、 「チーム川崎」で難局に立ち向かい、乗り越えていけるよう、この経験を活かしてまいります。

川崎市長 福田 紀彦

目的

 川崎市では、新型コロナウイルス感染症対策として、令和2年1月31日に「川崎市新型コロナウイルス感染症対策本部」(以下、「市対策本部」という。)設置以降、令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、対策本部が廃止となるまで、予防や拡大防止策を講じるとともに、社会動向やウイルスの変異などの状況変化に応じて、必要な取り組みや事業を迅速かつ柔軟に実施してまいりました。

 今後、変異株による更なる新型コロナウイルス感染症の流行や新たな感染症が発生した場合に、この対策で取り組んだ経験を活かし、市民の安全と生活の維持、継続的な行政運営を図るため、本市が実施した主要な取組を取りまとめ、記録として残す必要があることから、本報告書を作成したものです。

目次

   本報告については、新型コロナウイルス感染症対策本部会議で報告された各局区の取組みを、次の大項目別に主要な事項をまとめています。

1 新型コロナウイルス感染状況の推移
2 本市の感染症対策の概要
3 新型コロナウイルス感染症対策における体制の確保
4 情報提供・共有
5 行政サービスの継続
6 市民生活及び経済活動の安定の確保
7 感染拡大防止
8 おわりに
9 関連資料

1 新型コロナウイルス感染状況の推移

 本市の感染症対策は、国・県が実施する大局的な施策(緊急事態宣言等に係る施設等の使用制限、飲食店等における営業時間の制約等、ワクチン接種など)に準じながら、市対策本部等で行政運営方針を定め、全庁的な対策を推進してきました。
 この章では、そうした国・県の施策や本市の対応について、新型コロナウイルス感染症のウイルスの変異による特性変化や感染拡大の状況、ワクチン接種事業の動向、社会状況の変化などを踏まえ、大きく3つのフェーズに分け、その時期における対策の概要についてまとめています。
 3つのフェーズについては、次に示すとおり、変異する前の従来株であった時期をフェーズ1、変異後のアルファ株・デルタ株の時期をフェーズ2、さらに変異したオミクロン株の時期をフェーズ3としました。

新型コロナウイルス感染症の推移(川崎市)

・フェーズ間の明確な境界は設定しないこととする。
・データ起点は初回公表日(2020年3月6日)、データ終点は5類変更日(2023年5月8日)としている。

 感染の波についての期間(始期・終期)については次のとおりとします。

感染の波についての期間

<流行波の考え方>
 厚生労働省の方式に準じて感染が拡大した各期間において、7日間平均がピークを迎えた月とその前後1か月を含めた3か月間をひとつの波とする。但し、令和4年の夏季については、以下の理由により、6~8月ではなく、7~9月をひとつの波とする。
 〔令和4年夏季〕7日間平均のピークは7月末であるが、6月の患者数は非常に少なく、7月に入ってからの患者増の立ち上がりが急峻かつピークの後も8月末まで患者数が非常に多い状態が続いていた。

2 本市の感染対策の概要

フェーズ1(第0波~第3波)期の概要

【感染症の状況】
・新型コロナウイルスの変異が見られていない時期であり、感染が徐々に拡大している状況であった。
・感染した場合の病原性が高く、高齢者等の死亡率が高い時期であった。

【社会的な状況】
・国内で感染者が確認された後、感染が各地へ広がっていく状況や、高齢者等が罹患し亡くなる情報が日々報道され、社会的に新型コロナウイルスへの強い恐怖心がある時期であった。
・マスク着用や手指消毒・うがい等の基本的な感染症対策の徹底が求められ、マスクや消毒薬等の衛生用品が市場で不足し、社会的にも混乱が生じていた。

【国の対応】
・感染者の増加を抑止するため、政府が「緊急事態宣言」を発令(令和2年4月7日以降随時)し、対象地域では感染拡大防止策として、施設の使用制限、飲食店の酒類提供制限や夜間営業時間の短縮などが実施された。
・感染リスクの高い環境として密閉・密集・密接を挙げ、「3密」の回避を推奨し、感染拡大防止を呼びかけた。

【本市の対応】
・市対策本部を設置し、庁内で情報共有を図り、役割を確認しながら、対応の検討を進めた。
・業務の継続性を担保するため、各施設、職場において、検温、手指の消毒、マスクの着用など感染予防対策を実施した。
・緊急事態宣言の対象地域となったことから、国や県の方針に合わせ、本市行政運営方針を発出し、市施設の使用制限や、イベントの中止措置等を必要に応じて実施した。
・感染拡大防止策として、職員の出勤抑制を行うため、業務継続計画(BCP)を発動した。
・市医師会や市病院協会の協力により、集合検査場の開設や行政検査を行う医療機関の拡充など検査体制の強化を図った。

フェーズ2(第4波〜第5波)期の概要

【感染症の状況】
・アルファ株やデルタ株といった、従来よりも感染しやすい「変異株」が発現したことから、感染爆発を防ぐ手立てを検討する必要が生じた時期であった。
・デルタ株はウイルスの病原性が高く、重症者が増加した。

【社会的な状況】
・第3波までの経験により、多くの方に新型コロナウイルスに感染することの恐ろしさが認知される一方で、ワクチン接種を開始したことにより一定の安心感が得られ、冷静な行動ができるようになった。
・マスク着用や手指消毒・うがい等の基本的な感染症対策と「3密回避」が推奨された。
・マスクや消毒薬が市場で流通し始めたことにより、マスクを着用し生活することが一般的となった。
・第5波で感染者及び濃厚接触者が急増したことにより、パンデミックの進行を遅らせるために講じていた積極的疫学調査が医療機関や保健所の業務をひっ迫するようになった。

