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獅子頭(初山獅子舞保存会)

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獅子頭(初山獅子舞保存会)

獅子頭 3頭
附 仲立面 1面

年代

江戸時代

法量

  • 巻獅子
    高さ 18cm
    幅 24cm
    奥 27cm
  • 玉獅子
    高さ 16cm
    幅 24cm
    奥 27cm
  • 剣獅子
    高さ 15cm
    幅 24cm
    奥 29cm

所有者

初山獅子舞保存会

指定

市重要郷土資料 昭和36年9月19日指定

解説

 風流系一人立獅子舞に使用する玉獅子・巻獅子・剣獅子の獅子頭である。初山には3組の獅子頭がある。市重要郷土資料となっている獅子頭は、3組中、製作年の最も古い1組である。一人立獅子舞には仲立役がつくのが常である。初山の古い獅子頭には、仲立役が使用したと思われるウソフキ型面(ウソフキ面は道化面・狂言面の系統である)がついている。
 玉獅子は頭部中央に宝珠をつけたものをいい、巻獅子は捩り状の角を頭部左右に1本づつつけたもの、剣獅子は剣鉾様の角を頭部左右に1本づつつけたものをいう。3頭はいずれも彫技・形式・彩色が似ており、同一人の作と思われる。胡粉地がなく、木地上に直接黒漆を塗った素朴な彩色だが、丸みのある丁寧な彫技で良作である。黒漆彩色は塗り重ねた様子が見られる。目の縁・鼻穴などに朱の彩色が見られるが、これは悪霊の入るのを防ぐ魔除けかも知れない。口の部分に、口が動くように上下を切りはなした横線が見えるが、形式的で実際には動かない。この形式的とも見える横線は二人立獅子頭を模したものであろうか。
 この獅子頭の製作年は明らかでない。しかし、他の2組のうち1組は江戸時代後期と考えられているから、それより一時代前と思われるこの獅子頭はそれ以前である。丸みのある丁寧な彫技は他の地方に類例もあり古様を思わせ、近世初期頃の作としても無理ではないように思う。
 一人立獅子頭の登場年代の上限は室町時代末、近世初頭である。この獅子頭が近世初期ということであれば、史料的にまことに貴重ということになる。
 この獅子頭と一緒にあるウソフキ型面も形式的に特色がある。彩色が三頭獅子と同じであり、黒漆を重ね塗りしてある点もよく似ている。製作が同じかも知れない。顔が左右不均衡にできており、線状皺を頬・顎のあたりから口先に向けて彫った特徴ある形式である。このウソフキ型の形式は全国の民俗芸能仮面の中にかなり見られる。初山のこのウソフキ型面は小振りに作られていること、黒色であることなどと相まって、形式的にも古様を残している。近世初期の頃のものと考えても無理ではない。現在、仲立役は天狗面をつけており、ウソフキ面ではない。
 ウソフキ面の他に、菅生神社の本殿内の物置から発見されたという癋見型(口を閉じた面)の面がある。灰紫色で耳・目にわずかに朱のあとが見られる。鼻が欠けているが、鼻高の寄木作りであったかと思う。製作年は明らかでない。彩色は古いとはいえない。一人立風流獅子には、いろいろな面のものがつくが、ここの獅子舞の仲立役のつけた面に各種あるのは興味深い。中でもウソフキ型面が残っているのは古い形式の1つを思わせ注意される。