自宅をリースバックした際のトラブル
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相談事例
【相談事例】
高齢で一人暮らしの女性の家に、不動産事業者が訪問してきて「自宅を売らないか。このマンションは築30年以上だから、あと10年したら取り壊しになる。今、売却しても10年間は住み続けられる」という説明を受けた。女性は、今後取り壊しになるのであれば、売却してお金を受け取った方がいいと思い、自宅のマンションを売却し、10年間家賃を支払って住み続けるという契約をした。後日、売却価格を調べると相場よりも安価であることが分かった。納得できないので、クーリング・オフしたい。
アドバイス
●持ち家はあるが、預貯金に余裕がなく、老後資金や介護資金が不足しているというときに、持ち家の自宅を活用する方法としてリースバックがあります。
●リースバックは不動産事業者などに自宅を売却して、売却代金を受け取る一方で、自宅を売った後は賃貸借契約を結んで毎月家賃を支払って、自宅に住み続けられる仕組みです。
●自宅を売却するので、自宅が自分の物ではなくなるというのが最も大きな特徴です。固定資産税、修繕費やマンションの場合の管理費などの負担がなくなりますが、その代わり、住み続けるためには家賃が発生します。家賃は固定資産税などを踏まえて設定されているので、必ずしもお得になるとは限りません。
●自宅を売却する必要のない高齢者が、突然電話や訪問をしてきた事業者に、「自宅を売っても住み続けられるいい話がある」と長時間強引に勧誘されて契約をしてしまうといった相談がみられます。
●自宅の売却と賃貸借契約の2つの契約を結ぶ必要があり、仕組みが複雑なため、消費者が理解しないまま契約をしてしまうことや、判断力が低下している高齢者が契約してしまい、あとで家族が気づくことも多くあります。
●自宅が自分の物ではなくなるので、勝手にリフォームしたり、設備を買い替えたりすることができなくなります。
●賃貸借契約の期限のない契約だったとしても、売却して受け取った代金から家賃を支払っていくと何年間住み続けられるのかを計算しましょう。途中で家賃の値上げをされる可能性もあります。売却価格と家賃の条件が納得いくものかどうかをよく考える必要があります。
●事例は、事業者が突然家に訪問してきているので、訪問販売のように見えますが、消費者が自宅を不動産事業者に売却した場合は、クーリング・オフの適用はありません。解約するには契約書に記載されている解約の条件に従うことになり、高額な違約金を請求されることもあります。
●「有利な話がある」などと電話がかかってきたり、訪問があったりしても話を聞かず、きっぱりと断りましょう。
●契約を急ぐようにと迫られてもその場で契約書にサインせず、必ず家族や信頼できる人に相談しましょう。
●市場での取引価格よりも低い価格で買い取られ、家賃は周辺相場よりも高額だったというケースがあります。必ず複数の事業者の意見を聞いて検討しましょう。
ここに掲載する相談事例は、掲載時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。同じような商品・サービスに関するトラブルでも、個々の契約等の状況や問題発生の時期等が異なれば、解決内容も違いますので、消費者行政センターにご相談ください。
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