【国の対応】
・感染時の重篤化を防止するため、国民へのワクチン接種が進められた。(1・2回目及び3回目接種)
・第5波に入り、再び「緊急事態宣言」を発令し、本市を含む地域が対象となった。(令和3年7月30日~9月30日)

【本市の対応】
・ワクチン接種事業を進めた。(1・2回目を令和3年4月12日から、3回目は令和3年12月1日から実施)
・国や県の方針に合わせ、本市行政運営方針を発出し、市施設の使用制限やイベント開催制限等については運営方針を適宜決定し、対応した。
・イベント等の実施は「3密」を回避しながら実施する、リモート会議等の活用、在宅勤務を励行するなど、コロナ禍での事業や業務を進めていく手法を検討し、対応した。

フェーズ3(第6波〜第8波以降)期の概要

【感染症の状況】
・新型コロナウイルスが「オミクロン株」へ変異して感染力が強くなり、さらに感染が拡大した。
・ウイルスの病原性は「アルファ株」や「デルタ株」より低くなったが、高齢者や基礎疾患を有する方が罹患した場合に重篤化するリスクがあるという状況は変わらないままであった。

【社会的な状況】
・3回目のワクチン接種が開始されるなど対策が進む一方で、ウイルスの変異に伴い、感染者及び濃厚接触者が増加したことにより、自宅療養者・自宅待機者が急増した。
・基本的感染症対策と3密回避を引き続き徹底するとともに、「換気」がより推奨されるようになった。
・フェーズ3終期(第8波以降)には感染者数が減少し、「withコロナ」として新型コロナウイルスへの対応と社会経済活動の両立を図る考え方に移行し、保健医療体制の強化とともに療養の考え方やマスク着用の考え方等が変わった。

【国の対応】
・「まん延防止等重点措置」を実施し、神奈川県が対象区域となった。(令和4年1月21日~3月21日)
・感染者を確認する「全数把握」を見直し、氏名などを把握する対象を高齢者など重症化リスクの高い患者に限定した。(令和4年9月26日)

【本市の対応】
・引き続き、ワクチン接種事業を進めた。(3回目は令和3年12月1日から実施)
・第5波の保健所業務ひっ迫の経験を踏まえ、デジタル技術の積極的な活用、看護協会からの看護士派遣など第6波に備えた保健所業務の官民をあげた応援体制を構築して対応にあたった。
・本市行政運営方針としては、市民利用施設については、利用者に対し、施設内での飲食や利用前後の会食を控えることなどの感染防止対策の徹底を積極的に周知したうえで運営することとした。
・基本的な感染対策を継続しながら社会経済活動を推し進めるため、 「withコロナに向けた市行政運営方針」を発出した。(令和4年11月10日、令和5年2月22日)

3 新型コロナウイルス感染症対策における体制の確保

 本市では、新型コロナウイルス感染症への対策に際し、市長を本部長とする「川崎市新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置しました。(設置日:令和2年1月31日、廃止日:令和5年5月8日)
 ・対策本部は、「川崎市新型インフルエンザ等対策本部要綱」を準用して設置

川崎市新型コロナウイルス感染症対策本部の体制図

川崎市新型コロナウイルス感染症対策本部会議(以下、本部会議)について

開催実績

第1回本部会議を令和2年2月5日に開催以降、令和5年4月28日までに54回開催した。

主な内容

・専門家(健康安全研究所所長)による新型コロナウイルス感染症の全国及び本市の感染状況やウイルスの特徴分析、感染防止対策等についての世界的な情勢を踏まえた最新情報の共有を行った。
・国や県の感染状況に応じた施策についての情報共有及び、本市での施策展開についての意思決定を行った。その際に専門家の的確なアドバイスを求め、適正な判断を行った。
・緊急事態宣言等や国・県の施策展開を踏まえた、本市行政運営方針を発出した。
・本市の取り組み状況について、定期的に取りまとめた報告を実施した。

※本部会議資料・摘録や本市行政運営方針、各局区の取組状況については市HPに掲載

各種PT(プロジェクトチーム)の開催

 新型コロナウイルス感染症への対応については、前例がなく手探りであったことから、大きな方針の決定や全体共有を図る場としての本部会議と個別具体な対応について事業調整、情報交換する場として分野ごとに5つのPTを設置しました。
 PTの設置・活用により、機動的な意思決定ができたことから、より迅速かつ柔軟な対応が取れる体制でコロナ対応を進めました。

プロジェクトチームの体制図

医療PT

<開催実績>
 令和2年4月2日から開催し、令和5年4月25日まで、計127回開催。(令和4年10月28日からは、PTの構成を見直しし、コアPTとして開催)
<主な内容>
・病床の確保、使用状況、入院者数の推移、モニタリング状況、ワクチン接種状況など
・市立病院の状況、救急搬送の状況、療養者入所状況など
・コロナ本部会議の議題審議(本市行政運営方針の発出など)

困窮支援PT

<開催実績>
 令和2年5月19日から開催し、令和3年4月9日まで、計5回開催。
<主な内容>
・介護・福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症への対応状況
・川崎市特別定額給付金給付事業
・住居確保給付金
・社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付(緊急小口資金等)の特例貸付等
・孤立した住宅の高齢者・障害者に対する対応
・生活保護相談申請の状況

