真福寺
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庚申塔(手前 石造鉢形香炉) 非公開
住所
川崎区堀之内町11-7
交通案内
JR京浜急行「川崎駅」下車、徒歩15分、川崎競馬場第一京浜国道側前
地図
解説
真言宗真福寺は、川崎宿成立以前から多摩川河畔に寺地を占める古刹でしたが、たびたび氾濫流失を繰り返し、昭和25(1950)年現在の地に移りました。
本尊は行基菩薩作の薬師如来といわれ、霊験あらたかでしたが、戦国時代の火災で失われ、近世になって再興されました。その後も真福寺薬師への人々の信仰は厚く、明和3(1766)年7月江戸の回向院(えこういん)で出開帳も行われています。
境内には、市重要郷土資料である寛文5(1665)年造立の庚申塔(こうしんとう)があります。この塔は、総高221cmと大きな石造物です。塔の主尊に来迎印(らいごういん)を結ぶ阿弥陀如来像を大きく陽刻していますので、一見すると阿弥陀の石仏のようにみえます。しかし、よくみると主尊を刻む塔身部と一石彫成された台座部に、正面向きの猿が三匹並んでいます。猿は右から口・耳・目を両手でふさぎ、「みざる・いわざる・きかざる」の姿勢をとっています。丸彫に近いその量感のある姿は、近世初期庚申塔のなかでも特に優れたものといえましょう。
このように初期庚申塔には、仏教の伝統的な礼拝の対象として親しまれている阿弥陀如来、観音菩薩、地蔵菩薩等を彫出して主尊とし、その下部に三猿を配するものと、主尊部は陰刻銘のみとし、その下部に大ぶりで伸びやかな三猿を彫出するものとの2つの形式があります。後者の例としては、多摩区盛源寺にある寛文10(1670)年銘の庚申塔が挙げられます。
本塔には台座部分三猿の上部に『武州橘郡河崎新宿』の銘と12人の発願(ほつがん)者名、阿弥陀如来の両側に願文(がんもん)と寛文5年の銘があります。
塔前にある高さ23cmの石造鉢形香炉には、側面に「貞享五年三月吉日」の銘があり、全国的にみても古い石造香炉といえます。
なお、庚申塔は非公開となっております。
所有指定文化財
コンテンツ番号34