北條鉄工原寸工場
- 公開日:
- 更新日:

南側外観東寄り

2階内観

建築年代
昭和37(1962)年

規模
建築面積 326平方メートル 総面積 979平方メートル

構造形式
鉄骨造3階建(小屋組:木造トラス構造 床:木根太、木板下地)、セメントスレート葺

所有者
北條鉄工株式会社

所在地
川崎区鋼管通4丁目3番15号

登録
国登録有形文化財(建造物)
令和6(2024)年12月3日登録

解説
事務所奥に接続する、鉄骨の原寸図を作成した作業場。製作する鉄骨の梁の等倍(1/1)の図を床に描き、緻密な納まりや取り合いの検討、組み立て方などの検討を行うと同時に各部の寸法を正確に割り出すための部屋で、建築された当時はどの鉄工所にも広い原寸場があった。床材は合板に塗装が施され、いわゆる大きな黒板で、そこに墨やチョークを使って図面を描いた。しかし、1990年代にPC(パーソナルコンピュータ)と製図ソフト が開発され一般化するにつれて、寸法のチェックがPCでできるようになり、原寸場は不要になり姿を消していった。
北條鉄工の原寸工場は、桁行35mの鉄骨造3階建で、1階は吹放しの溶接工場、2・3階は長辺2辺全長に水平窓を廻らす採光に優れた空間とし、原寸図を作成するための黒板代わりに使われた床が残る。梁・柱ともスチールラチス構造であり、どちらもリベット接合による。屋根は金物を使った木造トラスによる無柱大空間を実現している。
木造トラス構造は、明治時代、現北海道大学に赴任した、ホイラー技師が日本にもたらしたもので、札幌時計台、北大の中の酪農施設などに残存している。明治時代以降の学校建築で体育館などの標準断面図にも木造トラスを見ることができる。
当時の原寸場は木造平屋で建てられたケースが多かったが、多層階かつ大スパンとするために、1階、2階の梁をスチールラチス梁として混構造としていたと思われる。
現在この空間は撮影スタジオとして機能しており、特殊な構造体による広々とし、明るい空間は文化的な価値を得ている。
昭和期の鉄骨製図の歴史を今に伝える貴重な産業遺構である。

3階小屋組を見る

2階内観 ラチス構造の柱

3階内観 梁接合部
お問い合わせ先
川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課
住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
電話: 044-200-3305
ファクス: 044-200-3756
メールアドレス: 88bunka@city.kawasaki.jp
コンテンツ番号171690