区役所PT

<開催実績>
 令和2年4月17日から開催し、令和2年12月8日まで、計8回開催。
<主な内容>
 各区衛生課の対応状況・応援体制、新型コロナウイルス対策

経済対策PT

<開催実績>
 令和2年4月15日から開催し、令和4年11月2日まで、計22回開催。(令和4年10月25日からは、PTの構成を見直し、経済財政PTとして開催)
<主な内容>
 市内経済の状況等、地方創生臨時交付金を活用した補正予算事業候補、新型コロナウイルス感染症対応

こどもPT

<開催実績>
 令和2年5月8日から開催し、令和4年5月20日まで、計6回開催。
<主な内容>
・低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金、子育て世帯への臨時特別給付金、ひとり親家庭等臨時特別給付金
・支援を必要としている子どもの取組
・臨時休業期間における家庭学習、学校再開に向けて

新型コロナウイルス感染症の5類移行後の体制

今後、新たな感染症による危機事象が発生するまでの体制

 今後、新たな感染症危機事象が発生するまでの間においては、新型コロナウイルス感染症を含む感染症全般についての情報収集を行い、情報共有を図る。
 また、次の新たな感染症等の流行時における本市の対応力強化を図り、全庁一丸となった、迅速かつ的確な対応が行える庁内横断的な体制整備を進めていく。

今後、新たな感染症による危機事象が発生した場合の体制

 今後、新たな感染症危機事象が発生した場合で、市民への影響や社会的影響など被害の範囲が限定的な初期段階には「警戒体制」を敷き、健康福祉局が中心となった危機管理体制に移行し、情報収集や感染防止策を実施する。その際の意思決定は、「危機管理推進会議」によるものとする。
 国により、緊急事態宣言が出され対象地域に該当するなどした場合は、当該感染症へ対応するための対策本部を設置し、「本部体制」へと移行し、全庁横断的な対応を開始する。

・ここでいう、「新たな感染症危機事象」には、新型コロナウイルス感染症の変異等による強毒化などにより危機事象化した場合も含むものとしている。

4 情報提供・共有

 本市では、新型コロナウイルス感染症に関する市民への情報提供として、主に市のホームページを通じて、感染症の最新動向や本部会議資料の公開、市長メッセージの動画配信等を実施し、市民に混乱が生じないよう、正しい情報の発信に努めてきました。

1 市内感染状況の情報発信

 感染状況については、健康福祉局が「市内の新型コロナウイルスに感染した患者等の発生状況」を、休日を含め毎日報道発表を行うとともに、市HPに開設した専用ページにおいても、その情報と「新型コロナウイルス感染症発生状況データ」を日々更新しました。更に「新型コロナウイルス感染症モニタリング状況」の情報についても毎週報道発表と市HPで発信してきました。

新型コロナウイルス感染症発生状況データ

 陽性者数としては、発表日別・年代別に各グラフを掲載し、感染動向を周知してきました。
 令和5年5月8日までに確認された陽性者数は、累計464,513人にも上りました。

新型コロナウイルス感染症発生状況

新型コロナウイルス感染症モニタリング状況

 感染の状況として、陽性者数(総数、対人口10万人(総数)、前週との増加比(総数))と陽性率、医療提供体制として、入院患者(入院中の患者数、病床使用率、確保病床数)と重症患者(入院患者と同項目)を週次で更新したデータ及び、変異ウイルス検出状況を公表しました。

新型コロナウイルス感染症モニタリング状況(画像)

2 「かわさきコロナ情報(動画特設ページ)」による市民向け情報発信

 市民に緊急性の高い情報を分かりやすく丁寧に伝える必要がある場合や、市民に協力を求める必要がある場合においては、市長が直接市民に呼びかけるメッセージ動画を作成し、ホームページ上で配信を行いました。
 その他、コロナ禍に関連した動画についても随時発信しました。(計57本の動画配信を実施)

かわさきコロナ情報(動画特設ページ)

3 新型コロナウイルス感染症対策本部会議の開催(公開会議)

 本部会議は、本市健康安全研究所の岡部所長による最新情報の共有と専門的なアドバイスを受けつつ、即時的に緊急性の高い意思決定を行い進行しました。
 会議終了後には、本市行政運営方針等の決定事項を市民に周知するため、資料や摘録を即日で市ホームページに掲載し、報道取材対応についても、市長が取組について説明するとともに、コロナの感染状況やウイルスの特性変化等の最新の状況については、岡部所長から専門家としての立場から説明を行いました。
 ・岡部所長は政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の委員でもありました。

コロナ対策本部会議の様子(一番右が福田市長、一番左が岡部所長)

4  市ホームページ「新型コロナウイルス感染症総合ページ」の設置

 コロナワクチン接種や自宅療養についてなど、コロナに関する情報が多岐に渡り必要な情報にアクセスしにくい状況になったことから、分かりやすく体系的に情報発信するため、市HPのトップページに、コロナに関する情報メニューを配置しました。
 5類へ移行した後もコロナ関係の必要な情報にアクセスできるよう、表示を縮小し掲載を継続しています。 (令和6年3月現在)

新型コロナウイルス感染症総合ページ

5 その他、市民向け広報など

・緊急事態宣言時などに、市長から市民の皆様へのコメントを発信しました。

・感染拡大期には、市ホームページのトップページにバナーを掲載し、感染対策の徹底を呼びかけました。

市HPに掲載したバナー画像

・市職員の新型コロナウイルス感染症の罹患状況については、報道発表により公表を行いました。

・新型コロナウイルスに感染された方やその家族、感染者が入院する医療機関の従事者、クラスター発生施設等への誹謗中傷や風評被害があったことから、「感染症は誰しもが罹患する可能性があるもの」として人権に配慮した冷静な行動をとるよう啓発を行いました。

