鰐口(春日神社)
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鰐口 1口

年代
室町時代
応永10(1403)年

法量
面径 28.9cm
胴厚 10.0cm

所有者
川崎市中原区宮内4-12-2

指定
県指定重要文化財
昭和44(1969)年12月2日指定

解説
鋳銅製。形状は鼓面の周緑を二重陽鋳線で縁取り、その内側を子持ち三条線と二重線の圏界線で、外側から外区(銘帯)、内区及び撞座区とに区画し、撞座区は無文とする。目と唇の張り出しや鼓面の膨らみが穏やかで、特に目と唇の張り出しが同じである点は本作の特色である。耳は片面交互式につくる。鼓面外区左上方に鋳造の際の型持の痕が、また上縁中央部には一文字に湯口の痕が遺る。
銘帯に陰刻で、

との銘文を左右に振り分けて記す。
この銘から本鰐口が室町時代応永10(1403)年に、武蔵国立花郡稲毛本庄の春日宮(現所有者の春日神社)に藤原氏景・繁森が施主となって奉納されたことが知られる。
本作の撞座を無文とする圏界線の表わし方、鼓面の甲盛りや目・唇の張り出しが穏やかであること等、その作風は川崎市所有の至徳4(1387)年銘鰐口と共通しており、南北朝時代から室町時代にかけての鰐口の特色をよく示している。
神奈川県内には、これらの他に室町時代以前の作例に津久井郡城山町普門寺の暦応2(1339)年銘、愛甲郡清川村宮ケ瀬小学校の応永3(1396)年銘、横須賀市妙真寺の同じく応永3年銘、三浦市延寿寺の永享7(1435)年銘、足柄上郡山北町薬師堂保存会の文安6(1449)年銘、鎌倉市長勝寺の永正12(1515)年銘、厚木市本照寺の永禄9(1566)年銘の諸例がある。
本作や至徳4年銘鰐口は、これらのなかでも古作であり、鰐口の遺例として貴重である。またその銘文から伝来があきらかな点で、川崎市のみならずひろく中世の武蔵国の歴史を考える上でも重要な資料であるといえよう。
お問い合わせ先
川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課
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