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禰宜舞

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  • 更新日:

禰宜舞
附 神楽面 5面

保存団体

禰宜舞保存会

指定

市重要習俗技芸 昭和59年10月30日指定

解説

 白幡八幡大神(宮前区平)で行なわれている神楽の一種。禰宜舞というのは禰宜の舞う舞という意味であろう。禰宜というのは『広辞苑』に「神主の下、祝(はふり)の上に位する神職」とある。白幡八幡大神の禰宜舞は禰宜舞5番といわれている。今日、白幡八幡大神で行なわれている禰宜舞は四方固・猿田彦舞・天児屋根命舞・彦火火出見命舞・天鈿女命舞・大山祗命舞の6番である。四方固舞は仮面をつけず、他の5番が仮面をつける。5番舞というのは仮面舞5番をいったのであろうか。舞はすべて一人舞である。
 この禰宜舞の特徴は幾つかある。その1つは歌・問答がなく舞だけということである。舞だけというのは、神楽としては特色がある。舞う時、幣・剣・扇・弓矢などの採物をもち鈴を振りながら、仮面をつけ舞うところにも特徴がある。楽器は太鼓だけである。
 6番の内、最初に舞う四方固が基本をなしており、他の5番は四方固の舞に準じている。四方向は四方を鎮め、払うというものである。舞い様は回って回り返すことが基本をなしており、神楽の巫女舞と似ている。神話にでて来る神々の名前が舞の名称となっているが、舞の名称を具体的に示す所作はない。最後の大山祗命の時、見物人に餅・団子を投げる。仮面は飛出・増女などの能面或いは能面の変容と思われるものを使用している。
 猿田彦面は能面にない鼻高の面である。仮面はいずれも近世作。
 禰宜舞は神事のあとで行なわれる。神事が終り直会がすむと、神事が終りましたので、これから神楽を行ないますという小泉神主の言葉があって禰宜舞がはじまる。ここの禰宜舞は関東地方で行なわれている神代神楽・里神楽のように神楽殿で舞わず拝殿で舞われる。『新編武蔵風土記稿』によると、禰宜舞は代々白幡八幡大神の神主小泉家が伝えて来たように記してあるが、その由来は明らかではない。禰宜舞が神楽組によって舞われるのではなく、神職によって伝えられて来た点、注目される。同記に5番・12番などと神楽舞の番数の名称が見える。現在行なわれている内容から白幡八幡大神の禰宜舞を判断すると、ここの禰宜舞は関東地方に広く分布している出雲系神楽の中の採物舞の系統である。
 神楽は本来仮面を使用しない。神楽は巫女や神人が神の依代である榊・幣・杖・弓などの神宝を待ち神歌をうたい舞うのである。神代神楽・里神楽の「神前の舞」(仮面をつけない。神楽殿で舞わず、拝殿で舞う)に近い。舞人が仮面をつけるのは仮装ということで芸能色が豊かである。白幡八幡大神の禰宜舞は採物をもち、舞人が仮面をつけ、無言で舞う神主の一人舞である。神楽の採物舞としては特色をもった舞である。