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伊原 正男(いはら まさお)【内装仕上技能士】 平成23年度認定かわさきマイスター

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かわさきマイスターのシンボルマーク

かわさきマイスターのシンボルマーク

ものづくりの原点である手をモチーフに、その発展を花の開花、鳥の羽ばたきの形で表現しています。

伊原 正男(いはら まさお)【内装仕上技能士】 平成23年度認定

壁紙を使用した内装工事に卓越した技能を保持している。内装仕上の需要が和風から洋風へと変化する時代の中で、当初から壁装工事を重視し、たたみ皺が出易い自然素材・エコウォールなどの皺を防ぐ、丸めだたみ工法を発案するなど、高い技術・技能を発揮している。また、現在の職人に必要である、技の本質を正しく言葉で表現する巧みな話術にて、全国各地で講師を務めている。職人技の本質を体だけでなく、話術を備えて伝える活動をしているマイスターである。
川崎区。令和2年10月逝去。

伊原正男マイスターインタビュー

仕事をはじめたきっかけは

この世界に入ったのは、母子家庭で育ったこともあって早く社会に出て母を楽にしてあげたかったこと、また机の上の勉強よりも、という考えがありました。本当は板前になりたかったのですが、小料理屋をやっていて三味線など芸事好きな母親は、息子の弱点を見抜いていたのでしょう、私を硬い表具師の修業に出したのだと思います。自分の意志で進んだ道ではないのですが、今は天職と実感することができ、今更ながら母の偉大さを思うと共に感謝の念が湧いてきます。

 

仕事をする上で1番おもしろいと感じることは

いつも何か新しい体験ができることだと思います。お客さんの好み、壁装する場所の特性、多様化した材料、張る技法など吟味し、それに工期、予算という制約条件を加えての最適な仕事は、同じものは一つとしてなく、その都度創造的なものと思います。そしてお客様に「いい仕事をしてくれた」と満足頂いた時にはこの仕事をやっていて本当によかったと思います。特に仕事で大事なのは、お客様の好みや趣味、性格をとらえて懐に入る、そうすれば信頼と期待感を得ることができます。これは修業時代に学んだ財産で、これこそが仕事の面白さに通ずる要だと思っています。

長年、継続して技能研鑽に努めることができた理由は

立派に一人前になって母親を喜ばせたい一心でやってきたからだと思います。修業を始めて最初の2年は家にも帰りませんでした。母や姉は「かわいそうなことをしたのではないか」と泣いていたそうです。また、高校に進学した友達に差をつけたいという負けん気もあり、途中で辞めることはは絶対にできませんでした。もう一つ、修業に出るとき母から「先ず親方を好きになりなさい。好きになれば可愛がってくれる」と言われ、努力を重ねる中で仕事も好きになりました。

 

伊原さんが自分自身で誇れる技術は

下地処理と糊付けです。この2つが出来上がりの良し悪しの決め手となります。
下地処理は、壁紙を張る前に継ぎ目(目地)やひずみを埋めて凹凸のないように真平らにしなければなりません。その下地処理がいい加減なものだと壁紙を張った後凹凸が目立ち、最初からやり直しとなります。曲面を持つ壁の場合もっと難しくなります。経験がものをいう作業です。
もう一つは糊付けです。糊は水分を含んでいるため壁紙に糊を塗って数分間は壁紙が伸び(90センチにつき約2%)、貼り付けた後に伸びると後伸び現象でしわになります。そのため糊付けの後、一定の時間置き、乾かしてから張るのですが、これも季節、気温・湿度によって微妙に違ってきます。張って乾いた後の過不足のない、ピッタリ仕上げることが壁装仕事の絶対条件と言えます。

ものづくりの魅力とは

専門分野のプロとして、自分の意向で主体的に仕事ができることでしょうか。自分からアイディアを出し、それが理解され、創り上げた後、お客様に満足頂いた時は本当に幸せな気分になります。前にも申しましたが、個々の仕事が千差万別なところがものづくりの魅力だと思っています。また、決して偉ぶるわけではありませんが、プロとしての技を持っていると、どんな立場の方とも対等にお付き合いできることでしょうか。

 

今後、ものづくりを目指す方へ

伊原さんが壁紙をアレンジして製作したしおり

その人の基本的な要素として、先ずは明るさ、真面目さがあるかどうかを見ます。多くの若い人たちを見てきましたが、この要素を持った人は成長が速いし長続きし、成功しています。1人前になるためには基本的に、修行は最低3年間、とにかく一生懸命やることだと言っています。そうすれば下請けの仕事ができるようになり、そこから現場で人とのつながりと接し方が学べ、仕事の幅が広がり自分の可能性も見えてくるものです。
もう一点は、やはり母の教えになるのですが仕事を好きになること、好きになる努力をすることです。人でも同じことで好きになれば良いところが見えてきます。よい良いところが見えてくると楽しくなり、不思議に自分に自信が持てるようになるものです。
とにかく継続は力なり、真面目に真剣にやっていれば見ていてくれる人は必ずいて、道は開けるということを強調したいです。

お問い合わせ先

川崎市経済労働局労働雇用部技能奨励担当

住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地

電話: 044-200-2242

ファクス: 044-200-3598

メールアドレス: 28roudou@city.kawasaki.jp

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