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【スマホ・タブレット端末版】ニュースレター「KAWASAKI Coastal Area News」vol.28 「多摩川スカイブリッジ」開通

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2022.3.12 多摩川スカイブリッジ開通!

 川崎市殿町(キングスカイフロント)と東京都の羽田空港周辺(羽田グローバルウイングズ)を繋ぐ「多摩川スカイブリッジ」が、令和4(2022)年3 月12 日に開通!!
 この橋の完成により、川崎市と羽田空港周辺地区との連携がさらに進み、我が国の競争力の強化に貢献する、両地区の一体的な成長戦略拠点が誕生します。

 キングスカイフロントとは川崎区の殿町地区に形成される世界有数のオープンイノベーション拠点です。約40ha に及ぶこのエリアには、70 に及ぶ最先端の企業・研究機関等が集積し、国内外から優れた医療技術を習得するための医療従事者や最先端医療にかかわる研究者たちが集まるとともに、新薬の開発や、難病の治療法研究、医療機器の研究開発など、健康・医療・福祉に関するライフサイエンス分野の世界最高水準の研究開発が進められています。
 ライフサイエンス分野におけるグローバルビジネスを生み出すことで日本の成長戦略の一翼を担うべく、キングスカイフロントは今も進化を続けています。

 今回、多摩川スカイブリッジの開通にあたり、キングスカイフロントネットワーク協議会の会長を務める、公益財団法人実験動物中央研究所 理事長 野村龍太氏にお話を伺いました。


 同研究所は、キングスカイフロント第一号進出機関であり、以来、野村氏は市と連携を図りながら、キングスカイフロントの発展はもとより、多摩川スカイブリッジが完成するまでの過程を計画当初より見守ってこられました。

キングスカイフロントネットワーク協議会 会長
公益財団法人実験動物中央研究所
理事長 野村龍太氏

キングスカイフロントの発展に尽力

実験動物中央研究所についてお聞かせください

 実験動物を使った、医療・医学の研究、新薬の開発、再生医療に関わる研究をはじめ、これらから得られた成果の事業化を行っています。“規格のそろった再現性の高い動物をつくれる研究所”として、アメリカ食品医薬品局(FDA) や世界保健機関(WHO) から表彰を受けるほど高い信頼性を誇っていますが、昭和27 年創業からの40 年間はこの礎をつくることに費やしました。
 その後の30 年間は、ヒトの免疫系を持つマウスや、血液の70%がヒトと同じ成分を持つマウス、さらに肝臓の95% 以上がヒトと同じ構造を持つマウスを世界で初めてつくりだすなど、医療への貢献を続けています。

キングスカイフロントに研究所を構えたいきさつは

 もともと実験動物中央研究所は、宮前区野川の丘の上に研究所を構えていました。年月が経つにつれ周囲に民家や団地が建つようになり、建物の老朽化も気になりはじめ、建て替えや移転を考えていたところ、川崎市より、現在のキングスカイフロントへの移転のお話をいただきました。
 決め手になったのは立地です。私たちの取引先は海外が多く、羽田空港に近いキングスカイフロントの立地は大きな魅力でした。さらに、サイエンスパーク(※)のようなエリアにする目的があるのなら、いろいろな研究者たちとの連携も望めます。平成19年にお話をいただいて以降、準備を進め、平成23 年2 月に研究所が竣工。同年7 月に移転しました。
(※)サイエンスパークとは、科学系研究機関が集積するエリアの総称

 

しかし、しばらくは実験動物中央研究所だけがポツンとある状態が続いたとか

 そうなんです、当時は名前も決まっていない、ただの更地でしたのでね。何もないこの街をどう発展させていくのか、当時の市長を含め市役所の方といろいろな戦略を考え、内閣府の国際戦略総合特区の指定を受けようと動き始めました。しかし、ここには実験動物中央研究所しかありません。
 そこで、私たちは、「キングスカイフロントを21 世紀のバイオイノベーションのショーケースにする」というビジョンを立て、そのためには“真っ白な画用紙を使う方がきれいな絵を描ける”と何もない弱みを逆手に取り、国に対しアピールしていきました。結果、このストーリーが受け入れられ、特区指定を受けることができたのです。
 これを機に風が吹き始め、次々と研究機関が集まり今に至っています。その後も「顔の見える関係づくり」を標ぼうし、集まってきた企業や研究所の方と、密な関係性を築けたことは、日本のサイエンスパークの中でも、キングスカイフロントが誇れることの一つではないかと思います。街自体が他のサイエンスパークと比べてもコンパクトである弱みを、この地域の売り物に逆転の発想をしたものでした。


