紙本墨画淡彩 仙女図
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紙本墨画淡彩 仙女図 双幅
年代
室町時代後期
法量
(各幅)縦99cm 横41.5cm
所有者
川崎市
所在地
川崎市市民ミュージアム
指定
市重要歴史記念物 平成7年(1995)1月24日
解説
本図は仙女(または仙姑)図と称されるもので、竹・木の杖に西王母説話以来の仙桃を枝ごと懸けている。ほかに斧や鳥毛の団扇、瓢箪、経巻、松杖などを携えている。錦衣のかわりに毛皮や樹葉の蓑笠を纏い、素足という出立ちである。このような姿態は、神農図(草衣)にも認められ、中国神仙図像に共通するものである。仙女図『漢武内伝』を引く王正貞による『列仙全伝』の「秦の始皇帝の官人で山中に入って地仙化した毛王姜という仙女」の姿を描写したものが通例となっている。
本図には、仙女特有の細長く鋭い爪や衣文線は漢画白描の唐風の面貌や松葉(車輪松)は和様化といった過渡期的表現が認められ、説明的な細描と賦彩による描法には狩野・土佐両派の折衷と、風俗画への移行が看取され、筆者を宗丹に擬した所以であろう。
禅宗移入とともに盛行した漢画が、3教(儒・仏・道)一致を標榜した寛容な思想を反映し、当初の禅林所縁の画題から次第に道釈人物から山水・花にひろがり、本図のごとき仙女図にも及んでくる。
落款・印章はなく一部顔料の剥落があるが、表装は当初のもので、類品は少なく、僅かに興牧筆・仙女図・双幅(室町時代後期・個人蔵)の存在が知られている。
既存の市指定絵画中に伍して、時代・画格において同水準といえる。
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