・号外「備える。かわさき」で新型コロナウイルス感染症特集記事を掲載し、全戸配布を行いました。(第4号:令和2年9月発行、第5号:令和4年1月発行)

号外「備える。かわさき」第4号:令和2年9月発行
号外「備える。かわさき」第5号:令和4年1月発行

5 行政サービスの継続

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、イベントの中止や市施設の使用制限等が求められるなど、市民生活へ大きな影響がありました。
 市役所内部において職員の感染が拡大した場合には、行政サービスの継続が難しくなり、行政サービスが停滞することにより市民生活への影響は大きくなることから、感染症危機事象に対して計画されていた「川崎市業務継続計画(新型インフルエンザ等対策編)」(BCP)の発動による職員出勤抑制の実施や、テレワークの活用、感染予防策として混雑回避のための時差勤務等を推奨し、業務継続を担保するための対策を行ってきました。

1 BCP(業務継続計画)の発動(令和2年4月17日~令和2年5月6日まで)

 感染拡大により市職員への感染が確認されたことから、令和2年4月17日に「川崎市業務継続計画(新型インフルエンザ等対策編)」(BCP)の発動を発表し、全庁を挙げた対策を実施しました。
 具体的には次の重点的な業務をリストアップし、業務を中断させないよう取り組むものとしました。

本部長発出の「川崎市業務継続計画 (BCP)発動について」から一部抜粋

 市民生活を支える行政として、必要不可欠な業務を安定的に実施するため、BCPへの記載の有無に関わらず、以下の業務については応援体制を含め、安定的な業務実施体制を整えていくうえで、可能な限り在宅勤務等による出勤抑制を図るものとします。なお、業務の継続を進める上で、統一的に調整する必要のある業務が生じた際には、所管局を含め、調整を図ることとします。

1 医療や衛生に関する業務
2 災害対応や消防・救急に関する業務
3 証明書交付や税金・健康保険などに関する業務
4 子どもの居場所の確保や要援護者対策などの業務
5 廃棄物収集・処理や水道事業、道路や施設の維持管理に関する業務
6 市バスの運行に関する業務
7 その他、各局区で特に業務継続が必要と認められるもの

BCP発動までの流れ

 国による緊急事態宣言の発出が予見された時点で、BCPの発動を視野に入れた、具体的な取り組みの方向性の確認・決定などの準備を進め、いざ国から緊急事態への対処として必要な事項が発出された場合に、遅滞なく迅速な判断と対応をとる体制を構築しました。本市のBCP発動までの対応の流れは次のとおりです。

BCP発動までの流れ

 BCP発動にあたっては、業務内容の見直しや出勤する職員の削減などにより行政サービスが一部低下することから市民生活への影響を考慮し、市民の皆さまへの丁寧な説明として市長コメントを発表しました。

BCP発動に伴う市長コメント

 本日から5月6日まで、本市の業務について、川崎市業務継続計画(BCP)を発動することといたしました。
 これは、4月16日に神奈川県が「特定警戒都道府県」に指定され、政府が全ての事業者等に対し出勤者の7割削減を求める中で、市民生活を支える行政であっても、感染症のまん延防止に向け、可能な限りの出勤者削減に最大限取り組む必要があるためです。
 この業務継続計画の発動により、業務内容の見直しや従事する職員を削減し、本市職員の出勤等による、市域での感染拡大防止を図ります。
 市民の皆様には、限られた職員で業務を行うことにより、御不便をおかけする部分もあると思いますが、この数週間がウイルス対策の重要な時期でございますので、御理解・御協力を賜りますようお願い致します。

令和2年4月17日
福田 紀彦

BCP(業務継続計画)の改定

 その後、新型コロナウイルス感染症蔓延の実態に即し、業務内容など所要の見直しを行い、令和2年11月にBCP(業務継続計画)の改定を行いました。

2 感染予防(服務・時差勤務(テレワーク))

 職員の出勤抑制により職場への感染拡大を防止するため、各所管において、職員の在宅勤務や時差勤務、自宅待機などの取り組みが行われました。(詳細については、別途各局からの報告書を参照ください)

総務企画局

・庁内応援・勤務体制の考え方に関する服務、新型コロナウイルスに罹患した場合に重症化の懸念等がある職員の在宅勤務の取扱い、業務継続計画の発動を踏まえた職員の勤務体制について通知した。(令和2年2月28日~5月25日)
・通勤時の混雑緩和等に向けた取組として、3月1日から予定していた時差勤務制度の実施を2月26日に前倒しするとともに、当面の間、1週間当たりの上限回数(3回)を制限しないこととした。(令和2年2月26日~令和5年5月7日)
・職員の健康管理として、厚生労働省の資料を基に、感染予防や受診等の目安について各局等安全衛生担当課へ周知した。(令和2年2月19日)

こども未来局

・事業者に向け、緊急事態宣言下における保育所等への登園自粛のため、在宅勤務・自宅待機などへの協力を依頼した。(令和2年4月13日)

教育委員会事務局

・臨時休業中の学校運営に支障のない範囲で、在宅勤務を可能とし、教職員の感染防止策を強化した。(令和2年4月15日)

上下水道局

・本市行政運営方針等を踏まえた庁内応援・勤務体制の考え方等に則り接触機会の削減のための出勤者減を実施した。(令和2年4月16日)

建設緑政局

・職員数が半分になるようにローテーションを組み、出勤抑制を実施した。(令和2年4月20日~5月26日)
<課題>
・感染状況によりシフトが十分に組めず、施設維持に係る職員の人員不足となる恐れがある。