羽田エリアとの連携強化、世界を舞台に

そのようにして街づくりを進める中、対岸の大田区との連携を目的に、多摩川スカイブリッジの計画が立ち上がります

 川崎市と大田区をつなぐ橋を」という話はもともと根強くあったので、平成26 年、いよいよ動き出したときには、大きな喜びと期待を抱いたことを覚えています。  
 自然災害で少し延期した時期もありましたが『TOKYO2020』と時期が重なるタイミングで開通しても大きな話題にはなりません。対岸の整備もさらに進みアピール材料がそろった今、開通の運びとなることは、結果として良いタイミングであり、私たちに起こるあらゆることがプラスに働いているのだと思っています。

開通にあたり

開通にあたり、キングスカイフロントの皆さんの想いはいかがでしょうか

 ここには多くの機関があるものの、実は一つも医療機関がありません。一方、大田区側には医科大系の医療機関の進出が決まっており、その流れから共同研究をはじめ、さまざまな取組の検討が始まっています。さらに企業連携も進みつつあり、羽田空港を介し、全国、さらには海外の大学や企業等とのさらなる関係づくりへの期待も高まっています。

今後の展望を聞かせてください

 キングスカイフロントは、これまで「羽田にある国際拠点」をアピール材料の一つにしてきましたが、橋のない今までは“借景”しているようなものでした。しかし、“真っ白な画用紙”の時代から描いてきたことがまもなく本物になるのですから、大変喜ばしいですね。世界を相手に仕事のできるベースがさらに拡充されましたので、神奈川、川崎、東京、大田区の垣根を、さらには日本という垣根も越え、人類の健康に貢献できる成果が上げられるよう、ますます研究に打ち込みたいです。
 まさに、多摩川スカイブリッジが、私たち研究者同士や、医療・福祉と世界中の人々との“架け橋”になってくれることを期待していきたいです。

盛んな人材交流も見込まれています

 これまでも市内中高生等に学びの機会を提供してきましたが、こうした取組を、大田区をはじめ、東京都側にも広げていきたいですね。また、キングスカイフロントに立地する各大学も社会人向けのユニークなプログラムを設け、他にはないものを創ろうとしています。
 ここまで話してきた通り、キングスカイフロントは新しいことに挑戦する気概にあふれる街です。このDNA を受け継ぐ人材の輩出にもいっそう励み、世界と戦える人材を育て、その舞台へと送り出していきたいです。そして、なによりキングスカイフロントを“市民の皆さんの身近なエリア”にしていく必要性を感じています。多摩川スカイブリッジの開通を機に、こうした活動にもますます力を入れていきたいです。

一体となることで期待される効果

 「キングスカイフロント」と「羽田グローバルウイングズ」をつなぐ「多摩川スカイブリッジ」の開通は、「ヒト・モノ・ビジネス」の交流や連携を強化し、研究開発や産業のグローバル展開を加速させる、大きなビジネスチャンスとして期待されています。
 対岸の羽田イノベーションシティの先端産業の交流機能を活用し、キングスカイフロントの研究開発の成果と大田区企業の高度な技術をマッチングし、新製品の開発や競争力のある新ビジネスの創出を目指します。また、羽田エアポートガーデンのコンベンション機能を活かし、国内外から多くのビジネスパーソンを呼び込みます。
 キングスカイフロントとこれらの羽田側の拠点が、それぞれの特色を活かし機能分担しながら連携を強化することで、相乗効果を生み出し、その結果を次々と羽田空港からグローバルに展開・発信します。さらに、この一体的な拠点に世界トップクラスの研究者やビジネス人材が集まり活発な交流を生むことで、研究開発が加速しイノベーションの成果が次々と創出されていくことを目指します。

