獅子頭
- 公開日:
- 更新日:
獅子頭 3頭
年代
江戸時代
法量
- 獅子頭(A)
高さ 12.5cm
幅 19cm
奥 25cm - 獅子頭(B)
高さ 13cm
幅 19cm
奥 25.5cm - 獅子頭(C)
高さ 13cm
幅 18.5cm
奥 27cm
所有者
川崎市
指定
市重要郷土資料 昭和48年3月14日指定
解説
風流系一人立獅子舞に使用されたもの。黒川の梅沢家の屋根裏にあった。黒川の獅子舞は8月28日の風祭に梅沢家を宿とし、三匹獅子と天狗面をつけた者が、金棒・ささら・ほら貝を先導に村内を練り歩き、汁守神社(麻生区黒川)へ戻ったという。この時、使用した獅子頭は、現在、汁守神社に所蔵されている。大正3年(1914)汁守神社に新しい拝殿ができてから、獅子頭の行列はなくなったという。汁守神社に所蔵されている三匹獅子以前に使用されていた獅子頭が,現在市民ミュージアム所蔵のこの獅子頭という。現汁守神社所蔵の獅子頭と市民ミュージアム所蔵の獅子頭とは形がかなり違っている。
市民ミュージアム所蔵の獅子頭は造形に特色がある。1頭は黒漆を全体に塗ってあるが、他の2頭は黒漆・朱のあとが部分的にわずかに見られるにすぎない。彩色は違うが、形は三匹とも似ている。一人立三匹獅子は東北・関東・中部地方に広く分布し、その造形も多様だが、ここの獅子頭と全く同じ相貌のものはない。頭部に宝珠・角のあとかと思われる穴があるが、宝珠・角は残っていない。頭部をやや盛り上げて作ってある。大きな円形の目、鼻穴をやや上に向けて大きくあけ、鼻先中央部分に太い縦線を3本入れ、歯列に牙のない点などは特色がある。
円形の大きな目、全体に丸みのある彫刻、頭部に竹籠をつけている点など珍しく、特徴的である。竹籠は製作時からのものかどうか明らかでないが、川崎市延命寺の雨乞獅子頭も竹籠をつけており、埼玉県熊谷市古宮神社の宝永5年(1708)と墨書銘のある三匹獅子にも見られる。竹籠をつけるのは、獅子頭だけでなく、普通の仮面にもつける例があり、古くからのものであることを想像させる。
この獅子頭の製作年がいつかは明らかでない。汁守神社所蔵の三匹獅子頭は近世後期というから、その前に使用されていたというこの獅子頭はそれより古いことになる。大きな円形の目、全体的に丸みのある造形など、これと共通点のある造形が古い鬼面形の信仰仮面の中に見られること、風流一人立獅子舞が登場しはじめたのは戦国時代から近世初期と考えられていることなどから、この獅子頭の製作年は近世初頭の頃と考えても大きな間違いはなかろう。以上のように考えると、風流系一人立獅子頭としては特徴もあり、発生期の風流獅子を考える上でも史料的に貴重ということになる。この獅子頭は龍頭にはみえないが龍頭と伝えている。風流系一人立獅子の初期の史料には龍頭のものがいくつかある。
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