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川崎臨海部ニュースレター「KAWASAKI Coastal Area News」vol.34  未来の川崎臨海部を担う人材育成 ~見て・聞いて・知る 川崎の底力~ 立地企業等による体験型学習の取組

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高校生との座談会や出前授業(iCONM)


市内在住・在学の中学生向け「キングスカイフロント OPEN DAY」(実中研)

 新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、令和5年度は川崎臨海部に立地する企業・組織が、小・中・高校生を対象にした授業やワークショップ、修学旅行の受け入れを本格的に再開しました。こうした取組は、未来を担う子どもたちの科学技術への関心を高める上でも、世界に誇る川崎の製造業やライフサイエンス事業についてしっかり伝える意味でも、非常に重要です。今号では、その一端をご紹介します。

ナノ医療イノベーションセンター(Innovation Center of NanoMedicine ・iCONM)

ナノサイズの測定や腫瘍塊の観察など、学校の授業ではできない体験を提供

 キングスカイフロントにおけるライフサイエンス分野の拠点形成の核となる先導的な施設として整備されたナノ医療イノベーションセンター(iCONM)では、主に高校生を対象とした見学会を、学校からの依頼に応じる形で実施しています。「体内病院」や「ナノマシン」といったユニークで先進的な研究テーマを掲げているiCONMは、テレビ番組等で取り上げられる機会が多く、番組を視聴したさまざまな学校から問い合わせがあったことから、見学会を実施するようになりました。

 見学会は、iCONM職員による授業とラボツアー(研究所内見学)の2部構成。まず、授業では、なぜ「ナノ医療」なのか?その絶妙なサイズ感が未来の医療を変えることについて、わかりやすく解説します。研究室には危険な試薬や生体成分もあるため安全性を十分に考慮し、10人1グループにガイド1人が同行する形でラボツアーを実施します。そこでは、動物実験施設、細胞実験施設、インキュベーション施設、mRNAワクチンの製造施設、有機合成施設、精密機器工作室といった先端研究のためにデザインされた施設を案内します。このような見学会により、総合的に創薬イノベーションへの理解を深める内容となっています。

 また、特別メニューとして、その日の状況に応じて人数を制限した体験実習についての相談にも応じています。こちらは「ナノ」というサイズの測定や、特殊な顕微鏡(共焦点顕微鏡)によるがん細胞の観察、レベル1000のクリーンルーム※などを体験してもらいます。より専門的な内容になるため、対象は理系志望などの高校生を想定しています。令和5年度は、8月に川崎市内の私立洗足学園高校1年生10名をインターンシップ生として迎え、体験実習を行いました。

 参加した高校生からは、共焦点顕微鏡を実際に使って細胞を観察できたことや「ナノ」というこれまで馴染がなかった世界への驚き、新型コロナワクチンで知られるようになったmRNAワクチンの製造現場を見られたことへの感動の声などが多く聞かれるといいます。

 また、iCONMではDDS(狙った組織への薬の送達)という難しい分野の理解が少しでも進むよう、超入門教材として動画「あいこんきっず(https://iconm.kawasaki-net.ne.jp/kids/)」を配信しており、見学を受け入れる際の予習教材としても役立ててもらっています。

 iCONM・島﨑コミュニケーションマネージャーは、見学会の意義を次のように話します。
 「最近の理科の授業は実験が減り、代わりに動画などで実験を視聴する方式が増えていると聞きます。しかし、実験は失敗するからこそ得るものがあるわけで、成功する動画の視聴だけでは、考える力が育まれないのではと危惧しています。そこでiCONMでは、一人でも多くの生徒が理科実験に興味を持ってもらえる環境を提供したいと考えています。生徒が最先端の科学に接して興味をもってもらうことが、未来の科学者の卵を育て、日本の科学技術の発展にも繋がるものと期待しています。また、研究者にとっても、自分の研究テーマが社会で役立つためには、その成果の恩恵を被る市民やユーザーの意見に耳を傾けることが必要です。自分の研究テーマを基礎から説明し、理解を促進して市民の共感を得ることは極めて重要なことで、さらに研究内容を再認識する機会ともなります」。

※空気中に含まれる塵等が定められた清浄度レベル以下に管理されている部屋

島﨑 眞 コミュニケーションマネージャー

  こうした取組のほか、iCONMは文部科学省と国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)によって採択されたプロジェクトCHANGEの一環で、川崎総合科学高校科学科の2年生38名を対象とした出前授業を行い、その理解促進を目的としたワークショップをCHANGE研究者や看護師たちと行っています。こちらは超高齢化社会の課題を自分事として捉えて頂き、科学がそれをどう解決できるかを考えてもらうためのもの。「未来は自分たちが変える」というマインドを醸成し、CHANGEの意思を引き継ぐ人材を育成しています。

