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日枝神社

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2010年12月20日

コンテンツ番号58

日枝神社本殿

本殿

住所

中原区上丸子山王町1-1455

交通案内

JR・東急線「小杉駅」から川崎市バス川71・74系統「川崎駅」行き、「山王町1丁目」下車、徒歩10分

地図

古文書

庚寅三月十六日付 後北条氏の虎の印判状

庚寅三月十六日付 後北条氏の虎の印判状

 日枝(ひえ)神社所蔵縁起(えんぎ)によれば、当社は平安時代に近江(おうみ)国坂本に鎮座する日吉(ひえ)大社の御分霊を、稲毛庄内河崎村へ勧請し、のち現在の丸子の地へ遷座したと伝えています。中世前期には丸子荘の荘園鎮守社であり、その所在地は武蔵・相模を結ぶ中原往還の多摩川渡河点に位置するという交通上の要地を占めています。

 川崎市域に所在する数多い神社のなかで、近世以来神社附属の専従神職家が存在したのは、当社と川崎区・稲毛神社、宮前区・白幡八幡大神の3社のみです。それら3社は古くから広域な信仰圏をもち、地域の中核的な神社であったと考えられます。

 当社には戦国大名後北条氏の虎の印判状(いんばんじょう)2点(市重要歴史記念物)以下、近世文書多数が所蔵され、社史や地域の歴史資料として貴重な価値をもっております。このうち天正18(1590)年3月16日付印判状は、小田原城主北条氏直が境界争いを裁定した文書です。すなわち多摩川の洪水で川筋が動き、このため上丸子郷と世田谷領沼部郷との間で争いとなった。そこで北条氏が検使を派遣して現地を調査し、その報告にもとづいて係争の地を上丸子分と認め、年貢の納入等を命じたものです。この文書は、16世紀末期における郷の存在や、多摩川の流路の変動をうかがわせる資料として重要です。

 近世に入ると、徳川幕府も20石の朱印状(うち5石は神宮寺である大楽院分)を与えて社地を保護しました。境内には天正14(1586)年に豊臣秀吉が近江日吉大社境内に架した大神(おおみわ)橋の破損橋脚(きょうきゃく)の一部、延宝8(1680)年銘の庚申塔(こうしんとう)、野村文左衛門が明和・安永期(1764~1781年)に中原往還にかけたいわゆる八百八橋の遺構の一部などが保存されています。

本殿

本殿平面図

本殿平面図

 棟札(むなふだ)によると、現在の本殿(ほんでん)は元文5(1740)年5月に建立・正遷宮が行われた建物であり、大工は清沢村(現・高津区千年)の木嶋佐右衛門です。彼は影向寺(ようごうじ)薬師堂の大工棟梁木嶋長右衛門の次男で、木嶋家の名跡(みょうせき)を継いでいます。

 本殿は当初、独立して立っていましたが、18世紀末に本殿、幣殿(へいでん)、拝殿(はいでん)の形式を備えていたことが、寛政2(1790)年の境内絵図によって判明します。大正12(1923)年の関東大震災で拝殿と幣殿が倒壊し、本殿も被害を受けました。その後、昭和3(1928)年に拝殿と幣殿を再建しましたが、その際本殿の位置を少し南に移し、本殿の基壇(きだん)を新たに築き、また、土台を加えたと考えられます。

 本殿は正面柱間3間、側面2間、身舎(もや)の正面に庇(ひさし)を付けた形で、屋根は流造(ながれつくり)・銅板瓦棒葺(かわらぼうぶき)です。この本殿形式を間口が3間であることから、三間社(さんげんしゃ)流造といいます。市内に現存する江戸時代の神社本殿は一間社(いっけんしゃ)がほとんどで、三間社は当社が唯一の遺例です。三間社流造の本殿は正面に戸口を一つ開き、他を板壁として内部を一室にするのが古式ですが、この本殿は身舎を内陣(ないじん)と外陣(げじん)に分けて、内陣の床を高く造り、内陣と外陣の正面柱間各3間に板扉を立てています。これは山王大権現三座を祭ることに関係するのでしょう。

 流造本殿の意匠の重点は妻側の構成と正面向拝(ごはい)にありますが、この本殿もそこに時代の特徴が認められます。身舎の組物(くみもの)は出組斗栱(でぐみときょう)で、組物間に三猿などの動物を彫り出した蟇股(かえるまた)を置き、板支輪(いたしりん)に雲紋彫刻を施しています。妻飾(つまかざり)は二重虹梁(こうりょう)を大瓶束(たいへいつか)で受け、豕扠首(いのこさす)にて棟木(むなき)を支えます。また、虹梁間に背丈の高い彫刻付の蟇股を置き、外観はたいへん華やかです。向拝は中央の柱間を広くして、組物の間に龍の彫刻を置くなど、新趣向が見られます。なお、向拝の両側はもと建具がなく開放であり、また、正面に浜縁(はまえん)が付いていました。本殿(附 棟札1枚・山王社境内絵図1枚)は、平成2(1990)年に市重要歴史記念物に指定されました。

所有指定文化財

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