宮前区

・感染拡大を防ぐため、職員を出勤する職員と在宅勤務の職員に分けた。(令和2年4月~5月)
<課題>
・在宅ワーク用のパソコンが1台しかなく、多数の職員が在宅勤務するとき対応できない。また、個人情報を扱うことが多い部署のため、在宅勤務にそぐわない。

<全般的な課題>

・政府より、出勤者の7割減を目標として取り組む方針が打ち出され、本市においても、イベントや業務の中止・縮小を行うとともに、行政サービスを継続しながら、職員の休暇取得及びテレワーク等を促進するとした行政運営方針を発出した。
・BCPでは、あらかじめ非常時における、非常時業務と非常時においても優先される通常業務を局ごとに定めており、全庁的に一律の対応を行うことは難しいことから、所管局単位で可能な範囲で取り組みを実施した。
・当初、テレワークを行うために必要な専用端末やネットワーク機器の配備数が少なかったため、テレワークの実施には課題が多く、また、区役所の窓口業務など、職種によっては、感染対策に要する業務負荷が大きく、そうした中でローテーションを組むことが困難な状況もあった。

<対策における効果>

・令和3年6月の本格実施後、新本庁舎整備を契機としてテレワーク環境を拡充し、現在本庁職場においては週1日を目安とした在宅勤務を推進するまでに至っている。

3 感染時(濃厚接触時)の対応(出勤停止)

 新型コロナウイルス感染症の特徴として、感染してから発症(発熱等)するまでの潜伏期間が他の感染症よりも長く、感染した人は発症する数日前から人にうつす可能性が高いということが判明したため、家族が発症したり、職場内で発症した場合には、自覚症状がなくとも感染している可能性が高く、発症した人と接触の度合いが高い人等を「濃厚接触者」として、感染拡大防止のために、PCR検査を行うとともに、一定の期間、自宅待機により経過観察する等の必要がありました。
 本市においても、国や県の濃厚接触者の定義や待機期間の考え方に基づき、職員が風邪症状時や濃厚接触者となった場合の出勤見合わせや服務の取扱いについて、感染拡大防止の観点から適宜見直しを行い、対応したところです。

総務企画局

・職員や家族が罹患した場合等の服務の取扱いについて、各局区室に通知した。(令和2年2月28日)
・濃厚接触者となった職員の早期の職場復帰が必要となった場合に備えて、待機期間の短縮に必要となる検査を行うための抗原定性検査キットを庁内に配布した。(令和4年2月7日)

<全般的な課題>

・感染者や濃厚接触者の増加により、感染予防と、組織の運営のための人員確保の両立に苦慮する場合があった。
・濃厚接触者などへは、地震、水害、火災その他の災害又は交通機関の事故等により出勤することが著しく困難である場合に取得可能な特別休暇(いわゆる特休1号)を適用しましたが、状況が刻々と変化する中での運用にあたり、添付する証拠書類の扱いなど、多少の混乱が生じた。

4 窓口業務対応時の感染防止対策

 窓口業務など業務内容によっては、市民と対面で応接する必要があり、職員、来庁者の双方に感染リスクがありました。このため、マスク着用の徹底、窓口に透明シートやパーテーションを設置するなどの飛沫対策、手指消毒の徹底やテーブル・椅子等の消毒などの接触感染対策、サーマルカメラや非接触体温計の活用による検温などを実施しました。また国等から、換気の徹底など具体的な感染対策が示されるのに合わせ、本市においても柔軟に対応し、適切な感染対策を講じてきました。

財政局

 飛沫感染防止のため、市税事務所及び市税証明発行コーナーの一部の窓口に透明間仕切を設置した。(令和2年4月10日)

※各所管・各施設等でも独自の感染対策を適宜進めました。

<全般的な課題>

 初期においては、次のような課題がありました。
・新型コロナウイルス感染予防対策として有効とされる医学的な知見や知識が不足する中、各局が一般的な感染症対策を基に、独自の情報収集により感染予防策を実施していた。
・感染予防に必要な、マスクや消毒液、体温計を確保することが難しい状況が市役所内においても続いた。(緊急に対応する予算がなく、既存の財政ルールの中では物品の調達、確保が難しい状況があった。)
・新型コロナウイルス感染症に有効な薬やワクチンがない状況の中、国や都道府県などが独自の感染予防策を打ち出し、展開していった。感染予防に関する考え方、判断基準も多様化し、社会全体的に、冷静さを失う中で、市民が相互に監視し合う、自粛警察と呼ばれる社会現象も生まれた。本市においては、本部会議等を通じて、専門家による有効なエビデンスによる、戦略的な対策を検討し、市民に向けても冷静な行動を呼びかけた。

5 受付業務等における柔軟な運用(人と人との物理的接触の回避)

 各局において、前段の感染防止対策を行うだけではなく、非対面での対応や電子申請・郵送受付等により職員と市民の接触機会が低減され感染予防となることから、業務の見直しを行い、柔軟な対応を行いました。

財政局

・入札室に入札者が一堂に会することによる感染拡大を防止するため、3月31日まで、物品契約入札書の応札方法を (1)電子入札 (2)入札室持参後すぐ退室 (3)契約課へ事前に持参 (4)書留郵便と選択肢を増やし対応する旨、事業者へ連絡した。(令和2年2月28日)
・自所属で執行する委託契約・物品契約について、書留郵便を可とし、併せて密室入札の回避等を通知した。(令和2年3月2日)