多摩川スカイブリッジ

 多摩川スカイブリッジの橋梁工事には、多摩川の環境保全に向けた、さまざまな工夫が凝らされています。その特徴や工事にあたってのエピソードを市の担当者に聞きました。

川崎市 建設緑政局 広域道路整備室
羽田連絡道路建設担当 
担当課長 鈴木伸也

橋の概要

 非常にスレンダーな形状で、多摩川を渡る約600m の河川内に橋脚が二つしかないのはとても珍しく、このタイプの橋では国内最大クラスです。
 平成28 年3 月に国、東京都、川崎市で基本協定を締結し、自主的環境影響評価(※)を経て、平成29 年に着工。約4 年半にわたる工事を終え、この3 月、いよいよ開通となりました。
(※)本来、1 車線道路の場合、環境影響評価(環境アセスメント)を実施する必要のないところですが、自主的に行い環境への配慮に取り組んでいる。

工事について

 多摩川スカイブリッジは、空港と河口に近く、多くの生物が生息する場所にあるため、さまざまな工法を用いて工事が行われました。
 例えば、空港に近い(航空法による高さ制限がある)ため、高さのある大型クレーンを使うことができません。そのため橋桁の一部は台船と呼ばれる資材運搬用の船を使い、約80m の橋桁を水面の干満を利用し、満潮時刻に合わせて一括で架設しています。これは工事現場が、河口に近い汽水域ならではの工法といえます。  
 生態系の側面では、このエリアは市民の皆さんから『多摩川八景』に選ばれるほど自然の豊かな場所であり、貴重な生物や野鳥の飛来も見られます。そのため野鳥の飛行を妨げないよう橋桁の上には、構造物を付けず、照明は欄干や防護柵の中に埋め込み、さらに外に光が極力漏れないよう工夫しています。その他にも、浅い川の中を工事船が進入できるよう、川の土砂を取り出す浚渫(しゅんせつ)作業を行う際、干潟の土の表層を一時的にすくい上げましたが、工事の最後にその土を再利用することで、土の中の生物たちが生息しやすいように、保管中も土の湿潤状態を保たせる取組も行いました。

開通にあたって

やっと完成した、という気持ちです。橋桁が全てつながった令和3年2月には、関係者全員で金のボルトをはめるセレモニーを行い、喜びを分かち合いました。
 景観も素晴らしいので、皆さんの楽しめる新しい観光スポットが増えたともいえそうです。また、多摩川の干潟には本当にたくさんの生物が生息しており、市民の皆さんにもぜひ訪れていただきたいですね。

第一線で建設に携わった担当者へお話を伺いました

五洋建設株式会社 東京土木支店 
殿町羽田空港線工事事務所
陶山 健太 氏

完成を迎えて

 完成まで進められたのは、この現場に携わった延約12 万人にも及ぶ技能者の力に他なりません。常にトップギアで走り続け、自然災害や感染症の蔓延などにも真っ向から立ち向かい、良質なインフラを提供するため、安全を最優先とし、品質に拘り、誠実に取り組んでくれた仲間たちに感謝したいです。

工夫したポイント

 工夫したポイントは、JV ( 協同企体) 運営方法です。今回、橋脚(下部)を得意とする3社と、橋桁(上部)を得意とする3 社の計6 社のJV で工事を進める中で、特に橋脚と橋桁を合体・連結させる工事については、橋桁と橋脚でそれぞれの得意分野を認め、能力を最大限に発揮した施工が実現できました。

多摩川スカイブリッジクイズ

Q:指よりも太いボルト!1 か所の橋桁のつなぎ目部分だけで、何本のボルトを使っているでしょう!?

A:約5000 本です。仮止めから本止めに移る際、全部のボルトを違うボルトへ付け替えるそうです。

Q:“三角”がずっと先まで続くこの場所は、一体どこでしょう!?

A:橋桁の真下です。メンテナンスの際、この中で作業します。資材を運ぶためのレールも走っています!

お問い合わせ先

川崎市臨海部国際戦略本部事業推進部

住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地

電話: 044-200-3738

ファクス: 044-200-3540

メールアドレス: 59jigyo@city.kawasaki.jp

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