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鷲ヶ峰遺跡

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鷲ヶ峰(わしがみね)遺跡

鷲ヶ峰遺跡第2文化層出土石器の写真

鷲ヶ峰遺跡第2文化層出土石器
(川崎市市民ミュージアム所蔵)

解説

 鷲ヶ峰遺跡は宮前区の西端にあたる菅生ヶ丘(すがおがおか)に位置しており、このあたりは多摩丘陵に小さな谷戸が複雑に入り込む平坦面の少ない丘陵地形です。

 周辺には、大規模な遺跡はありませんが、旧石器時代の遺物が出土した菅生(すがお)水沢遺跡や、縄文時代の遺物や陥し穴(おとしあな)、竪穴住居が発見されている菅生遺跡、カネヅカ遺跡、初山遺跡などもあります。また、平安時代の火葬墓が見つかっている潮見台遺跡もほど近く、旧石器時代から古代にいたるまで多くの人間の活動の痕跡が残されている地域です。

 鷲ヶ峰遺跡では、1981年、1991~1992年、1994年に集合住宅の建設に伴い、発掘調査が行われ、旧石器時代の石器や縄文時代早期~中期の土器や穴状の遺構が発見されています。川崎市内での旧石器時代遺跡の調査事例が少ないため、鷲ヶ峰遺跡は川崎の旧石器時代を語る上で非常に重要な遺跡です。

 この遺跡からは、狩りに使ったとみられるナイフ形石器のほか、木や骨などを加工する際に使う削器や彫器、石器を製作する際に出る石の剥片、使用した痕跡のある剥片などが50点ほど、数ヶ所のまとまり(ブロック)に分かれて出土しています。約33,000年前頃と15,000年前頃の二つの旧石器時代の文化層が確認されており、このうち約33,000年前の第2文化層は麻生区の早野上ノ原遺跡と並んで川崎市域で最も古い遺跡です。

 川崎市域や横浜市北部の丘陵上では、旧石器時代の小規模な遺跡が点々と残されていますが、県央部の相模野台地や東京都の西部から埼玉県にまたがる武蔵野台地では、一つの遺跡から1,000点を超える石器が発見される大規模な遺跡もあるのと対照的です。

 旧石器時代の人々は定住せずに、移動しながら狩猟を行う生活をしていたことから、これらの遺跡の大きさの差は、拠点として長期的に活発な狩猟を行ったキャンプと、季節的な狩猟などごく短期間の一時的なキャンプを行った場所の差ではないかと考えられます。