まちづくり局

・窓口部署を中心に、可能な限り、対面での受付・協議等を避け、電話・メール・郵送等により対応することとし、市 ホームページや庁舎内に掲載し周知した。(令和2年4月14日〜)
・窓口での接触機会低減等を目的に、地図類等の使用承認などの電子申請ができるようにLogoフォームを整備した。(令和4年6月)

<全般的な課題>

 既存の申請方法から、電子申請化を含めた柔軟な運用で対応する必要があった。また、柔軟な運用をする際に、市民への周知広報や対応する職員等へのノウハウの共有等が必要であった。

<対策における効果>

 既存の申請方法が一度見直され、電子申請化を含めた柔軟な運用が全庁的に推進され、市民サービスの向上や業務効率の向上に繋がった。

6 施設の閉館やイベントの中止等

 「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき、緊急事態宣言等が発令された場合は、本市においても市民利用施設の利用時間の短縮や閉館等を行い、本市主催の市民参加のイベントについても、市民活動の継続を踏まえつつ感染拡大防止の観点から、中止や延期をするなど必要な対応を行いました。
 さらに、会議については、参加人数の制限やオンライン会議で開催するなど開催方法の見直しを図り実施するなど、事業の継続性と感染予防を両立させつつ開催しました。

市民利用施設の閉館、イベント中止・延期等への対応

 フェーズ1においては、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の対象地域に指定されたことなどにより、不要不急の外出自粛や、市民利用施設の閉館、イベント等の中止や延期を行うこととなりました。
 本市が最初に制限適用の対象になった、令和2年4月7日に政府が緊急事態宣言を発出した際には、発出翌日に、全庁へ施設の閉館・開館の判断や状況を照会し、結果を翌々日中に市ホームページを通じて公表するなど、市民に混乱が生じないよう情報提供しました。
 以降、施設の閉館・開館や、運営時間の情報など、状況の変化に応じて、最新情報を公開しました。
 市が主催するイベントについても、屋内・屋外実施を問わず、中止や延期、もしくはオンラインを活用した開催などの状況を随時更新しました。

各局区の取組

 イベントを実施する場合については、感染症対策を徹底して実施できると判断した場合や、オンライン環境に切り替えて実施した場合など、その時期の状況に応じて検討・判断しており、具体的には次のような報告がありました。(全報告の中から抜粋)

環境局

 かわさきエコ暮らし未来館にて例年夏休み期間に開催しているイベントについて、完全予約制等の感染防止対策を講じた上で開催した。(令和3年8月5日~7日)

健康福祉局

 動物愛護センターにおける譲渡会を中止し、個別対応とした。(令和2年5月8日以降)
<課題>
 譲渡会に変わる、個別対応方法の検討やインターネット(Facebook、Twitter)を活用した譲渡促進

こども未来局

 令和3年川崎市「成人の日を祝うつどい」を感染症対策を行った上での会場開催と式典のオンライン配信等を併せて行うこととした。(令和2年7月14日)

高津区

 コロナの感染状況を考慮しながら、感染症対策を行いつつ、実施できるイベントは行い、実施できないものは代替イベントを行った。(通年)
<課題>
 イベントの中止や規模の縮小が頻発することで事業全体の質が低下してしまう。

選挙管理委員会事務局

 投開票所での感染症対策を実施した。

<全般的な課題>

 初期においては、次のような課題がありました。
・所属により、リモート会議用の端末やアカウント等が限られたため、全てに対応ができる状況ではなかった。
・市民にとってもリモート環境での会議参加等が不慣れな状況もある中、対面接触を控える方も多く、参加される市民が限定されることもあった。

<対策における効果>

・不慣れな状況でリモート会議等の取り組みを始めたが、イベントや会議の新たな開催方法としてウェブを活用する手法の認知度が向上したことにより、現時点の多様な参加手法に繋がった。

施設等での利用予約のキャンセル時の対応

 公共施設(主に指定管理施設)における利用者の新型コロナウイルス感染症を理由とした利用中止やイベント中止時におけるキャンセル料の取り扱いについて、施設を利用する市民や施設運営者への影響が大きいことから、改めて行政運営方針に具体的な記載を盛り込み、令和3年1月8日に発出しました。このキャンセル料不徴収の取り扱いについては、令和4年11月10日に終了となり、行政運営方針から記載が除外されました。

(以下、該当箇所抜粋)
 利用予約について、新型コロナウイルス感染症を理由としたキャンセル料は、引き続き徴収せず、事前に納付されている使用料(利用料金)は全額返還する

7 保健所の即応体制の強化

 フェーズ2において発生した感染の波の第5波では、それまでの従来や変異株(アルファ株)よりも、さらに感染力が強く、重症化リスクの高い変異株(デルタ株)が主体となりました。これに対し、健康福祉局(保健所本所)及び区(保健所支所)では、局・区内応援、委託・人材派遣の活用などによる体制強化を図りましたが、病床ひっ迫により、中等症でも自宅療養にならざるを得ない患者の想定外の増加等により、業務がひっ迫しました。
 この事態を踏まえ、次の波が来る前に対応可能とする体制としておくため、業務内容の整理・切り出しや応援職員への事前研修等、短期かつ急激な業務の増大に対して業務支援が円滑に実施される体制整備を行いました。
(令和3年12月24日開催の第45回新型コロナウイルス感染症対策本部会議にて応援体制を決定)

背景

 新規感染者の急増等により、健康福祉局(保健所本所)・区(保健所支所)における業務量が急激に増大したことから、応援職員や派遣等スタッフの増強が間に合わず、人手不足が生じた。

具体的な対策 その(1)

