薬師院
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絹本墨画着色盤珪永琢画像
住所
高津区新作3-27-1
交通案内
JR・東急線「溝の口駅」から東急バス溝22系統「蟹ヶ谷」行き、「末長」下車、徒歩4分
地図
解説
薬師院は、木造薬師如来立像を本尊とする臨済宗妙心寺派の寺院です。寺院の創建について『新編武蔵風土記稿』は、「江戸麻布光林寺の住持盤珪(ばんけい)の開基なり、盤珪は済家の内にて別に一派をなし、一時大に宗法を振ひし頃庵を建て休息所とせし」と記しています。
盤珪(ばんけい)は、元和8(1622)年に播磨国揖西郡浜田村(現・兵庫県姫路市)に生まれ、16歳の時赤穂(あこう)の随鷗寺雲甫元祥について得度し、永たくと称しました。その後、不生を主張の基本原理とする不生禅を唱え、平戸藩主松浦鎮信・大洲藩主加藤泰興ら諸大名の帰依をうけ、盤珪の出生地浜田の竜門寺、大洲如法寺、江戸麻布光林寺などの開山となったほか、寛文12(1672)年には妙心寺に入寺し、元禄3(1690)年に仏智弘済禅師と勅賜され、元禄6年9月2日、72歳で亡くなりました。
薬師院には、当寺の開山とされている盤珪の頂相(ちんそう)である絹本墨画着色盤珪永啄画像(けんぽんぼくがちゃくしょくばんけいようたくがぞう)(市重要歴史記念物)が所蔵されています。
本図は、縦76.5cm、横35.3cmの軸物で、盤珪は、衲衣(のうえ)に袈裟(けさ)を着てやや右向きに座具である法被(はっぴ)を掛けた曲彔(きょくろく)と呼ばれる椅子に坐し、右手に払手(ほっす)を持ち、着衣の裾や広い袖を垂下しています。前には沓床と沓を置き、かたわらに杖をたてかける通常の頂相に描かれていますが、盤珪の個性的な顔貌がよく写されており、関東地方に残された室町時代の頂相の系統を引く作例として貴重です。
なお、本図と同様の図柄の作例が兵庫県竜門寺に伝えられています。
所有指定文化財
コンテンツ番号65