川崎大師引声念仏・双盤念仏
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川崎大師引声念仏・双盤念仏

保存団体
川崎大師双盤講

指定
市重要習俗技芸
平成31(2019)年2月8日指定

解説
双盤念仏は、直径1尺から1尺3寸(35cm前後)の鉦2枚を叩きながら唱える念仏である。
在家の双盤念仏には、法要の中で叩く役鉦(やくがね)と平鉦(ひらがね)といわれる法要の合間に叩くものとがある。役鉦は六字詰めの念仏を唱えることが多いことから「六字詰め」といい、後者の平鉦を狭義の「双盤念仏」という。川崎大師双盤講では前者を「引声念仏(いんじょうねんぶつ)」、後者を「双盤念仏(そうばんねんぶつ)」としている。
川崎大師の引声念仏については、『平間寺史』(昭和9年)に天保5年(1834)第35世隆盛和尚が本堂再建を期して「引聲念仏(いんじょうねんぶつ)」を始めたとあり、この念仏は戸帳の開閉を伴うため現在では「引帳(いんじょう)念仏」の語を使うこともある。
引声念仏は3月20日より22日まで正御影供(しょうみえく)に際して行われる。弘法大師の入定した3月21日を中心にする法要であるが、引帳念仏の名があるよう、御本尊の大師像の御戸帳(みとちょう)といわれる御簾(みす)を開閉する行事で、この時、双盤講の「みすあけ」担当が宮殿(くうでん)裏の綱を引き、開閉の任にあたる。この引声念仏は中に「六字詰め」の曲が入るため、 「六字詰め」の念仏ともいう。
双盤講は本尊を祀る宮殿正面の外陣に座る。鉦は2枚のみで、左右に分かれて叩き、中央に講元が座り、後ろに20人ほどの講員が「付け衆」として並んで座って念仏を唱える。時間は10分ほどである。また5月と9月の21日の大護摩供にも引声念仏をあげる。この時は御簾の上げ下げはなく、念仏は僧の入堂前に始まり、念仏の終わりに大導師、職衆が入堂し、着座する。
川崎大師の双盤念仏は、明治30年頃、初代講元である古尾谷(ふるおや)浅吉氏が川崎市中原区木月から大師河原の中瀬に移ってきて始めた。したがって木月大楽寺の流れをくみ、さらに九品仏浄真寺の奥澤流と専念寺(横浜市戸塚)の深沢流の高低抑揚をつけて川崎大師の双盤念仏とした。
双盤念仏は40分ほどかかる14の曲目の念仏と鉦の叩きからなる。
川崎大師引声念仏・双盤念仏は、川崎市域で唯一現存している双盤講である川崎大師双盤講により保存・継承されており、特に引声念仏は全国的にも現存する例が少ない。その歴史も明確であり、川崎市域の仏教行事・仏教芸能を考える上で重要である。
お問い合わせ先
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