木造 阿弥陀如来立像
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木造 阿弥陀如来立像 1軀
年代
室町時代〔天文3年(1534)〕
像高
64.3cm
所有者
長念寺(多摩区登戸1416)
指定
市重要歴史記念物 昭和60年12月24日指定
解説
右手は屈臂し、左手は垂下、いずれも第1指と第2指とを捻じ、いわゆる上品下生の来迎印を結んで蓮台上に立つ。寄木造、玉眼嵌入、面部と足先は粉溜、着衣部は漆箔。平成2年度の解体修理担当者の報告によれば、構造は以下の通りである。
「体幹材は前面材と後面材の2材より構成され、前面材は耳を含む顔面より足衲迄、後面材は頭部より裳裾迄を1材で彫出し、各材共、内刳を施している。〔中略〕この体幹材に内刳を施した両肩材を矧ぎ付け、両手・両足先を体幹材に差し込む。衲衣部分は灰色の泥地の上に黒漆を塗り金箔を施す。顔面及び足先は灰色の泥地の上に(朱)(弁柄)漆を塗り金泥を蒔く」
この修理で欠失していた右手第3・4・5指と左手第3・4指のほか、光背・框座も新補され、鼠に噛られていた下半身の衣文凸部などの形も整えられた。次のような墨書銘がある。
この銘文から、天文3年(1534)9月に造立されたことがわかるが、仏師道仙や妙永らについては、現在の時点では未詳。後考に待ちたい。
像は下から順に裙・偏衫・大衣をまとう服制、腹部と両袖の複雑で装飾的な衣皺、あるいは低めの頭髪部などに宋元風の特色が強い。前代の流行をうけつぎ、より技巧を凝らした作風ということができる。衣皺の表現はやや柔軟さを失い、南北朝時代の作品、たとえば泉澤寺銅造阿弥陀如来立像に比べると面部の張りが弱い。しかし、天文16年造立の妙楽寺木造日光菩薩立像よりは彫技が洗練されている。作者・造立年代ともに明らかな室町彫刻として、資料的価値の高い遺例である。
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