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長念寺庫裏

  • 公開日:
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長念寺庫裏 1棟(撮影 御堂義乗)

建築年代

江戸時代末期

規模

桁行63尺 梁行39尺

構造形式

桁行9間 梁行5間 一部中二階、寄棟造・茅葺の上に亜鉛鉄板葺、4面下屋付

所有者

長念寺(多摩区登戸1416)

指定

市重要歴史記念物 平成2年1月23日指定

解説

 本堂に向かって右手奥に建つ庫裏は寄棟造・茅葺の南北棟建物で、南側に一部中二階を造る。本堂との間に渡廊下を付けるが、玄関はそこに設けず、庫裏の西側南寄りに取り、正面に武家風の両開き板戸を立てる。南側の住職の居間と台所などに後世の改造を受けているが、全体的にみると、当初の形式をよく保っている。
 主屋は桁行9間、梁行5間の規模で、軒を出桁造とし、もと東面南側3間半に1間半張り出しの下屋(台所と台所土間)と、そのほかの四面(玄関前を除く)に下屋の廊下もしくは縁を付けていた。主屋の柱は4.5寸角を標準とするが、玄関と床上境に1尺から1.1尺角の欅大黒柱を用いる。間取りを復元すると、主屋南側2間通りの西3間半は旧住職の居間、東の張り出しを含めた3間は旧台所土間であり、それより北側は棟通りで東西に仕切り、西側は南より玄関と10帖間及び15帖間の2室、東側は南より2間に2間半の板間、1間半に2間半の茶間、7帖間、10帖の書院の4室をとる。玄関は間口10尺・奥行15尺の広さで、西正面に1間の内開き板扉を建て、その北側半間にくぐり戸を付ける。内部は土間で、高い位置に竿縁天井を張り、10帖間と板間への寄付きに欅の上り框2段を矩折りに渡している。(板間境の南1間は玄関側に張り出して板間から中二階へ上る箱階段を納める。)10帖間との境は大黒柱に差鴨居を渡して帯戸4本を立てる。玄関北側より矩の手に配した10帖間、15帖間と書院は表向きの座敷であり、15帖間西面に床間と床脇を付け、書院北面に床間と違棚、東面北1間に付書院を設けている。天井はもと竿縁天井である。15帖間北面2間は腰障子を立て、北側の下屋をもと外縁として雨戸を建てていた。15帖間西面南1間と10帖間西面2間も腰障子で、外縁が付く。書院と15帖間境は筬欄間をはめ、また南側7帖間境は菱格子欄間で、ともに襖障子を建てる。7帖間は竿縁天井で、茶の間境にもと杉戸4本が立ち、納戸であろう。茶の間は畳敷の室で、南側板の間境に障子4本を立てていた。これら各室の東側には3尺の廊下が付き、その北側に便所を設け、南端は台所まで延びていた。板の間はもと床に欅の板を張り、上部に梁組みが見えていたという。また板間東側には1間半四方の板敷の台所が張り出し、そこに流しと井戸があったらしい。台所土間は3間に2間の広さで、南面に大戸を建て東南隅に大カマドが置かれていた。住職の居間は12帖間で、南面と西面に3尺の廊下が付き、南の源氏廊下に通じていた。ここを保育室に改造する時、床高を低くし、また根太天井の高さを1尺程高くした。
 中二階は住職の居間と台所土間の上部に設けられている。8帖2室を東西に並べて、間仕切に板戸4本を建て、東面に物入、西8帖の北面に戸棚を付ける。南面4間と西面2間は窓で、外側に1本引の雨戸を立てる。中二階はもと隠居部屋であったという。
 当庫裏は、正面に武家風の玄関を設ける格式の高い形式を持つ。また10帖敷の書院は客座敷としてまとまりを見せている。住職の居間を南側の台所隣に置き、中二階を隠居部屋とするのもこの庫裏の特色である。建立年代は資料を欠くが、秀善住職の時、庫裏を再建したと伝える。玄関寄り付きの大黒柱の使用や、中二階の通柱に合わせた軒の高い構成、及び雨戸を多用する点などに、江戸時代末期の特徴が認められ、本堂よりやや遅れて再建されたと推定される。

 平成26年度より改修工事に入り、庫裏は約20メートルほど北へ移動して、平成29年度に改修工事は終了した。

長念寺庫裏梁間断面図

長念寺庫裏平面図(現状)

コンテンツ番号260