 専門職で対応する業務と事務職で対応可能な業務を切り分け、(1)~(4)のとおり整理するとともに、各業務マニュアルやe-ラーニングによる事前研修を整備し、効率的な業務応援が行える環境を整えました。 
(1)患者への架電(療養中の案内や健康状態の聞き取り) 
(2)訪問・配送(患者宅へのパルスオキシメーターの配布等)
(3)データ入力・事務処理(患者情報のシステム入力等)
(4)疫学調査・健康観察等

具体的な対策 その(2)

・応援体制について、まずは健康福祉局及び各区において内部応援を実施し、並行して外部委託・人材派遣の増強を進めることとしました。また、感染者のさらなる増加により、局・区内応援でも対応しきれない場合には、全庁的な応援を行うこととしました。
・この応援体制を機動的に運用するため、健康福祉局及び各区に応援局をあらかじめ割り当てるバディ制を導入しました。これにより派遣元職場と受援職場の連携が進み、各区の感染者数や業務ひっ迫度合い等、状況に応じて、機動的に応援職員を依頼派遣する体制を構築し、次の感染の波へ備えました。

6 市民生活及び経済活動の安定の確保

 感染拡大を防止するため、さまざまな場面で行動制限がされる中、地域経済の停滞に伴う事業活動の縮小、教育施設や保育施設における感染拡大防止策(施設閉鎖等)により、市民生活への影響も大きく、市民生活や企業活動の安定確保のためにも、多様な主体を対象とした、さまざまな支援策や対応が求められました。

1 企業支援

 次のような各種企業支援の取組を、主に経済労働局が中心となり実施しました。
それぞれの支援の詳細については、「取組実施状況(経済労働局)」をご参照ください。

・市内中小企業支援として、融資や経営に関する「経営相談窓口」の設置。(R2/1/30)
・市内の小規模事業者(全業種)の事業継続を支援するための小規模事業者臨時給付金の交付。
・テレワーク環境を新規導入、拡張する市内中小企業に対し、環境整備に係る設備導入、初期設定等に必要なコンサルティング費用を助成(テレワーク導入促進補助金 R2:66 件)
・「新しい生活様式」に対応した職場環境構築のために必要な設備(サーマルカメラ、アクリルパネル設置等)の導入等に対する助成(職場環境改善支援補助金 R2:149 件 R3:594 件)
・売上が大幅に減少している飲食店や生活関連サービス等における消費を促し、新しい生活様式やデジタル化促進への対応として「川崎じもと応援券」(第3弾)を電子商品券により発行
・食料品等の安定供給確保のため、卸売市場における売上が減少している事業者への施設使用料等の猶予
など

2 教育・保育分野

   教育関係の取組としては、川崎市立学校の臨時休業への対応を行いました。臨時休業期間、児童生徒の居場所、進路指導、卒業式、入学者選抜、体調管理、緊急連絡体制などについて市HPに掲載するとともに、各保護者に向けて「臨時休業のお知らせ」を配布するなどにより随時情報提供を実施しました。
 学校再開後は、「川崎市新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」を文部科学省のガイドライン及び県の実施方針を踏まえて修正を重ねながら、感染拡大を防止しつつ学校運営を進めました。
 その他詳細については、「取組実施状況(教育委員会事務局)」や、下記のページをご参照ください。

 保育所や幼稚園等における取組として、保育所等が臨時休園等を行った場合の利用者負担額の減免を実施した他、保育所等の入所を希望する保護者等へ「保育所等の動画閲覧サイト」で確認頂いたり、幼稚園の事務担当者向け説明会やこども子育て支援新制度説明会をウェブ開催するなどの対応を行いました。
 子どもを持つ家庭への支援としては、市独自の給付支援や、国との連携による「ひとり親世帯臨時特別給付金」や「子育て世帯生活支援特別給付金」の支給を行いました。
 その他詳細については、「取組実施状況(こども未来局)」や、下記のページをご参照ください。

3 災害対応

   コロナ禍においても、風水害等の自然災害が発生すれば避難所等を開設し、大勢の避難者が同一場所で過ごすことになることから、新型コロナウイルス感染症の拡大防止等を考慮した避難所運営のあり方が求められました。
 本市としましては、国等からのコロナ禍での避難所運営ガイドライン等の情報を参考にしつつ、川崎市健康安全研究所等と連携するなど、コロナ禍における避難所運営マニュアルを作成し、災害発生に備えました。
 また、新型コロナウイルス感染症の発生状況下における避難所運営方法について検討し、進捗管理を可能とするために東京大学生産技術研究所と連携して実証実験等も行い、 BOSS(災害対応工程管理システム)を作成しました。
 その他の取組や詳細については、下記のページをご参照ください。


7 感染拡大防止

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止として、フェーズ1の期間中は、マスク着用や消毒の徹底、3密回避などが求められました。この時は、医療機関のみならず一般家庭等でもマスクや消毒液等の需要が高まり、国内外で品薄となり、入手困難になるなどの混乱が発生しました。
 そうした中でも、感染拡大を防ぎ、業務を継続するため、マスクや消毒液等の確保(調達)に努めるとともに、市民の方々や企業等からの寄付等も活用しました。
 フェーズ2以降は、感染予防対策としてワクチン接種事業が開始され、健康福祉局を中心とした体制のもと、医療機関等と連携し、集団接種会場の運営やワクチン管理などの取組を進めました。

・「保健所対応・医療対策」の分野・視点については、健康福祉局がとりまとめ、別途公表します。

1 医療・保健衛生体制の確保等

初期の感染対策用品の品不足について

 コロナ禍の初期は、国内でマスクや消毒液等が不足する状況で、価格の高騰や商品転売などが社会問題となりました。そのため、フェイスガードや飛沫飛散防止板など、自作が可能なものについては、職員が工夫を凝らしながら作成するなど、必要な対策を講じました。