出前授業の様子

公益財団法人 実験動物中央研究所

 自然科学や医学への知的好奇心を育むサイエンスキャンプを実施

 実験動物中央研究所(実中研)では、毎年、中学生を対象に「生命の誕生から身体ができるまでを知ろう」と題したサイエンスキャンプを定員40名で実施しています。実習では「(1)DNAの抽出」「(2)受精や発生の顕微鏡観察」「(3)細胞・組織の染色と顕微鏡観察」を行い、生命誕生のしくみとともに、命の尊さ、生命誕生の奇跡についても学んでもらっています。

 特徴的なのは、グループワークではなく、1人に1台ずつ顕微鏡や実験器具を用意し、参加者が自分で考えながら自身のペースで実習に取り組める点。分からないことは何でも聞けるよう指導役も数多く配置し、万全なサポート体制を組んでいます。

 事務局や指導役を担うのは、主に若い研究者やお子さんを持つ研究者。準備では、「中学生により分かりやすく興味を持ってもらうにはどのようなアプローチが最適か」など意見交換し、部署の垣根を超えた連携も生まれています。

 実中研では、子どもたちの自然科学、医学への知的好奇心を育むため、自分たちだからこそできる実験や講義の提供を今後も継続させていく考えです。

【令和6年の開催予定】 7月20日(土)※毎年、応募者多数のため定員を48名に増員予定です

1人1台ずつ実験器具が用意されるため、集中して取り組める

富士電機

小学校へ出張授業。理科の楽しさを伝えつつ、新入社員の企画立案力・運営力も養う

 理科離れが課題となる中、子どもたちに科学的な思考を身につけてもらおうと、富士電機では毎年市内の小学6年生を対象にした理科教室を開催しています。7年目となる令和5年度は、川崎区の大島小学校2クラスと多摩区の東生田小学校3クラスを対象に、出張授業を行いました。同社川崎工場が発電設備を製造しているのにちなみ、授業内容はペットボトルで風力発電機を作る実験です。大きさの違う羽根を作り、大きさや数によって発電量がどのくらい変わるかを、扇風機の風とLEDライトを使って検証します。生徒からは、「実験を通して考えることが好きになった」「発電のしくみを体験できておもしろかった」「理科は苦手だったけれど楽しめた」など、さまざまな感想が寄せられました。

 同社の場合、理科教室の企画運営や学校側との擦り合わせをすべて新卒1年目社員に任せている点もユニーク。業務プロジェクトにおいて必要な企画立案力、チーム力、推進力を養う目的があり、携わったメンバーにとっても得難い経験になっているといいます。

大島小学校での理科実験の様子

東生田小学校での理科実験の様子

東亜石油

高校生などの修学旅行見学を受け入れ、進路を考える機会を提供

 エネルギー企業の東亜石油は、企業活動を行う上で地域社会や生活者と共にあることを常に意識しながら事業を行っており、幅広い層に自社の活動への理解を広げる目的で、高校生や高専の学生の修学旅行の受け入れを積極的に行っています。またエネルギー産業の現場に触れることで、学生に自らの進路を考える機会にしてもらえたら、という意図もあります。

 令和5年度は、宇部工業高等専門学校の機械工学科学生42名、物質工学科学生44名、石見智翠高等学校3年生35名、計121名の修学旅行受入を実施しました。

 見学内容は、まずスライドで会社紹介、業務内容、原油輸入から石油製品ができるまでの工程などをわかりやすくレクチャー。その後、実際に構内を回り、製油所や発電所での仕事を見学してもらっています。

石油製品ができるまでの工程などを座学で学ぶ

次世代育成のために。子ども向けイベントを多数開催!

 川崎臨海部では、今年1年間にさまざまな子ども向け教育イベントが開催されました。学校単位の見学のほか、広報紙などで広く募集を呼びかけたイベントも含め、多くの子どもたちが川崎臨海部企業等に触れました。日本の成長を支える産業を、現場で目の当たりにする。その体験こそが、子どもたちが将来を考えるきっかけになります。次世代に科学技術のすばらしさやモノづくりの大切さを伝えるためにも、こうした取組の継続が重要です。

令和5年度に実施した子ども向けの主な取組

川崎臨海部ニュースレター「KAWASAKI Coastal Area News」vol.34

お問い合わせ先

川崎市臨海部国際戦略本部事業推進部

住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地

電話: 044-200-3634

ファクス: 044-200-3540

メールアドレス: 59jigyo@city.kawasaki.jp

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