感染対策用品の寄付・庁内配布等の調整等

 感染対策用品を市民の方々や地元企業等からの寄付や職員用備蓄マスクからの供出により、重篤化リスクの高い方々と接する機会の多い部署での活用や、市内の医療機関、高齢者福祉施設等への提供につなげました。

感染対策車両による搬送

 感染の疑いのある方及び患者のうち、医療機関までの移動手段が確保できない方々を対象として、専用車両による搬送を実施しました。

2 ワクチン接種

感染拡大防止策として、国や県等と調整しながら、本市におけるワクチン接種事業を実施しました。
ここでは、接種事業に付随した対応や、接種会場確保等について記載します。
ワクチン接種事業の全体については、別途、「各部の取組状況(健康福祉局)」をご参照ください。

接種会場運営訓練の実施

 厚生労働省との共催により、令和3年1月に全国に先駆けて市内医療関係団体の協力による接種会場運営訓練を実施しました。

集団接種会場の確保対応

 多数の市民にワクチン接種していただくために集団接種会場を設置・運営する必要があり、当初は各区の市民館を会場として運営を行いました。その後、接種対象者が高齢者以外にも拡大するなどにより、より大規模な接種会場が必要となりました。
 市内での大規模接種会場として、民間の会場を確保する必要があり、「新百合トウェンティワン」、「NEC玉川ルネッサンスシティホール」、「武蔵小杉タワープレイス」、「川崎日本生命ビル」の借り上げについて調整し、市内医療関係団体等との連携により運営を実施しました。

新百合トウェンティワン

新百合トウェンティワン北部接種会場の様子

NEC玉川ルネッサンスシティホール大規模接種会場

NEC玉川ルネッサンスシティホール大規模接種会場の様子

高齢者施設等の従事者への接種機会の提供

 令和3年5月から9月まで、市立看護短期大学及び川崎看護専門学校に高齢者施設等の従事者専用接種会場を設置し優先的に接種機会を提供しました。

ワクチンロス対応

 集団接種会場等におけるワクチン接種実施の際に、ワクチンの不使用廃棄(いわゆるワクチンロス)をどう防ぐかという課題がありました。
 当時全国的にワクチン供給量が需要に追い付かず、ワクチンは一本でも貴重な状況でありました。ワクチン1瓶(バイアル)で複数人数分封入されており、使用する際には、ワクチンを生理食塩水により希釈し、複数に分けて注射するという処理をしていたため、集団接種会場の運営時間が終了に近くなると、残りの接種者人数に合わせて調整を慎重に行っても、最終的にワクチンの本数と接種者人数が合わなくなり、余った分が「ロス」となるものでした。
 このロスを防止するため、可能な限りで各接種会場に参集可能な、事業継続に必要な市職員から優先的に声掛けを行い、余り数に応じた接種実施を行うことによりワクチンロスを防止する取組を実施しました。
 ワクチンロスについては、別途、ワクチンを冷凍保管するフリーザの不具合等によりロスが生じるなどもありましたが、各接種会場のフリーザや冷蔵庫の機器に温度監視システムを導入し、アラートが出た際には夜間でも職員が駆けつける体制を取るなど、可能な限り対応しました。また、施設が停電した場合に備えた連絡体制、電源確保の体制を電力会社と調整しました。

8 おわりに

 令和5年5月8日の類型変更に伴い、新型コロナウイルス感染症対策本部は廃止となり、今後発生しうる新たな感染症やさまざまな危機事象等への対応などに今回の経験を活かすためには、この対応事例を記録するとともに、課題等を共有していくことが必要となります。

 この感染症は、経験したことのない未知の危機事象であり、都度発生するさまざまな事態への判断・対応が求められる厳しい局面が多々存在し、情報共有の難しさ、意思疎通の大切さを感じるとともに、さまざまな情報が飛び交う中で、各事業実施主体がそれぞれに判断を求められ、迅速性を優先することによりエビデンスに基づかない行動や混乱も見られました。

 こうした経験の中で得た、物事を俯瞰して見るバランス力や柔軟性等、自分たちの限界を理解しながら適切な判断や決断につなげることを学んだところであり、その様な時には一度立ち止まり、勇気をもって判断することを心がけ、今回は、それぞれの分野で知見を有する多種多様な人材が協力・連携しあいながら、迅速な判断に繋げていく「チーム川崎」としての体制・組織作りが有効でありました。
 しかしながら、国による広域的な対応の中には、詳細が決まらぬまま学校が一斉に休校するなど、現場が混乱することもあり、さらに、医療や保健福祉のさまざまな施策の実施に際し、県との調整に時間を要するケースがあったこと、また、対処療法的な突然の通知の発出により現場が混乱する事象も生じました。

 このたびの教訓から、本市では指定都市の責任において、自身が有するリソースを最大限に活用し、迅速性を確保しながら、適切なタイミングで対処することで、地域の実情に即した展開が可能になると考え、今後に活かしていくためにも、「チーム川崎」として一体的な組織運営を推進するとともに、指定都市としての役割や責任の明確化に向け、さらに議論を深めてまいります。

9 関連資料

 本報告書に関連した、主なコロナ対策関係資料はこちらです。

お問い合わせ先

川崎市危機管理本部危機管理部

住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地

電話: 044-200-2794

ファクス: 044-200-3972

メールアドレス: 60kikika@city.kawasaki.jp

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